サンガスタジアムbyKYOCERA 攻略ノ書/2022ver.
オープンからすでに2年が経過したものの、“京都の新しいスタジアム!”と再び脚光を浴びることの多くなった我らがサンガスタジアムbyKYOCERA。それもこれもたぶんJ2という闇の魔境から、J1という光の世界に出てきたおかげ…。オープン時にいろいろ書いたこともあるけれど、改めてその「攻略法」をひもといていこう。
◎アクセス編
公共交通機関=JR嵯峨野線
スタジアムの所在地は京都府亀岡市。多くの人が勘違いしがちだが、亀岡は京都市の西にある。亀といえば北が相場だが、北ではない。公共交通機関はJR嵯峨野線1択(一応ほかにも阪急桂駅←→スタジアムのシャトルバスもある)。嵯峨野トロッコ列車?そういうのもあるがあれは観光列車で公共交通機関ではない。
嵯峨野線は快速電車と普通電車があり通常1時間に4本程度。快速は1時間に1本のみ。ちなみに京都駅から円町や嵯峨嵐山で一度降りても運賃総額は20円、10円しか変わらなかったりする。
試合開催日は2両増結(=6両編成)や4両増結(=8両編成)で運行してる印象。前方車両が比較的空いているが、混んでる便は混んでいる。
嵯峨野線の車窓から
嵯峨野線は京都市内中心部を高架で走っているため、割と車窓からいろんなものが見えるのもポイント。高架とはいえビルや住宅地の間を走っていくので展望が開ける訳でもないが。
おすすめは常に市内中心部側を向く右側。何より馬堀駅のところで田んぼの向こうにサンガスタジアムが見えてきて、だんだん近づいてきて、スタジアムの真横を通過する。初めて行くのなら、ぜひ右側をおすすめしたい。
途中、スマホの電波が届かない秘境を越える
嵯峨嵐山駅から先は、長めのトンネル→渓谷→長めのトンネル→渓谷…が連続する秘境区間。都からサンガスタジアムに向かう人々はここで強制的に非日常のスイッチが入れられるのだ。スマホの電波すら届かず、情報は遮断される。トンネルを6つ越えると、完全なる鄙…いや非日常の世界となる。
改札を出ると目の前にスタジアム
亀岡駅はホームから階段orエスカレーターを上がって、高架上に改札があるタイプ。サンガの所属選手のアナウンスが流れている時もあるが、だいたいハキハキしてない。要研修。改札を出るとすぐ、正面にスタジアムが見える。初めて来る方々はだいたいここでびっくりする。(今年からは)アウェイチームのウェルカムボードも設置されているぞ。
駅からは迷いようがない
駅からスタジアムまでは徒歩3分。迷いようはないが、駅を出てまっすぐ北へ、マンション(建設中)とホテルの左側を歩くのがルール。ゲーム開催日には左手の「かめきたサンガ広場」で「かめおかecoマルシェ(※後述)」が開催されている。広場の噴水や遊具はちびっ子に大人気。
◎スタジアム入場編
座席は全席指定。すごく快適
現在の京都の主催ゲームは全席指定になっている。「目当ての場所に座るため並んで待つ」「長い待機列を作る」といった非生産的な行動は不要で、めちゃくちゃ快適。もう先着順とかイヤ。
一時期自由席で運用してた頃は行列を作らされたりしていたが、雨が降ると「何のための全面屋根スタジアムだよ!」とか「せっかく駅近なのにバックスタンド側まで回らされるの?」とか思ったものだった。そもそもこのスタジアムは場外の敷地面積に余裕がなく、長い列を上手く作れないのだ。全席指定が最適解と思う。それでも混み合う時間はあるので、余裕を持って行けば(キックオフ2時間前とか)ほぼ並ぶこともない。
コインロッカー・ベビーカー預かり所あり
階段1(メインスタンド入場口の近く)の下には、コインロッカーやベビーカー預かり所がある。詳しくは係員に聞いてね(実はよく知らない)。
入場は結構スムーズ
入場は基本チケット記載のゲートから。手指消毒(現在はセルフ)→手荷物確認&体温計測(遠距離カメラで確認)→チケット確認(QR読み取り)→配布物があれば手渡してくれる…という感じ。ビン・カンの持ち込みはダメだけどペットボトルは可。サンガスタジアムのボランティアスタッフの方はとても親切だと評判がいい。感謝。
再入場は可能
入場後にスタジアムの外に出ることは可能。基本的には西京極時代と同じシステムで、階段1(北西・メイン側)と階段5(南東・バック側)から一時退場→再入場できる。こうしないとグッズ売り場などにも行けない。ボランティアスタッフの方はとても親切。感謝。
通れる場所、通れない場所
サンガスタジアムはコンコースが場内と場外をぐるりと周回している構造。コンコースは自由に行き来できるのだけど、内コンコースには「アウェイチームグッズ着用×」「ホームチームグッズ着用×」の箇所がある。
外コンコースは(ホーム・アウェイ関係なく)誰でも歩けるが、運用上通り抜けられなくなっている箇所がある。(→なのでアウェイ客はバックスタンド側からメイン北側方面には通り抜けられない)
内コンコースはメインスタンド側で途切れているが、VIP席の前を通って北【N】←→南【S】を通り抜けられる。ただし狭い。
