【りむすびnext⑨】初婚は投資、50代再婚は寄付。スペックよりも暮らしぶりに重きをおく理由
若かりし頃、ワイドショーで50-60代の芸能人が再婚するニュースを見ると、「えっ、そんな年齢になっても恋愛とか再婚とかしたいんだ」と驚いていたものですが、その年齢になった今、「はい。したいんです。」と即答できます。
ただ、1回目の結婚とは違い、子どもがほしいわけでもないし、マイホームを購入する必要もない、結婚しなくてはいけない外圧も、妊娠するための年齢制限もない。
つまりは、なにかミッションを成し遂げるためのパートナーである必要はないので、おのずと選定条件が変わってくるのです。
初婚は”投資型”
私の場合、1回目の結婚はお互い26歳。のちに夫となる彼氏は社会人としてはまだまだ未熟、とはいえ伸び盛り。
ある一定のスペックは大前提として、
・この人はメンタル強いし野心があるから仕事で成功しそう!
・子育ても好きで良いパパになりそう!
・ビジュアル的にも子どもができたら遺伝子的によさそう!
「きっと、この人と結婚すれば幸せになれるに違いない!」という、相手のポテンシャルや伸び代への期待値込みで選んだ、”投資型” とでもいいましょうか。
お互いを十分に理解し合いパートナーシップを築けていたかというと、ややダウトではありましたが、一緒にいて楽しいし、付き合って4年だし、まわりも結婚し始めたし、2000年ミレニアム婚ムーブに乗っかりゴールイン。
その後も、共働きしながら30歳で出産、都内にマイホーム購入。仕事も子育ても順調で、投資先を選ぶ目に狂いはなかったようです。
そんな生活が15年ほど続いた2015年。まさかの離婚に至るわけですが、結婚後のひととおりのミッションをなに不自由なく滞りなく実現できたのは、言うまでもなく元夫のおかげであり感謝は尽きません。
なによりも、息子を授かることができたこと、そして息子が歳を増すごとに父親にに言動が似てきていることが嬉しくもあります。
離婚をバネに躍進し、すでにファイヤー・海外移住し、私と時を同じくして息子の成人とともに再婚した元夫。
息子にとって、一番身近な男性の社会人であり、多大な影響力がある存在だからこそ、息子の父親という立場としても、投資先としてベストな選択だったと思います。
50代再婚は”寄付型”
では、50代の再婚はどうでしょう。
さきほど1回目の結婚を”投資型”とたとえましたが、人生の折り返し地点を過ぎて、いずれ仕事をリタイアし老後を迎え、終活が視野に入ってくる年代。
体力的・経済的・能力的において、この先の伸び代に期待するという着眼点で相手を選ぶことはまずありません。
むしろ、これまでの人生で培ってきたその人の生き方や思考や佇まいといった"生き様"に共感や好意を持てたならば、「一緒にいたい。支え合いたい。」と思えるのです。
つまりは、初婚の未来志向の投資型に対して、50代再婚は、これまでの生き様への共感による”寄付”のイメージなんですよね。リターンなんか求めない。求める必要がないのです。だって、人生の最期をともにする相手なのですから、
体力的・経済的・能力的は年齢と共に下降をたどるのが自然の摂理。であるならば、いかに心身健康に緩やかな下降曲線を描きながら共に生きたいと思えるかが、お相手選びのポイントになるのです。
生き様は暮らしぶりにあらわれる
では、生き様とはどんなところにあらわれるかというと「暮らしぶり」です。
特に、規則正しい生活をしているか、自炊をしているか、運動をしているかの3要素は、50代以降の再婚には必須項目かもしれません。なぜなら「健康寿命」に直結するからです。
若い時は不摂生をしていても気力体力で乗りこられることも、50代過ぎれば無理がきかなくなっていきます。基本的な生活が乱れていると、お相手が不健康なだけではなく、その生活に引きづられ自分自身の健康も脅かされるリスクが。
毎日変化なく同じことを繰り返すルーティンがある暮らしぶりのひとは、一見してつまらない生活に見えたとしても、個人的には絶大なる安心感が与えられ非常にポイントが高くなってくる要素になります。
基本的な“暮らし”ができている前提で、性格が合うか、趣味が合うか、といった”相性”のフェーズに入っていくと感じます。
スペックが剥ぎ取られる50代
ここでようやく”相性”というものが問われてきました。
若い頃は、男性は経済面、女性は美貌といったスペックという条件でカバーしきれていた部分が、50代になるとスペックは剥ぎ取られ、丸裸になった内面と内面の真っ向勝負になってくるので、平易な言葉ですが「相性がいいか」のプライオリティが極めて高くなっていきます。
では、その”相性”とやらにおいては、「再婚するならどんな人がいい?」の回答は千差万別、あくまで組み合わせの問題です。
ということは、まずは自分がどんな人間なのかを知ること。そして補完し合えるのはどんな人なのかを徹底的に追求すること。
私の再婚を例に挙げますと、
自由奔放な私 × 真面目な夫
ざっくりな私 × 几帳面な夫
騒がしい私 × ものしずかな夫
こうしたい!がある私 × 主張がない夫
頼るのが好きな私 × 頼られることが喜びな夫
というように、ピースがはまったとでもいいますか、補完関係になっています。
相手が違えば、私のことを、ざっくり→いいかげん、さわがしい→うるさい、頼る→わがままと捉えられることもあるでしょう。
