離婚してもしなくても、夫婦と親子を切り分けることの大切さ〜南部成美さん〜
こんにちは。一般社団法人りむすびです。離婚後も両親で子育てする共同養育を実践している女性「共同養育woman」特集。
今回は、別居後に復縁し、夫婦・家族として再スタートしている南部成美さんをインタビューしました。
プロフィール
お名前:南部成美さん
お子さんの年齢・性別:9歳男の子、5歳女の子
埼玉県在住。大学時代からのパートナーと24歳で結婚。二児の母となったのちに不仲等から33歳で別居、2年間の別居生活を送る。
その後、育児を通して関係が快方に向かい35歳で復縁・同居。
現在、行政書士としての活動に向けて開業準備中。りむすび共同養育アシスタントとしても共同養育の大切さを発信していく。
行政書士を目指すママの開業日記
別居そして父子の関わりへの葛藤
3年ほど前に夫婦間に修復不能な大きなトラブルがありました。当時は、静岡で夫と子どもふたり、加えて義両親が半同居で暮らしていましたが、そのまま住み続けることが困難になり、いずれ家族四人で住むために購入していた埼玉の家に子どもを連れて別居することにしました。
転勤続きで保育園に入れなかったため、退職後ずっと自宅でできる添削アルバイトしかしてこなかった私は、少しでも経済的に自立しなければと思い、就職先を探し保育園や学童の手配などで無我夢中でしたね。埼玉は知り合いがいるわけでもなくゆかりもありませんでしたが孤独を感じる余裕もありませんでした。
別居後、夫と関わりたくないという思いがありましたし、もともと夫は育児にあまり関わっておらず、子どもも父親がいなくてもケロっとしているように見えたので、会わせなくてもいいのかなと思いがよぎったこともありました。
ただ、子どもは私とは別人格ですし、成長した後に後悔するのではないかとモヤモヤしていた時に、偶然りむすびのブログを見つけたんです。以来、モヤモヤしても交流を続けようと思うようになりました。
育児を一手に担うことがよい妻よい嫁だと思っていた
別居直後の面会交流は月1,2回埼玉に夫が来ることから始まりましたね。夫自身も精神的にまいっていて、面会交流も投げやりになっている様子が垣間見れたので、私の方から学校参観など行事を中心に声をかけるようにしました。
もし、夫が「会わせろ会わせろ」と言ってきたら、嫌になっていたかもしれませんが、何も言ってこなかったのが逆によかったかもしれません。
義両親も孫に会いたい思いから夫婦間に介入してくる場面もあったのですが、別居後の育児のことは、子どもの親である夫と私で1対1で話したかったので、外野を入れずに直接夫とやりとりを続けました。
離婚公正証書をつくっていただいた弁護士さんにも、今後の子育てに関することだけは、間に入っていただくことはしませんでした。孫に会いたい義両親の気持ちは尊重したいので、夫が面会交流時に自由に会わせに連れて行けるようにしました。
同居生活中、私はよい妻よい嫁でいようと、育児家事すべてを担い、夫が仕事をしやすい環境をつくることに徹していたので、子どもの様子を十分に話したりしていなかったんですよね。
別居することで、夫はさらに子どもの情報量が圧倒的に足りなくなるので、ますます父子の関係が希薄になってしまうと思いました。そこで、日々の様子や成長を都度夫へ伝えるようにし始めたんです。
別居することで、子どものことを話す機会が増えた
最初夫は、「離婚をするのに子どもの情報をもらうのは辛い」と言っていましたが、共有を続けていくうちに夫が来る頻度が増えるようになったんです。1年経った頃には週1回で会うようになっていました。
同居中は子育てに関してちょっと他人事だった夫が、主体的に子どもに対して関心を持つようになり大きな変化を感じました。
今思えば、一緒に住んでいた頃には一緒に子どもを育てる感覚がありませんでした。夫とは一緒に住んでいるだけでした。1対1でこんなに子どものことを話すようになったのは別居してからです。
別居したことで変わり、子育てに対して主体的になった今の夫なら、このまま良い関係で離婚して離婚後も共同養育できるって思いました。
夫の転勤を機にふたたび同居生活
そこに大きな転機が。夫が東京勤務になったんです。一人暮らしでもするのだろうと思っていたのですが、夫は一緒に住むことを望んでいました。
夫はなんとなく復縁できると思っていたようですが、なあなあにして成り行きで同居再開してしまっては、同じことを繰り返す気がしたので、きちんと弁護士さんに入っていただき同居に向けた誓約書を交わすことにしました。
そして、約1年前に同居開始。今は夫婦・家族として再スタートしています。
二度目の同居で大きく変化を感じているのは、夫の子どもへの関わり方です。主体的に自分から子どもに関わることが圧倒的に増えました。
夫婦間も変わりましたね。以前は夫に負担をかけないよう育児を一手に担いそれで良いと思っていましたが、今は共有して協力できるようになりました。育児を一緒にやれている感覚です。
以前は私が何をしているか見えなかったようで私のことを暇だと思っていたようです。でも今は、育児や家事のやることの多さをわかってもらえるようになり助け合えています。
親と子は別の人格をもった1人の人間どうし
離婚しても、別居しても、子どもが両親から愛されていると感じられる、自由に会うことができる世の中になるといいなと心から思います。
私の中では、親と子はそれぞれ別の人格をもった1人の人間どうしなので、夫婦関係の課題と親子関係の課題は切り離して考えたいという思いがあり、パートナーに対する自分の感情について、子どもに同調や共感を求めることは絶対にしたくないなと思っていました。
また、お母さんとしてというより、1人の人間どうしとして子どもとの信頼関係を築いていきたいという思いが強くあります。
そのため、別居中の、子どもと父親の関わり方についてより良い方法を探っていくなかで、私が夫に対する感情を整理することは、子どもとは関係なく私自身が取り組むべき課題であり、その課題に子どもを巻き込んで待たせるべきではないと思い、早めに面会交流を始めました。
親が子どもの成長過程でしてあげられることなんて、本当にわずかだと思っていますが、「無条件で、ありのままの自分で愛されている」と子どもが感じられるように、愛情を示していくことが、親がしてあげられる一番大切なことだと思うので、その機会だけは奪いたくなかったです。
そんななか、りむすびの活動を知ることができたことは、本当に幸運だったと思います。
1日1日を意識して生きる
私の場合は、共同養育に取り組むなかで、結果的に離婚に至らず、夫婦として再スタートを切りましたが、「再構築した」「復縁した」という過去形ではなく、1日1日、人対人として関係を築いていて、今日も、その過程の中にあります。そんな「今ここを生きている」意識を大切にしたいなと思っています。
親子と違って、夫婦はいつ終わってもおかしくない、いつでも今日にでも終わらせることのできる関係なんだということに気がついたので、それを敢えて「今日も」続けている目的を自分の中で確かめながら日々を生きたいと思います。
企画・取材:一般社団法人りむすび
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