南【S】スタンドはビジター側だが、上層3階席はホーム席エリアなので、基本的に立ち入り禁止。アウェイグッズを外せば上がれるが。
下層=2階席、上層=3階席
サンガスタジアムの2階席というのは下層階のこと。上層階は3階席という。1階席というのは間違い。1階というのは下層スタンドのさらに下にあるロッカールーム等の諸室や付帯施設(飲食店、保育園等)になる。メインスタンドには4階席もあるが、記者席になっており一般は立ち入りできない。
どこが見やすい?全部さ
見やすい席はどこか?と尋ねられても「全部」としか答えようがない。どこに座っても死角がなくて見やすく設計されている。コンパクトサイズなので上層の最上部でも「遠い」という感覚はないと思う。
ただしピッチに近い下層最前列近辺についてはピッチ全体は見わたしにくくなる。その分、臨場感はスゴい。豆知識としてはメインよりもバックスタンドの方がちょっとだけピッチに近い。それからメインの最前列は目の前でサブの選手が右へ左へアップしたりするので、それは理解しておいた方がいい。
下層上部はピッチ全体も見やすく、トイレ等にも行きやすくておすすめ。ただし人の移動が多いので気が散るかもしれない。
上層最前列は俯瞰での見やすさ+ピッチまでの近さを兼ね備える神席。その分埋まるのも早い。それからちょっと移動しずらい。
静かに観戦したい人は上層最上部を激推し。バック上層は人気席だがホーム指定(南側【S】)の上の方は人がとても少ない。
アウェイでも座れる席は?
現在の席割りだと「ホーム指定以外」はどこでも大丈夫。つまり北スタンド(下層・上層)と南スタンド上層以外はアウェイユニ着用で座ってもOK。メインスタンドやバックスタンドに座りたいアウェイな方は、できるだけ北寄りを選んでいただければよろしいかと。
トイレはキックオフ前に済ませておこう
内コンコースにぐるりと配置されたトイレはライセンスを十分に満たす数だが、8千人を越えてくると当然混雑する。なるべく計画的に済ませておいてハーフタイムにはトイレに行かないのが吉。ハーフタイム前後以外はそこまで混雑することはない。
座ったら移動しずらい
構造上の弱点としては、座席前後に余裕がない点。座っている人の前を通るのはとても窮屈。収容5000人制限の頃とか、そもそもJ2時代にはあまり気にならなかったが、間隔を空けずに1万人以上入るようになるとそのあたりの問題は出てくる。人が座りはじめると水平移動が難しくなり、一旦コンコースに出て横移動する必要がある。ほぼ同時期に完成した国立競技場などと同じ。対策としては、通路側の端の席を取るべし。
◎スタグル・マスコット・付帯施設編
なぜか3つのスタグルがある
すごくややこしいことになっているのがスタグル事情。実はJリーグでのサンガスタジアムの飲食は大きく3つに分かれている。
①スタジアム内/コンコース(いわゆるスタグル)→京都サンガ管轄
②スタジアム1階「Football Diner」→サンガスタジアム管轄
③かめおかecoマルシェ(かめきたサンガ広場)→亀岡市主催
クラブのHPでインフォメーションされているスタグルは①だけ。ブースはコンコースの周囲にポツン、ポツンと点在している形で、内側からも外側からも買える(店によっては窓口が片方のみもある)。
コンコースにはキッチンカーがそのまま乗り入れられるため、J2時代はアウェイのスタグル(松本の山賊焼とか長崎の角煮まんじゅうとか金沢のチャンピオンカレーとか)もゲスト出店してたりしたが、最近あまり活用されていない。
試合開始が近づくにつれ混雑するし、正直オペレーションの手際もよろしくない。というのもスタジアム開業即緊急事態宣言突入だったため、フルスペック運用したことがないのである。場内スタグル事情は今後改善されなければならない点。こちらを利用する際には早めに買っておくことをおすすめする。クラブとしていろいろプロデュースできるはずなのだが、まだ大きな話題になるようなメニューも出てきてない。
②は座席があるフードコートスタイル。現在、おむすび屋「結や」とうどん屋「つるり」の2店舗が営業している。かつては臨時でお菓子屋さんとかパン屋さんとかフルーツサンド屋さんが出たりしてたけど、コロ何ちゃらが重なったためそれらも無くなってしまった…。最近全面改装してさらに改装中と、まだ方向性が定まってない模様。
③は亀岡市主催で、地元亀岡のお店がテントやキッチンカーを出している。J2時代は数も限られていたが、J1昇格後は出店数も増えた。いわゆる地方クラブの屋台村っぽい雰囲気があって価格も良心的、スタジアム開場前からやっているので大変ありがたい。ただし、雨と風には滅法弱い。あとは事前インフォメーションが少なく、どのお店、どんなメニューが出るのか把握しずらいのは玉にキズ(まぁだいたい同じ店が出てる)。個人的にはこちらを激推し。イベント用ステージもあるがあまり活用されていない。
パーサ&コトノはいつ登場する?
