J2視覚化計画2023〈第33節〉
◎今節のアナリスト◎富嶺 織布音
みなさまごきげんよう。
J2が前半戦を終えたのは、6月17~18日(第21節)のことでしたわね。今から考えますと、まだ暑さも序の口でした。翌週6月24~25日(第22節)から後半戦が始まりました。そこから2ヶ月余り、日に日に暑さを増す夏本番、前節までに11試合(今節で12試合)を消化。豪雨や落雷の影響で未消化ゲームも出ておりますが、おおむね後半戦の半分を消化したことになります。
残るシーズンもあと4分の1。5節前に残留ラインが高いことを書かせていただきましたが、いまだ21位の勝点=試合数×1のハイペースのまま推移してきておりまして、J2のリーグ全体の底が上がったことを実感いたします。
混戦続く残留争い。後半戦が始まった22節から前節(32節)までの勝点推移をグラフ化していただきました。
この期間、いちばん勝点を稼いだのはいわきFCですわね。このグラフの左端・第22節は村主監督から田村監督に交代して2試合目のこと。ここから7試合で5勝2分。グラフを見ても鋭い伸びを視認いただけると思います。監督だけでなく、戦列復帰した岩渕選手のジョーカーとしての活躍も素晴らしかったですわね。途中から出てくる「切り札」の存在もチームに勢いをもたらします。
監督交代ブーストという言葉がぴったりくるのが、山口の名塚監督→エスナイデル監督の交代劇。監督交代は前半戦の第20節のことで、上記グラフでは既に監督交代による「負け無し・無失点」の状態に入っているところです。ですが、右肩上がりの急浮上は一旦26節でとどまっています。
うまく浮上のきっかけを掴んだいわきや山口も、好調期は6~7試合くらいでした。これが昇格に絡むチームならば10試合以上継続するのかもしれませんが、下位ならば6~7試合好調が継続すれば優秀でしょう。
監督交代といえば、徳島が前節からラバイン監督→吉田達磨監督となり、浮上のきっかけを掴みました。今節は3位清水相手に互角以上に渡り合ってのドロー。監督交代による良い流れはまだ継続してるように感じましたわ。5試合くらいは続けたいところでしょう。
夏の移籍ウインドーを起爆剤に勝点を伸ばしてきたのが、最下位の大宮ですわね。新戦力が出場できるようになって勝点を伸ばしているのがわかりやすく図示されています。ただ、こちらの好調期は4試合ほど。残留ラインに食い込むには、ふたたび好調期を持ってくる必要がありますわね。
少し遅れて夏の新戦力効果が出てきたのが仙台でしょうか。第30節までほぼ横ばいだったグラフが、連勝を果たして伸び始めました。伊藤監督→堀監督の交代が26節からですので、新監督のやり方が浸透してきたという見方もできます。今節は甲府相手にスコアレスドロー。いい流れを切らすことなく、勝点40に乗せましたわ。
そしてこの期間を通じてずっと右肩上がりで推移しているのが、栃木ですわね。期間中2度敗戦は喫していますが、連敗はいたしませんでした。途中黒星ははさんでも、10試合スパンで見て好調を持続できているのは、下位チームが目指す理想型ともいえます。
一方で、グラフの横ばい状態が10試合以上も続いているところもございますの。藤枝と熊本ですわね。師弟関係の須藤監督と大木監督、どちらも相手に合わせることなく、自分たちの攻撃スタイルを貫く点は共通しています。今節、藤枝は同じく残留争い勢の栃木に敗北。天皇杯からの連戦になった熊本は千葉相手に惜敗を喫してしまいました。次節はこの両者の対戦です。
仙台が横ばい状態から連勝を持ってきて浮上していったように、何かのきっかけで変わる可能性は秘めていると思いましてよ。
今季も残すはあと9~10試合となりました。残留を目指すチームは、どこで浮上のきっかけを掴めるかがポイントですわね。さすがに10試合を切ってからの監督交代はリスクの方が大きいと思いますが、「上手くいけば6~7試合の好調」という実例を踏まえれば今がギリギリのところかもしれません。
選手の追加登録期限は来週金曜で終わりますので、今後はチーム内にいる選手の中から「切り札」が現れれば浮上への起爆剤となるかもしれませんわね。いわきの岩渕選手のように。
とりあえずのラインとしては、9月中に勝点42を超えられれば残留争いからは仮卒業と見ております。9月を終えて残り5試合の段階で、残留を争うチーム数はいくつになっておりますでしょうか。
それではみなさまごきげんよう。