《隐秘的角落》感想編

こちらは《隐秘的角落》を視聴した方向けの感想記事です。
あまりに良作だったので文章にせずにはいられず…検索してみても感想ブログがたくさんヒットするので、同じ思いの方が多いようです。
参考になった考察記事も多数ありまして、いくつかリンクを貼らせていただいています。
ではいきます!
ネタバレに配慮せず印象的だったシーンについて書いていますので未視聴の方はご注意くださいね⚠️

◎まずは主軸の3人組のリアルさ
子どもならではの融通の利かなさ、視野の狭さ、柔軟性のなさがうまく表現されていましたね。いくら賢くても子どもだからそこまで気が回らないよね仕方ないよね、という場面が随所にみられてもうリアル。
そして特に主人公、荣梓杉の演技がうますぎる。はじめに严良たちが接触してきたときに家に入れつつも警戒するシーンはハラハラして呼吸を忘れましたね。髪の毛挟むてあんたは老練な刑事か。
突然お母さんと警察が家に来たときは思わず「グラス!片付け忘れてるよ‼︎」と叫んでしまいました笑
優等生故に迷いがあったり脅しに弱かったりで嘘をつくのが下手なところ、物語前半ではうまく笑顔がつくれなかったのに父親が構ってくれるようになって自然に漏れ出るようになった笑顔、そして後半にかけて嘘をつくのが上手くなるのがまた…夏休み明け、クラスメイトが朝阳を「假正」と表現するシーンは胸にくるものがありました。夏休み前は謂れなき悪口だったけど、今はまさにそうなっちゃったもんね…
そして、ラストの夢だか現実だかわからないあのシーン。優等生だった朝阳が保身のための嘘や立ち回り方、狡さを覚えた「坏小孩(悪い子)」になってしまい、严良と袂を分つことが暗示されます。严良は日の当たるところから歩いてくる=後ろ暗いところがなく善良なまま、ということなのでしょう。普普のためとはいえ、万引きと無断乗車、恐喝はやってましたけどね…うん…

それから普普からの手紙のシーン。
秘密とは一体何なのでしょう。単にあの場に居合わせたことを指している、あるいは助けようと思えば助けられたのに見殺しにしたことだ、いや実は朝阳が突き落としていたんだ、などいろいろな解釈ができると思います。そもそも原作では悪意を持って突き落としてるそうなのです。紛うかたなき「坏小孩」。
晶晶の歯に残ったDNAもありますし、警察が普普にたどり着くのは時間の問題でしょう。おそらくそれも見越した上で「(警察に聞かれても)誰にも言わない」ということだと思われます。「見殺しにしたこと」なら普普もあの場にいたわけですから朝阳を糾弾できる立場か?と思ってしまいます。やはり「あの現場にいたこと」もしくは「実は突き落としてたこと」でしょう。
個人的な考えとしてはあの時点でのドラマでの朝阳の描かれ方は極めて理性的で、感情に負けて突き落とすようには見えませんでした。とはいえあの場にいただけなら潔白なので「(正義感の塊である)严良にも言ってない」「打ち明けることで本当にやり直せる」というのも整合性がとれません。
どこをとっても決定的な根拠がない、となるともう自分の感情に決めてもらうしかありません。
私としてはやっぱり突き落としてないと思いたい…!ということで、「あえて違和感を覚える表現で原作のストーリーを仄めかしたのではないか」というのが私の解釈です。
実は日記についても同じことを思いました。原作小説では証拠品として朝阳の思惑通りにことを誘導する役割を持つ日記ですが、ドラマでは朝阳の内心を吐露する程度の役割しかなさそうです(破くなど調べられる可能性を意識したかもしれない行動はありましたが)。
というわけであってもなくてもそんなに変わらないけれど、原作を知っていれば味わいが変わってくる、そんな小道具だったのではないでしょうか。
みなさまはどんな風に感じられたでしょうか?☺️

