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歌詞について書く①(『結局、じゃあねしか言えない』)

noteでなんか文句ばっかり言ってる感じになるのもなんだかなぁと思って、好きな曲の好きなところについて書いてみることにしました。

『結局、じゃあねしか言えない』

というわけで第一弾(続きがあるかは知らない)として欅坂のユニット曲(五人囃子)の『結局、じゃあねしか言えない』について書きます。が、ところで、そもそも論として、この曲のことどれくらい知ってますか????

歌詞についてなにか書こうと考えた時に真っ先に思い浮かんだくらいには僕は大好きなんですけど、欅の曲の中でどれくらいの認知度なのかはよく分かんない…一応ユニエアには収録されてるけど…。

歌詞全引用はあれなので一旦外部リンクに目を通して頂いて、凄く好きなフレーズがあって、その話をしたいんですけど、まずは順番通りに冒頭から。

秋元康の書き出しの特徴

“夕暮れは思ったよりも 空を急に暗くしてしまった”

秋元康の歌詞のパターンのひとつに、歌い出しの歌詞が主人公の目に映る景色や風景を描いて、それが主人公の心情を表していることがままあって、今回もそのまんまそうだと思われますね。
“夕暮れ”という言葉は、それ自体はプラスにもマイナスにもなり得る言葉だけど、今回は「思ったよりも暗くなってしまった」というニュアンスがあり、ネガティブな心情が窺えます。

アイドルの歌うラブソングの説得力

これは好みの要素も大きいのですが、アイドルが歌うラブソングについて、「恋愛禁止」という建前がある以上、
恋の真っ只中だったり好きすぎて苦しいみたいなタイプの曲にあまり説得力を感じないんですよね。

むしろ、恋の始まりを予感させるような、自分の気持ちを恋と呼んでよいものだろうかと悩むタイプの曲の方がシンパシーが生まれて、説得力(聴き手に曲の世界観を理解させるための“圧”)が増すと思ってるんですね。

この曲も完全にその後者のタイプで、好きと言えばこの関係が終るかもしれないと悩む、王道の展開が胸を打ちます。

サビの“締め”のフレーズ

“じゃあねなんていつも同じ言葉で締めて 背中を向け歩き出そうか?
でもすぐにいつも立ち止まって(振り向く)
君の自転車 見送りふと考える
明日 普通に会いたいんだ
帰り道 ここで話せるならこのままが一番いい
星が出た”

サビに入ると切なさが加速し、「じゃあね」と別れた後も、僕はすぐに振り向くけど、君は振り返らずにまっすぐに帰ってしまう。
焦がれているのは自分だけなのか、でも下手なことを言ってこの関係性を壊すのは厭だ、という葛藤の中のサビの最後のシンプルな一言が素晴らしいんですよ。“星が出た”。

“星が出た”

「星が出た」とはどういうことでしょうか。現代文の問題みたいだけど、一度考えてみてください。なぜ“僕”は「星が出た」と思ったのでしょうか?

答えは簡単、「空を見ていた」からですね。…簡単すぎるって? では、その次、なぜ“僕”は空を見ていたのでしょうか? 空を見ていたのはどういった心境からでしょうか?

もちろんここは解釈の余地があり、正解はひとつに絞れないです。例えば涙を堪える為に空を見上げた可能性もあります。
でも、きっと“僕”には前向きな気持ちがあったんだろうと思ったんですね。この恋が上手くいかないかもしれないと、クヨクヨして俯いていたのではなく、切なさはありながらもしっかりと前を向いていたからこそ、空を見上げて星を見つけることができた。

“星が出た”というシンプルな五音に、この恋はきっと上手くいくと、示唆されているように思える。

星そのものも吉兆とされることが多いし、また時間経過も自然で良いんですよ。
冒頭の夕暮れで暗くなってきたところから、サビの終わりで星が出るところまで、ひとつの時間経過としてきちんと繋がっている。情景が目に浮かぶよう。
そういった幾つもの要素が“星が出た”の五音に込められている。これぞプロの仕事と思わされるし、この曲が好きな理由なんですよね。


というわけで歌詞についてでした。また書きますね(謎のfeat.久保史緒里)。


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