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J2視覚化計画2023〈第25節〉

#J2視覚化計画2023

◎今節のアナリスト◎下輪 毅

江戸は千駄ヶ谷なる国立霞ヶ丘城。日本職業蹴球連盟二部にて新装後初の臨時城主に立ったのは、首位を独走する町田翡翠軍。対峙するのは旧国立霞ヶ丘城にて数々の刀傷を残してきた名門・東京緑一色軍。いざ首位と二位の矜持を賭けた国立頂上合戦! なれど開戦前夜から纏いし空気は騒然たり。

騒動は、“東京古典合戦”の三日前、東京緑一色軍にて攻撃の核を担いし主力兵“ばすけす・ばいろん殿”が電撃的に町田軍へと移籍したとの一報から始まった。町田軍の大将・黒田剛氏は、ばすけす殿の青森山田学校時代よりの恩師であり、その背景を含めて様々な憶測や愛憎渦巻く移籍劇であった。
主力中の主力が対立する軍勢へと身を転じるなど、戦国乱世さながらの出来事にて候。まるで徳川家重臣の座から出奔し、天下統一直前の豊臣家へと鞍替えした石川教正のようではないか。

開戦前から遺恨があった。そして舞台は国立霞ヶ丘城。一目天下分け目の合戦を見んと城内に詰めかけし観衆は何と三万八千四百二人。両軍の入城時に噴き上がりし篝火は、激戦を予兆させるものだったのか否か。

町田軍、緑一色軍両者ともここまで堅守を誇り、失点数は緑一色軍がわずかに十五、町田軍が十六。堅い戦いとなると思いきや、開戦早々二分にして町田軍が先制。疾風の如き“えりき殿”の抜け出しから、門番守まてうす殿が弾きし球に詰めた藤尾殿が矢を貫いた。
緑一色軍も怯まず押し返し、球を保持して両翼から反転攻勢に出るも、町田軍は強度の高い守勢を基本に、時折韋駄天えりき殿を使って奇襲に出る構図。
流れは緑一色軍にありや思いきや、三十八分に緑一色軍の投入球を抜け目なく奪った下田殿からえりき殿、安井殿と繋いで町田軍が電光石火の二得点目。勝負の勘所を抑えし町田軍の強さが際立つ。

後半開始直前に、暗転する国立霞ヶ丘城に上がった花火と篝火は、町田軍の勝利の前祝いであろうか。「いや、さにあらず!」と後半も攻勢に出るは緑一色軍。されど町田軍の士気も守備強度も高く、粘り強さに速攻奇襲を織り交ぜながら緑一色軍を消耗させる。
合戦が動いたのは七十三分。緑一色軍の右翼手・宮原殿の絶妙なる横矢掛を中央で染野殿が頭で叩き込んで逆襲の一得点。攻める緑一色、守る町田で合戦は最高潮の刻である。
そして八十三分、緑一色軍の学生兵・新井悠太殿の左翼突破からの横矢をまたしても染野殿が仕留めて同点に。今週鹿島軍から再加入したばかりの前衛兵・染野殿の面目躍如である。
追加時間に至っても緑一色軍の攻勢はとどまらず。しかるに町田軍もえりき殿の奇襲から絶好機を迎えるなど国立合戦は両者譲らず被引き分けに。開口一番「サッカー“”勝ちたかったです」と申された城福大将の心境いかばかりであろう。

日本職業蹴球連盟二部、第二十五節を終え、町田軍はなおも首位をひた走る。緑一色軍は次席に踏みとどまるも、磐田軍や甲府軍が迫るなど、次席争いは激戦の様相。残るは十七節。まだまだJ2にはドラマが巻き起こりそうだな、と空を仰ぐ吉宗であった。

下輪 毅(したわ・こわし)
1970年高知県生まれ。ブルックスやフューチャーズを知る世代だが特に需要がないし話も合わない。座右の銘は「旅は道連れ、二部は情け」


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