逆も同様で、彼の「主張がない」は、ネガティブに捉えたら「はっきりしない」になるけれど、私としては「尊重してくれる」とポジティブに受け取れるわけです。
同じ振る舞いでも相手によって、私が自分らしくいられるかが変わってきますし、ありのままの自分を否定される関係性よりも、肯定的に捉えてくれる人と一緒にいた方が、トラブルの火種を回避しやすいですよね。
ここで注意したいのが、若い時にハイスペックでモテてきてチヤホヤされてきたひと。これは男女問わずです。
選ぶ立場だったが故に、自己理解を深めないままスペック重視で相手を選別するクセが50代になっても抜けないことってありがち。
また、50代になっても過去のスペックに依存し「収入がある」「美人である」などを武器に、「幸せにしてもらいたい」「〜してくれなきゃイヤ」というくれくれスタンスでいると、いわゆるイタい人になりご縁は遠のいてしまうことも。
自分の人生の主役は自分
次に、どのような生き様の人とのご縁を大事にすればいいのか。
ここがまさにお相手選びの条件になってくるわけですが、これを分解していくと、やはり「自分の理想」を知り自己理解を深めることからスタートします。
①自分の理想とする暮らしぶりをイメージする
②どんな自分でいられると心地よいかを知る
③どんな自分でありたいかを知る
④どんな人が横にいると①②③が叶うかを知る
いきなり相手のタイプを考えるその前に、自分がどうありたいかを十分に深掘る、自分と向き合う時間こそが大事なんですよね。
自分の人生の主役は自分。子育てなど具体的なミッションがない50代再婚は、「こうありたい!という自分の理想を叶える相手と人生を重ねる」ことこそが醍醐味なのです。
ここで「私は主役になるタイプではない。支える方が好き」という方がいたとします。
だとしたら、支えることで喜びを感じられるような相手が横にいてくれればよいわけで、あくまで「だれかを支え喜びを感じる自分の人生の主役は自分」ということ。
相手が自分の人生の主役になると、相手にふりまわされたり、相手の機嫌をとらなくてはいけなくなります。この現象は「違和感」としてあらわれ、放っておくと「支配」になり完全な関係ではなくなります。
自分の人生のグリップはしっかり自分で握っておく強さが必要です。
子どもや元配偶者への理解
ここで少しばかり、離婚で離れて暮らす子どもや元配偶者の話をしましょう。
50代以降の再婚の場合、子どもとの同居率は下がるものの、子どもや元配偶者との関係への理解についてもすり合わせが必要です。
「再婚後も、離れて暮らす子どもや元配偶者と良好な関係でいたい」と願っていたとしても、再婚相手がそれに嫉妬したり阻止したりするのであれば成立しません。
元家族との関係を、干渉してもしなくても、お互いの温度感が近いに越したことはないのです。
元配偶者とは縁が切れても、子どもとは縁が切れることはありません。もし、親子関係への理解に違和感を感じたならば、自分の大事なものを大事にしあえない関係性なので、再婚して家族になるのではなく、パートナーにとどめておくのもひとつかもしれません。
やっぱり話し合えるか
生き様や暮らしぶりに共感するし、補完しあえるし相性もいい。これだけベースが整っていたとしても、些細な価値観の違いは至るところに秘んでいます。
その都度話をしながら調整し、お互いの理解を深め、その違いを楽しんだり、理解が深まったことで愛情も深まり合える関係を築いていけたら理想ですよね。
そのためには、まずは相手に求める前に自分ができているか?を自分自身に問いてみる。自分の姿勢を見せていく。相手の望むのはそのあとです。
60歳になっても70歳になっても、話し合いを繰り返すごとに絆が深まり、たったひとりの味方にお互いがいられたら、そんな尊いことはないですよね。
50代以降の再婚を応援したい
私の再婚を機に、「再婚したい、もう一度夫婦になれるひとと出会いたい」と言ってきてくれる40−50代の男女が驚くほどに増えました。
そんな声もあり、りむすびの活動を横目に、「子どもが巣立ったその後に、自分の人生を幸せに生きたい 離婚×共同養育×再婚ワーク」なるものをせっせとつくってしまいました。
まだまだ荒削りのβ版ですが、私が再婚する際に「組み合わせ」の部分で大事だと思った項目を20個ほど挙げたワークになります。
りむすびの活動で培った共同養育のノウハウをかけあわせ、「離婚×共同養育×再婚」のご縁つなぎを、いつの日かライフワークにしていきたいと気の向くままに構想を練っています。
ちなみにこのワークをりむすびの理事に見せたところ、「これは事業ではなく、聡子さんの趣味の域でやってください」と言われたので、そのようにします。
まとめ
人はみな、ありのままに生きればいいし、自分がこうありたいと思う理想に近づけばいい。
「この人と一緒にいると自分が好きな自分でいられる」がベスト。
「この人と一緒にいると自分のことがどんどん嫌いになる」であれば、早めに見切って即手放しましょう。その人が悪いのではなく、組み合わせが合わなかった、ご縁がなかっただけです。執着するだけ時間の無駄です。
「パートナーがほしい!再婚したい!」
何歳になったって、子どもがいたって全然恥ずかしいことじゃない。
自分のこうありたいという理想をよく理解したうえで、お相手選びの際には、ぜひお相手の暮らしぶりを深掘ってみてくださいね。