京都は今のところマスコットが場外を出歩くことがなく、スタジアム内ピッチ脇を回るだけ。おそらく開場後すぐくらいと、ウォーミングアップ前くらいのタイミングで場内を回っているはず。明確にスケジュールがアナウンスされている訳でもなく、開催日/天候によっても違う。サンガキャンパス隊がエスコートしてるかどうかも日によって違うが、基本的にパーサ、コトノの2体だけ歩いてることの方が多い。
J2時代はアウェイ席側まで歩いていたが、J1になってからは途中で引き返すようになった模様。試合終了後にはたぶんアウェイ側にも行く(チームによって対応は異なる)。
コトノちゃんのホワイトボード芸
場外で触れ合うことがなくなったが、コトノちゃんはホワイトボードに何か書いてコミュニケーションを取ろうとしている。ツイッターアカウントが止まったままなので彼女の意思表示はホワイトボードを通じてしか知ることができなくなった。「今年は大前ちん推し」等の新たな情報が得られることも…。パーサくんもプラカードにネタを書いて周回する芸があったが、今はやってない。
ゲストマスコット1号は誰だ?
なお、サンガスタジアム開業以来まだ一度もアウェイチームのマスコットが来場していない。毎年マスコットを送り込んでくれていた岐阜とは対戦自体がなかったし、愛媛は2年連続緊急事態宣言のためサポーターさえ入場できなかった。長崎や金沢は平日ナイトゲームとかシーズン最終戦とかで来場かなわず。
今季対戦があるチームは、そもそも西京極時代からマスコットを送り込んできたクラブが少ない。唯一実績があるのはグランパスくんだが…さて。
スタジアムには付帯施設もあるぞ
スタジアムが競技しかできないというのはもう古い。サンガスタジアムbyKYOCERAには新しい時代のスタジアムとして以下のものが付帯しているので、スタジアムマニアはチェックしておきたい。
足湯は現在はタオルがないので要タオル持参。付帯施設ではないが、道路を渡るとスターバックスコーヒーがあり、保津川下りの船着場がある。日本一船着場から近いスタジアムの座を広島と争うことになる。
◎スタジアムの特徴編
雨に濡れない全面屋根
スタジアムには全面屋根がかかっており、垂直に雨が降るなら理論上は全席濡れない構造。ただし自然 is 天然。風向きによっては前から5列目くらいまでは雨が吹き込む可能性があることは頭に入れておこう。今季第10節福岡戦は低気圧の通過によって大荒れで、1層目がことごとく濡れる有様。自然のことだから仕方ない。ただ、基本的には濡れない。なのでグッズとして雨具とかも売ってない。
夏のバックスタンドは要注意
屋根があることで直射日光を避けられるのもポイント。ただしバックスタンドは西からの日射が直撃する。夏のナイトゲームの時期でもほとんど18:30キックオフのため日射は残るし、何より座席自体がとても熱くなっている。それがイヤならバックスタンド以外をおすすめ。ただ、西京極ほど不快な暑さはないので、夜になってしまえば京都市内ほどは暑くはない。
逆に冬になると亀岡の底冷えは強烈。風の影響は受けないものの、ここまで寒いのかというくらい寒い。晩秋~冬、早春は陽射しが当たるバックスタンドの方が暖かい場合もある。
全周閉じたスタジアム
サンガスタジアムは四方を屋根と壁で覆われている360°全周閉じたスタジアム。一部の席を覗いて周囲の風景すら見えない。完全に外界からクローズされていることによって、非日常の劇場的な空間が生まれるのだ。曺貴裁監督がサンガスタジアムをしばしばヨーロッパのスタジアムに例えるのは、このあたりの雰囲気もある(と思う)。
クローズ×コンパクトの音響
全周閉じられて外界と隔絶するスタジアムは札幌や豊田、吹田、神戸など他にもあるが、サンガスタジアムはそれらよりも規模がコンパクト。環境への配慮から屋根の高さが低く抑えられたことによって音がダイレクトに反響する。鳴り物禁止の頃には選手の声がよく聞こえたが(バイスとか森脇がうるさかった)、今は両サポーターの手拍子や太鼓のグルーヴ感が独特の雰囲気を作る。J2とJ1の差を最も感じるのもここ。
ピッチまでの近さは専スタ標準
