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量子力学のはじまり

はじめに

量子力学はおもしろい。おもしろいんだけど、最近新しいことをたくさん習って頭がこんがらがりそうなので、自分のために大まかに流れをまとめてみることにします。

朝の鴨川は特に好きです

量子力学の誕生

いわゆる前期量子論と呼ばれる部分ですね。ここにあまり時間を割きたくないなと思うのでざっくりと言うことにします。
まず、古典力学は世界を記述する体系として完成したように思われていました。実際、私たちが感じているような世界は、古典力学ですべて論ずることができます。
しかし、そこに例外があることが実験により明らかになりました。ミクロの世界における現象です。例えば、黒体輻射、光電効果、コンプトン散乱などがあります。
これらの現象により、光や電子などのミクロな現象は粒子と波の二重性を持つことが明らかになりました。そんな2面性をもつ物理現象を、それまでの古典力学で論ずることはできず、新たに理論体系を構築する必要が出てきました。そうして生まれたのが量子力学です。

Schrödinger方程式

要請

上に述べたように、量子力学では粒子と波の二重性を表現できなければならなりません。
一般に粒子的描像から波動のふるまいを作るのは難しいので、波動的描像から粒子のふるまいを作ることを考えます。つまり、状態を波の形の関数、波動関数として表現し、その後にこの波動関数が粒子としてふるまうことを要請するということです。
いま、Youngの二重スリット実験から、光は干渉する際に2つの波の重ね合わせとして表現できるということが分かっています。これをふまえて、de Broglie波(電子や中性子などの物質波)にもこの重ね合わせの原理が成立すると仮定します。

これを数学的な言葉にすると、de Broglie波の満たす波動方程式が線型であるということです。
さらに、粒子の性質を表現するために、波はある限られた領域にだけ局在していることにします。

導いてみよう

以上の要請と仮定を踏まえて、自由粒子のSchrödinger方程式を導いてみましょう。
まず、ある限られた領域に局在する波を表現するために、重ね合わせの原理を使って波数$${k}$$をもつ平面波$${e^{ikx-i\omega (k)t}}$$を重ね合わせます。すると、重ね合わせた式は以下のようになります。
$${\displaystyle\psi(x,t)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}g(k)e^{ikx-i\omega (k)t} dk}$$

いま$${g(k)}$$は波数$${k}$$を持つ波がどのくらいあるかを表す重み関数です。占める割合みたいなものです。
つぎに

  • 波束の群速度(波動性由来)が粒子の速度(粒子性由来)に一致することを要請

  • Einsteinの関係式$${E=\hbar\omega}$$(実験から求まったもの)

の2つを用いて、この式を運動量$${p}$$を使って書き換えます。
すると
$${\displaystyle\psi(x,t)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\hbar}}\int_{-\infty}^{\infty}\tilde{\phi}(p) e^{\frac{i}{\hbar}(px-Et)} dp}$$
が得られます。ここで粒子と波の二面性を持つ状態を表現できたというわけです。

これを$${t}$$で偏微分すると

$${\displaystyle i\hbar\frac{\partial\psi(x,t)}{\partial t}=\frac{1}{\sqrt{2\pi\hbar}}\int_{-\infty}^{\infty}E\tilde{\phi}(p) e^{\frac{i}{\hbar}(px-Et)} dp}$$

となり、$${x}$$について2回偏微分すると

$${\displaystyle -\frac{\hbar ^2}{2m}\frac{\partial ^2\psi(x,t)}{\partial ^2 t}=\frac{1}{\sqrt{2\pi\hbar}}\int_{-\infty}^{\infty}\frac{p^2}{2m}\tilde{\phi}(p) e^{\frac{i}{\hbar}(px-Et)} dp}$$

を得ます。いま自由粒子を考えているのでポテンシャルエネルギーがなく運動エネルギーだけをもちます。つまり$${E=\frac{p^2}{2m}}$$です。これと上の2式を見比べると2式の右辺は等しいので

$${\displaystyle i\hbar\frac{\partial\psi(x,t)}{\partial t}=-\frac{\hbar ^2}{2m}\frac{\partial ^2\psi(x,t)}{\partial ^2 t} }$$
となります。これが1個の自由粒子に対するSchrödinger方程式です!やったね!

対応規則

さらにここで古典力学におけるエネルギー$${E}$$と運動量$${p}$$が量子力学の言葉で以下のように書き直されることが分かります、
$${\displaystyle E\rightarrow i\hbar\frac{\partial}{\partial t}}$$
$${\displaystyle p\rightarrow -i\hbar\frac{\partial}{\partial x}}$$
つまり古典力学では単なる物理量であった$${E,p}$$が量子力学の世界では波動関数に作用する演算子として表現されるというわけです。新しい顔ですね。

さいごに

自由粒子のSchrödinger方程式を導けましたね。いかがだったでしょうか。
粒子と波の両方の性質によってこの方程式が導かれるということが分かっていただけたと思います。
この方程式を使っていろいろなミクロ世界を観察することができます。量子力学は本当に奥が深いです。今日はその始まりをテーマにしました。

今日自主ゼミでスピンの話が出たので、それについて少しだけ考えてから寝ようかなと思います。おやすみなさい。

夜の大学は特に好きです






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