J2視覚化計画2023〈第9節〉
今節J2の動向をどうこうと話すアナリストは、ベテランJ2批評家の下輪毅さんです。
◎今節のアナリスト◎下輪 毅
拙者、あなりす…動向分析官のような威徳ある者にはござらぬが、頼まれたからには致し方なし。口下手なのはご容赦願いたい。
さて、日本職業蹴球連盟二部においては、二十二の軍団がそれぞれに本拠の城を持っておる。「本拠の利」という言葉がある通り、概ね本拠で戦う方が有利とされておる。されど、海外の職業蹴球連盟らに比べるとそこまで差がないとも云う。
ならば昨季いかようなる傾向だったのか、しばし繙いてみよう。
昨季日本蹴球二部を制した新潟軍。全勝点八十四のうち実に五十点もを本拠・殿下巨白鳥城において獲得しておるのは「本拠の利」でなく何であろうか。無論、強き軍団は本拠でも敵地でも強い傾向にござるが、新潟軍のように本拠にて大勝ち鯨波を受くれば、軍団としても奮い立とうと云うもの。他に昨季本拠で瞠目すべき成績を挙げた軍としては、九位東京緑軍(味の素城)、八位徳島軍(鳴門大塚保雁城)、十六位山口軍(維新未来生城)あたりにござろうか。
さてさて今第九節、本拠にて首尾よく勝利を挙ぐるは六の軍団(六勝三分二敗)なり。本拠に地の利があるというのは建前ではござるが、こたびのような連戦時には移動の負担、環境変化による精神面の変動が少なき点など、やはり本拠で戦えることは有利かと思うがいかがであろう。
今季、ここまでの本拠にて強き軍団は以下の通りなり。
ここまで難攻不落を誇るは、大分軍の令祖南句覆城(五勝無敗)。東京緑軍は昨季に続いて味の素城(四勝一分)にて強さを発揮。大宮軍の七九五城(四勝一敗)、町田軍の町田祇園城(三勝一分一敗)も堅城と云えるであろう。特筆すべきは金沢軍で、本拠・石川西部城(三勝一敗)にて実に十一得点(四失点)を奪う拠点ぶり。敵軍に「かの城攻略し難し」と思わせることこそ、肝要と心得る。
無論、山形軍(二試合)など雪国勢は本拠開催数自体が少ないため単純な比較はできぬことながら、本拠を得意とすることは上位へ歩を進めるための大きな得手となるであろう。また、降格を免れるためにも重要な点。これすなわち、歩(ほ)を生むアドバンテージと申す。お目汚し失礼。