サハリン2
報道番組にもちょくちょく出てくる言葉
とっても重要なことなので
よーく調べてみよう
サハリン2とは、ロシア極東のサハリンで進められてきた総事業費が2兆円を超える石油と天然ガスの大型開発プロジェクトのことである。
事業主体の「サハリンエナジー」社には、ロシア最大の政府系ガス会社、ガスプロムが50%、ウクライナ情勢を受けて撤退を決めたイギリスの大手石油会社シェルが27.5%、日本からは三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資している。
サハリン北東部のオホーツク海の大陸棚で採掘された天然ガスを、全長800キロのパイプラインでサハリン南部のLNGの生産施設に運び、液化したうえで専用のタンカーで輸出している。
日本と地理的に近いため、生産されるLNGのおよそ6割は、日本の電力会社とガス会社が長期契約で購入していて、日本が輸入するLNGのおよそ1割を占めている。
※NHK政治マガジンより
プーチン氏、サハリン2「ロシアへ譲渡」命令
ロシアのプーチン大統領は、「サハリン2」の運営を、新たに設立するロシア企業に譲渡するよう命令する大統領令に署名した。
サハリン2は天然ガスを採掘して液化天然ガス(LNG)にして出荷する事業で、三井物産と三菱商事が出資している。
生産されるLNGの約6割は日本に輸出され、電力の燃料や都市ガス原料などに使われている。
この大統領令によって、出資している三井物産、三菱商事がどうするのか、また日本への輸出がどうなるのかはまだはっきりしていない。
しかし、ロシアに対して経済制裁をしている日本への報復の意味合いがあるとみられるため、これまでと同じような形で事業が続けられるとは考えにくい状況である。
国家権力が民間の所有物を力でとりあげる「接収」という結果になる可能性があるが、そうなればそんな理不尽なことをする国に投資する企業はなくなるであろう。
ただ、経済制裁を受けているロシアにとっては、今でも投資する企業はないのだから、新たなダメージはないという判断かもしれない。
一方の日本はエネルギーの調達先の多様化のために、長い年月をかけて育て上げてきたプロジェクトなので、それを失うことになれば、とても大きなダメージになる。
理解を深めるために…
サハリンはロシアの東の端にある細長い島である。
島の南端は、北海道の北端の稚内からわずか43㌔のところである。
日本では戦前、この島を樺太とよんでいた。
南樺太は日本の領土で、約40万人の日本人が住んでいた。
サハリンのオホーツク海側の大陸棚に、油田やガス田があることは戦前から知られていたが、掘り出す技術や資金がなく、未開発になっていた。
注目されるようになったのは、第4次中東戦争をきっかけに起こった1973年の第1次石油危機(オイルショック)である。
石油の値段が一気に上がり、日本はほとんどの石油を中東から輸入していたため、石油がなくなるのではないかとパニックになった。
石油の調達先をもっと広げないといけないという議論が高まり、候補のひとつになったのがサハリンだった。
冬はものすごく寒いところだが、中東よりもはるかに日本に近いというのが魅力だった。
近ければ、輸送コストが少なくてすみ、安い値段で輸入することができるからである。
日本政府は、政府も出資したサハリン石油ガス開発(SODECO)を設立し、当時のソ連と交渉を始めた。政府が力を入れて関わるプロジェクトをナショナルプロジェクト(ナショプロ)というが、サハリンの石油・天然ガス開発はナショプロだったのである。
交渉が一気に進み始めたのは、ソ連が崩壊しロシアが誕生した91年ごろからだった。
当時のロシアは外貨が不足していたし、民主主義陣営の一員になった印象があり、交渉がまとまる環境ができていた。
このころには、原油を中心とするサハリン1とLNGを中心とするサハリン2に、プロジェクトがふたつに分かれた。
そして94年には、イギリスのロイヤル・ダッチ・シェル(現シェル)と三井物産と三菱商事がロシア政府とサハリン2の生産物分与協定を締結し、2009年からLNGの出荷を始めた。
95年には、SODECOやアメリカのエクソンモービルを中心とする企業連合が、ロシア政府とサハリン1の生産物分与協定を結び、05年から原油の出荷を始めた。
ウクライナ侵攻で状況一変⁉︎
こうして、日本の原油やLNGの調達先は広がり、プロジェクトは成功したと評価されていた。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻が状況を一変させた。
海外で事業をする場合は、「カントリーリスク」を考えなければならない。
政情が不安定だったり近隣諸国との関係が険悪だったりすると、その国に大きな投資をしても、政権がひっくり返ったり戦争が始まったりして無駄になることがあるということである。
戦後の日本でカントリーリスクについて思い知らされた有名な例は、イラン・ジャパン石油化学(IJPC)のプロジェクトである。
これは、石油輸入を通じて友好が深まっていたイランに日本が投資して石油化学コンビナートをつくろうという事業だった。
日本側は三井物産を中心にした民間5社が出資し、73年に建設に着手した。
出資額については日本政府が一定の保証をすることにしていた。
政府が深くかかわる典型的なナショプロだった。
しかし、政情が安定しているとみられていたイランだが、79年にイスラム原理主義勢力によるイラン革命が起こり、アメリカ寄りの国王の政権は倒れた。JPC建設は中断を余儀なくされた。
さらに80年には隣国イラクとのイラ・イラ戦争が始まった。
イラク空軍機は建設現場を爆撃するなどし、建設再開は難しい情勢となった。
結局、89年、三井物産はプロジェクトの清算を発表し、6000億円以上をつぎ込んだプロジェクトは何も生産しないまま終わった。
さて、ロシアだが、日本は大統領令を受けてどうするのだろうか?
道は三つ、ひとつは新会社での株式取得をロシア政府に申請して認めてもらうこと。
ただ、それが無条件で認められるのならわざわざ大統領令を出すようなことをするとは思えず、可能性は小さい。
二つ目は、出資はせず輸入契約を結んで買うこと。
ただ、理不尽なことを甘んじて受け入れる形になり、それでいいのかということになりそうである。
三つ目は撤退してかかわりを絶つこと。
サハリン2に日本企業よりもたくさん出資しているイギリスのシェルは、すでに撤退を表明しているし、サハリン1の筆頭株主であるアメリカのエクソンモービルもすでに撤退を表明している。
ウクライナ侵攻をしたロシアへの経済制裁として、イギリスやアメリカの出資企業がしたことと同じことをするのだから、一番すっきりする。
ただこの場合、日本のエネルギー不足はますます深刻になる。
遠く離れていて、石油や風力といった資源があるイギリスやアメリカとは事情が違うのである。
経済制裁をするには「返り血」を覚悟しないといけないと言うが、日本はこの返り血をどこまで覚悟して我慢しなければいけないのか、悩ましいところである。
この問題は善悪や損得がからみあっている難しい問題なので、政治家や企業がどういう判断をするのか、行方をよく見るようにしたい。
※朝日新聞EduAより
以上、「サハリン2」について
いや〜これからどうなるんだろう…
ネガティブな予想はしたくないけど
きちんと情報を取って
覚悟していかないとね〜
『おまけのお勧め』
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