焙煎珈琲店という居場所 3話

もう一軒、雰囲気が好きで通っていた珈琲店は、川沿いにあるひそやかな深煎りネルドリップ専門店。
メニューは珈琲と2種類のケーキ、珈琲ゼリーのみであり、専門店であることが徹底されていた。
内装は李朝家具など飾らず趣きのある調度が配され、そこにゆっくりと珈琲の香が染み込んで店全体が琥珀色に煙るようだった、
休日の夕方に家から1時間ほど歩いて訪れ、持参した本を読みながら全身でその店の空気を吸い込むのが好きだった。
私にとって残念なことに、2024年7月にその店は閉められ、東京に移転されてしまった。東京に行くことがあれば必ず訪れたいと思っている。

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