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J2視覚化計画2023〈第13節〉
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◎今節のアナリスト◎荘家久 まどか
夏も近づく八十八夜、芽吹く新緑が目に鮮やかな季節になりました。陽光が燦々と降り注ぐ5月は、実は紫外線量も多くなっているそうです。日焼け対策も考えないといけませんね。
さて、J2では1位と2位が自動昇格しますが、光あれば影あり、あと一歩のところで昇格できなかったチームも出てきます。2017年以前ならばJ1昇格プレーオフの決勝で敗れたチーム、2018年以降ならばJ1参入決定戦で敗れたチームが最も悔しい思いをしたチームといえるかもしれません。去年ですと熊本ですね。
しかし一番理不尽で悔しい思いをするのは、リーグ戦を3位で終えて昇格できなかったチームではないでしょうか。長いシーズンを戦って3位という成績シーズンを終えたのですから、ほぼ例外なく「今年こそは昇格を!」と大きな期待を背負って新しいシーズンに臨むことになりますし、周囲からも昇格候補と一目置かれる存在になるかと思います。
しかし、実は「前年3位」のチームには厳しい現実がありました。
下図はプレーオフが始まった2012年以降の3位チームを表にしたものです。
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11チーム中、2チームはポストシーズンでプレーオフを経て昇格しています。
翌年もJ2を戦ったのは、8チーム(現在進行中の岡山を合わせると9チームになります)。そのうち昇格を果たしたのは2018→2019の横浜FCだけ。翌年も順位を維持したのが2012→2013の京都。残る6チームは順位を下げています。3位と2位との勝点差は、翌年の成績とはあまり関係ありませんでしたね。
まとめますね。
翌年もJ2を戦った3位チーム(8例)のうち
・2位で自動昇格できた→1チーム
・3位でプレーオフ進出→1チーム
・4位もプレーオフなし→1チーム
・プレーオフにも入れず→5チーム
翌年昇格できたのは、8例中1つだけなんです。プレーオフに出られたのも1つだけ(※2021年長崎は4位でしたがプレーオフが行われず)。近年は特に前年3位チームが苦しんでいる傾向も見えてきます。2021→2022の甲府などは、3位という好成績を挙げたがゆえに戦力を維持できなかったパターンですね。長崎は、3位(2020/POなし)→4位(2021/POなし)→11位(2022)と年々順位を下げていますが、今季、今現在とても調子がいいですね。
さて、昨シーズン3位だった岡山は、プレーオフでは1回戦で敗北。悔しい思いをして、今季もJ2で戦っています。指揮官は木山監督が続投していますし、戦力的に大きく落ちた印象はないのですが、6節~11節まで6連続ドローなどで勝ちきれず。前節~今節と連勝して現在の順位はPO圏内まであと少しの7位です。「今年こそは!」という思いも強いと思いますが、チームは生き物ですし、相手関係も変わるので前年の力がそのまま発揮できることの方が稀なのでしょう。でも今節の2点目・櫻川ソロモン選手の得点などをみると、去年デューク選手がいた時と同じような力強さを感じました。
前年3位チームの苦悩は今年も続くのでしょうか。それとも岡山が終止符を打つのでしょうか。
ちなみに3位になったチームの顔ぶれをみると、J1を経験していないのは岡山だけです。もう手を伸ばせばJ1に届くかもしれないポジションには立っているんです。まぁ、千葉もJ1“昇格”は経験していないのですが…。
天上界 ふりさけみれば
J2なる 三位の翌年 曇る月かも (まどか)
荘家久 まどか(しょうかく・まどか)
1996年島根県生まれ。報われない者がもがく文学作品をこよなく愛す。陽キャは苦手。座右の銘は「犬が2部向きゃ尾は1部。昇格まだか?」