ちなみに原作『坏小孩』では朝阳は最初から狡猾で、我慢するより復讐するタイプとして描かれているそうです。こちらの記事が詳しいです↓

◎かわいくない「妹」
晶晶のまぁ〜憎らしいこと。ひとさまの靴(しかも新しい)を踏みつけておいて「わざとじゃないもん」なんてもう元来の性格が終わってます。よくよく教育してやらねばろくな人間にならないでしょう。
転落するシーンでは、まだ幼いですし恐怖や不安、焦燥に対処できないのは仕方ない。父親を独占したくて敵視している異母兄を見て逆上するのも仕方ない。仕方ないのはわかるんですが、勝てないくせに煽ったり噛みついたりは悪手でしたね〜。こういうのを中国語では「活该」と言う。
相手が悪ければそれこそ原作みたいに積極的に殺されてたでしょうね。
子どものイヤ〜なところが見事に描かれて&演じられていて脱帽です。

◎哀しき殺人犯
张老师かわいそうすぎる。優しくすればするほど舐められて…彼が何をしてあんなに虐げられるというのか。非常勤講師だって立派な仕事やぞ。
子どもにも本当優しくて、闇金で借りてまでお金あげたり家に匿ってあげたりマクドナルドご馳走してあげたり…そんなんできひんやん普通。
そんなに良くしてもらっても特にありがたいと感じることもなく(もしくはそれとこれとは別と思っているか)告発しようとする严良と反りが合わないのも当然ですね。
秦昊の演技は大変素晴らしかったです。基本的には冷静で良き大人なのにどこか尋常ならざる感じ、サイコパスっぽさが漂っていて…最後の方で何かが吹っ切れたように罪を重ねるさまは痛々しくもありました。

◎「母親」ってやつぁ…
朝阳の母親、周春红のキャラもすごく人間臭くて良かったですね。母は強しというか、強くならざるを得なかったというか…朝阳に厳しすぎるようにも見えますが、子を想う気持ちは痛いほど伝わってきました。
しかし「子どものために」不倫夫と離婚して、再婚もせず懸命に働いてきたと思っている母に対して朝阳が放つ「あのとき、(お父さんじゃなくて)あなたが離婚を要求したんでしょ、覚えてないとでも思った?」という台詞は痛烈でしたね。でも我慢して一緒にいることが果たして正解なのか…親の心、子知らず、逆もまた然り。
とはいえいくら事実でも夫の悪口を言うのは褒められた所業ではないですよね。言われた子どもにとっては自分の存在否定につながってしまいます。しかも周春红はなかなかヒステリックですからこれもよくないですね。
子は親が感じたままに話していい対象ではないんですよね。子の感情を誘導するようなことは良くなくて、子が自然に感じる感情は尊重すべきで、でも教育との兼ね合いもあって…本当に難しいところです。まぁいずれにせよ子の前ではある程度偽るというか繕うことが必要になるのでしょう。
そして最後、全てをなかったことにして「いい子」に戻ることに決めた朝阳に対して微妙な表情を浮かべるところ。今まではただ勉強ができればいいと言ってきたのに、いざ息子が自ら「勉強頑張ってお母さんの誇りになるよ」と言ってきてももうその言葉をそのまま受け取ることはできないわけです。自分の知らないところで何かがあって何かを隠してること、何かが変わってしまったことが明らかなので。
いくらこうあってほしいと願っても道を整備しても、子どもは思い通りに成長してはくれません。そしてそれをわかってもいるからこそのあの曖昧な笑み。は〜深い。

◎老陈ええやつ
いやいい奴すぎる!!牛腩粉持って严良に会いに行くところ!!!そして身を挺して守るところ!!!「こんなに良くされる筋合いない!」と反抗しても「確かに。だから後見人になったぞ」とか言われたらもう泣くでしょ、そりゃあ。圧倒的父性。実の父から得られなかった愛ですね😭
この人の存在だけで严良がこれから正道を歩んでいきそうな未来が感じられます。
けれども《无证之罪》の严良を見てしまうと、うーん…願望ですが、チンピラとは二度と関わらずに日の当たるところを生きていってほしいです。笑

長くなりましたがこのへんで。最後にいくつかリンク貼らせていただいてます。
個人的に共感が多かった感想記事↓


こちらの記事は俳優さんの背景を詳しく解説していらっしゃって大変参考になりました↓


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