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光速度不変の原理と時間の流れ


はじめに

特殊相対論では、ある速度で運動する系では時間がゆっくり流れるということを導きます。
なんだか難しそうに思えるかもしれません。
ですがこの事実は、光速度不変の原理を要請するだけで、導けてしまいます。

光速度不変の原理

光速度不変の原理とは、
どんな慣性座標系から見ても、光の速度が一定
という原理です。

ここで慣性座標系とは、一定の速度で運動する系のことを言います。静止している系も、速度0で一定なので、慣性系です。

つまり、この原理が言っているのは、
光の進む向きと同じ方向で走っている人から見ても、光の速度は、静止している人から見たそれと同じということです。

これは驚くべきことです。
かけっこをしたとき、自分より遅く走っている人は自分に近づいてきますよね。つまり、その人はあなたから見ると負の速度で走っているように見えます。
そういったことが、光の速度には成り立たないということです。

AI生成しました

普段私たちは、光速度不変の原理を体感することはほとんどありません。なぜかというと、私たちの動く速度に比べて、光の速度が圧倒的に大きいからです。
私たちが可能な範囲でどれだけ速く走ったとしても、私たちの目には光は一瞬で伝わっているように見えます。

ではこの原理はどこから来たのかというと、実は実験によって分かったものなのです。(マイケルソン・モーリーの実験)

マイケルソン・モーリーさん

物理学では、実験結果は絶対です。(もちろんその実験が本当に正しく行われている場合に限りますが)
どんなに直感に反するような現象が実験で見つかっても、それを表現する理論体系を作り上げなければなりません。

なのでここから、光速度不変の原理を満たすような物理を考えてみましょう。

世界間隔

なんだか、ロマンチック(?)な言葉が出てきました。

時刻$${t_1}$$に点$${(x_1,y_1,z_1)}$$から光速度で進む信号を送り出すことを事象1,
時刻$${t_2}$$に$${(x_2,y_2,z_2)}$$信号を受け取ることを事象2とします。

信号が進む距離は

$$
c(t_2-t_1)
$$

またこの距離は

$$
[(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2+(z_2-z_1)^2]^{\frac{1}{2}}
$$

とも書けます。つまり、

$$
(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2+(z_2-z_1)^2-c(t_2-t_1)=0
$$

では、この事象1、2を$${x}$$方向に速度$${V}$$で進む人から見たらどう見えるでしょうか。この人から見た運動を$${K'}$$系の運動と呼ぶことにします。
$${K'}$$系での座標はそれぞれ$${t'_1,x'_1,y'_1,z'_1,t'_2,x'_2,y'_2,z'_2}$$とおきます。
光速度不変の原理から、$${K'}$$系からみても光は$${(x'_1,y'_1,z'_1)}$$から$${(x'_2,y'_2,z'_2)}$$に光速度$${c}$$で伝わっているように見えるので、
同様に

$$
(x'_2-x'_1)^2+(y'_2-y'_1)^2+(z'_2-z'_1)^2-c(t'_2-t'_1)=0
$$

が成り立っているように見えます。



このとき、これら2つの事象の間の世界間隔$${s_{12}}$$は、次のように定義されます。

$$
s_{12}=[c^2(t_2-t_1)^2-(x_2-x_1)^2-(y_2-y_1)^2-(z_2-z_1)^2]^{\frac{1}{2}}
$$

つまり、光速度不変の原理から、2つの事象の世界間隔が1つの基準系で0なら、他のすべての基準系でも0であることが分かります。
2つの事象が互いに無限に接近しているとき、世界間隔は微小量を用いて以下のように書けます。

$$
ds^2=c^2dt^2-dx^2-dy^2-dz^2
$$

いま、次の2つのことが分かっています。

  • 1つの慣性系で$${ds=0}$$なら、他の任意の慣性系でも$${ds'=0}$$

  • $${ds}$$と$${ds’}$$は同じ次数の微小量

これら2つの条件から

$$
ds^2=ads'^2\\
a=const
$$

がわかります。また、空間の等方性から$${a=1}$$が分かります。
無限小の間の等式が成り立てば、その積分である有限の間隔も等しくなります$${s=s'}$$

つまり、事象間の世界間隔はすべての完成基準系において同じであることが分かりました。

時間を見てみよう

これを使って、動いている系では時間がゆっくり進むことを証明することができます。

いま、AさんとBさんがいて、2人とも腕時計をしています。
Aさんはその場でずっと静止しています。
Aさんのつけている時計の時刻を$${t}$$、
AさんからみたBさんの位置を$${(x,y,z)}$$とします。

Bさんは腕時計をしてものすごい速度で走り回っているとします。
Bさんのつけている時計の時刻を$${t'}$$とします。
BさんからみたBさんの位置は$${(0,0,0)}$$です。


AI生成しました


世界間隔はAさんから見てもBさんから見ても同じなので、

$$
ds^2=c^2dt^2-dx^2-dy^2-dz^2=c^2dt'^2
$$

これから

$$
\displaystyle
dt'=dt\sqrt{1-\frac{dx^2+dy^2+dz^2}{c^2dt^2}}
$$

動いている時計の速度を$${v}$$とすると、

$$
\displaystyle
dt'=dt\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}
$$

この式を積分してみましょう

$$
\displaystyle
t'=\int_{t}^{0}dt \sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}<t
$$

つまり
静止しているAさんの時間$${t}$$より
運動しているBさんの時間$${t'}$$の方がゆっくり流れていることが分かります。

こんなに重大な発見を、簡単な数学だけで導くことができてしまいました💑
うれしいですね。



最近の悩み

latexのworkshopのpdf同時生成で、bibtexでの参考文献の出力が上手くいかず悩んでいます。
lualatexとbiberを手動で行うとできるんですがどこがおかしいのでしょうか…

chatgptに聞いて言われた通りに変更したんですが改善されずもどかしい日々を送っています(´;ω;`)

↓を参考にworkshopの設定を行いました

わかる方いらっしゃったら教えていただけると助かります💛


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