スタンドからピッチまでの近さは当然ながら陸上競技場よりも近い。いやめちゃくちゃ近い。球技専用スタジアムとしては標準レベルで、日立台とか長崎(建設予定)とか、もっと近くなるスタジアムもある。練習中、試合中ともにボールがスタンドに飛び込む場合あり。特にタッチ際のクリアボールが下層階に飛ぶとかなりの勢いなのでボーっとしないように。一度だけ上層まで三沢直人のシュートが飛んだことがある。
芝コンディションは悪いというより重い
サンガスタジアムの芝は時期によって荒れることもある(夏場。特にゴール前)が、芝が悪いと断じるのは早計。日本の競技場に多い短く刈り上げた「軽い芝」ではなく、やたらと密度が濃い、馬力が必要なタフな芝になっている。たとえば同一選手の走行距離を比較すると、アウェイよりサンガスタジアムの方が少ない数値が出がち。フィーリングが違うので足を滑らせる選手も多い。このスタジアムでの経験値が少ないチームが割と苦戦しがちなのはこのあたりもあるかと思う。
◎アフターゲーム編
試合後の演出は特になし
試合終了後、特段演出的なものはない。京都が勝った時だけ表彰があるが、西京極時代にあった“お立ち台インタビュー”はなくなった。京都の選手・スタッフは基本的にメイン→ホームゴール裏→バックと挨拶に回り、メインへと戻る途中でアウェイサポーターにも挨拶をする。これは緊急事態宣言下のアウェイ席禁止の頃に無人のゴール裏に挨拶したことが発端。ファン・サポーター側の意識も変化し、試合前にもアウェイチームに対して大きな拍手を贈るようになった。
アウェイチームは大抵アウェイゴール裏に整列して一礼して、メイン側の声援に応えながら引き上げる。一番間近で選手の顔を見られるのはこのタイミングかもしれない。
忘れ物には要注意
ついつい忘れがちになるのが各席の前に付いているボトルホルダーの中に入れておいたもの。特に水筒類が多いらしい。もし忘れ物をしてしまったらクラブではなくサンガスタジアムに連絡して、座席番号を伝えて確認してみよう。
帰りの混雑回避術
試合後の亀岡駅は当然混雑する。肌感覚として4000人以下の場合はほぼノーストップで駅に入れるが、5~6000人で駅に入る階段をボトルネックとして混むようになり、8000人を超えてくるともっと手前から人溜まりができるようになる。こけら落としのセレッソ戦=1万8千人の時は、広場の横から10分ほどの行列が続いた。
ただ、去年までは収容率50%制限(=MAX10000)だったため、なかなか運営側も駅側もノウハウが蓄積していない。人をいかにスムースに誘導するかは今後の課題。8000人オーバーでなるべく混雑を避けて駅に入るには、試合終了と同時に退出すべし。なるはや・早足で駅に向かえば、そこまで混雑に遭遇することはない。(余談だけどガンバ大阪サポーターはめちゃめちゃ退出が早かった。。。)
逆に試合終了後にスタジアムでゆっくり過ごして、ピークアウトしてから駅に向かうのも一つの手。なお、バックスタンド側の高架橋「保津橋」に回って亀岡駅の南口に行く方法もある。徒歩10分ほどかかるが、橋の上からはサンガスタジアムの外観全景を見ることができる。
京都方面の電車は混む
帰りの京都方面行きの電車は増発便はあるものの、当然混み合う。なぜかJR側が詰め詰めになるまで出発時間を3~5分ほど遅らせたりするので、定刻通りに出発しない。J2の頃は気にならなかったが、VAR分の追加時間でアディショナルタイムが長くなると試合終了時間とダイヤが噛み合わない場合もある。
また、後発の電車が隣のホームに停まっていたりするので、どうしても座りたいならばそちらを使う手もあるが、来た電車にすみやかに乗ってしまう方がいいと思う。スマホで他会場の結果・経過などをチェックする場合は「電波が入らないトンネル区間」の手前までにいろいろ読み込んでおくといい。
時期や時間帯によっては嵯峨嵐山駅に大勢の観光客がいる場合もある。サッカー帰りの乗客満載で積みきれない状況もあった。全盛期の頃の外国人観光客がわんさかいる状況が戻ってきたらどうなるのだろう…(怖)。
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