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仕込さんの体験 2⃣

『仕込さんの体験1⃣』にて、前置きがとても長くなってしまいました。
仕切り直して、後編に入らせてもらいます。

仕込さんの体験の内容は、舞妓さんになる為にしている修行内容を出来る範囲を覚えて体験させてもらいます。お稽古は体験には入っていません。
これから仕込みの一日を説明いたします。
朝起きて、先ずはご挨拶。
同じお部屋の舞妓さんの姉さん方に一人一人「おはようさんどす姉さん。」
そして、隣の芸妓さんの姉さんに「おはようさんどす姉さん。」
お母さんのお部屋へ行って「おはようさんどすお母さん。」
花街では朝から晩までご挨拶、エンドレスGOAISATU!これは各国、、、、各花街共通です。
次に、身支度を整えます。
仕込みさんはお稽古の時以外は基本洋服なのですが、お家のことや、お母さんや姉さん方のお手伝いをしたりするので、動きやすい服装で、お洒落なよそゆきの服は着ません。
髪型は、もちろん修行中なので舞妓さんのように日本髪はまだ結えません。
「ひっつめ」とも言うのですが、前髪は上げて、カチューシャやピンで止め髪を少し高い位置で結んで、ネットの付いたリボンの髪留め(バレッタ)で、それはそれは綺麗にまとめます。ケープは必需品でした。
分かりやすく言うと仲居さんのような髪型です。

整えたら、下へ降り台所のお皿を食器棚へ片付けたり、お風呂掃除したり、名前のない細かい家事をぼちぼちしたり、、、、用事の合間に、お母さんが用事で出かける時には、【お見送り】に出たり。
お稽古の支度をしてる舞妓さんの姉さんのお手伝いをしたり、そしてお稽古に出かける時には、【お見送り】に出たり。
朝はこのような感じで、過ぎていきます。朝食はと言うと、この用事の合間に食べたりすることがほとんどでした。
お母さんも姉さん方も出かけたあとに、すこーし「ほっ」としながら食パンを呼ばれます。

この【お見送り】についてご説明します。
お客様にはもちろんですが、目上の方に対しては必ずします。
仕込さんは一番下なので、どの方にたいしてもします。舞妓さんも同じです
どんなに年数のたった芸妓さんでも序列が上の人には【お見送り】をします
たまに、お母さんでもお茶屋さんに昔在籍していた芸妓さん(お母さんよりお年が上)が何かのようで足を運ばれ、お帰りの際は【お見送り】をします
余程の用事で忙しかかったり、目上の方に「ええょ」と言われたり、外に出られない格好の時は無理には出ず、「ここですんまへん。」と添えてその場から【お見送り】をします。
普段は、玄関の外まで出て、「行っといでやす、お母さん。」「さいなら姉さん。」と言って近い時は、姿が見えなくなるまで、一直線の時は、電信棒2,3本先までその方を見送ります。「入ってやぁ」と言ってもらっても、
なるべく【お見送り】はします。忠犬ハチ公のように。


そして、11時頃から【ご挨拶まわり】の舞妓さんの姉さんをお迎えします。
「こんにちはぁ、○○(名前)どす~、お母さんおいやすかぁ?(おられますか?)」置屋さん、お茶屋さんによっては、お家の中に上がってご挨拶を
されたり、お母さんがお留守の場合はお手紙を置いたり、お店の仕込さんに預けたりします。
仕込さんは舞妓さんの姉さんの脱いだお草履を、懐に入れ温め…たりはしませんが(笑)綺麗に並べます。
【ご挨拶まわり】とは、舞妓さん1,2年目の若い舞妓さんが街のお茶屋さんに毎日全軒ご挨拶まわりをすることです。花街のなかでの「営業」のようなものです。
名前と顔を覚えてもらい、自分を売り込みます。若い時はそこまで深く考えず大事な業務の一つのように淡々とまわってました(^^;)
「営業」以外に、前日のお座敷のお礼や、その日のお座敷の確認や、何か粗相があった時は、謝りに行ったり、挨拶の内容は様々です。
こう言ったご挨拶は、若い舞妓さんに限らず、芸妓さん、お姉さん舞妓さんもします。【ご挨拶】を忘れたら、怖いです。Hiiiiiiiiiiiiiiii(;´Д`)

そして、、、お昼になると、舞妓さん達がお稽古から戻って来て、お昼ご飯を食べます。お昼ご飯の内容は置屋さんによって様々です。
前日のおかずの余りものを食べたり、夏はおそうめんを湯がいたりします。
まかないさんが、入られる時間が早いお店は、お昼ご飯と夜ご飯を作ってもらいますが、たいていはお昼頃お店に来て夜ご飯を作ってもらうところが多いです。うちはまかないのお姉ちゃんのおばんざい大好きでした。

仕込さんも、姉さん方の合間にお昼ご飯をたべます。台所のお話は長くなりそうなので、またいずれか♪
お昼を過ぎると、少しずつ夕方のお仕度の時間帯に入っていくので空気が変わってきます。
舞妓さん、芸妓さんの姉さん方が午後のお稽古からバタバタと戻ってくると、夜のお座敷の【おこしらえ】の用意に入ります。
仕込さんは、急いでいる姉さん方のお稽古着を畳んだり、お手伝いをしたり
お座敷のご予約が入っている時は、お膳やおしぼりやお座布団を並べたりします。お茶屋さんの玄関先のお水まき、暖簾出して、お香を焚いて、お提灯に明かりを点けて、夕方18時までには必ずこのすべてを終えないといけませんでした。懐かしいルーティンです。
夕飯はと言うと、この用意の合間に仕込さんは交代で食べます。
舞妓さん芸妓さんの姉さん方はお座敷や宴会が大体18時からなので、逆算して、早い目に夕飯を済ませます。姉さん方やお母さんより先に食べる場合
ここでも必ず【ご挨拶】!「ごはんお先ぃどす」食べ終わったら「ごはんお先ぃどしたぁ」 慌ただしい夕方でしたが、大所帯の置屋さんだったので、賑やかで楽しかったです。

お座敷にお客さんが入られている時は、お料理の配膳のお手伝いをしたり
お座敷の外に座って待機しながら、頼まれたことをしたり、襖の開け閉めをしたり、姉さん方が舞を舞う時には、隙間から覗いたり、フフフ。

姉さん方の近くで、見させてもらいながらお勉強ができるいい時間でした。
仕込さんの体験の時は慣れるまでは、粗相があってもいけないので、お客さんの前に出るお手伝いはあまりないのですが、舞妓さん芸妓さんがお座敷の時に持っていく【かご】を置いておく小部屋に座っていると、お座敷の合間に舞扇を取りに来たり、髪を直しに櫛と鏡を出しに来たりと、出入りをする舞妓さん芸妓さんが見れるのが嬉しかった記憶があります。
多分静かに凝視してました。白粉と鬢付け油の香りにうっとりでした。

華やかな時間は過ぎ、お客さんをお見送りし、お店仕舞い。
さっきまで賑やかだったのが噓のように静かに黙々とお片付け。
グラスを下げたり、机を拭いたり、お座布団をまとめたり、してると
余った乾きものやジュースをお姉ちゃんがくれたりしました。

片付けを終え、明かりを消したら完了。
お母さんに「お疲れさんどした。」とご挨拶をして「もうええぇ、脱ぎよし」と言うてもらうと、お帳場のおばちゃん、お姉ちゃんにご挨拶をして、
今度は姉さん方に一人一人ご挨拶をして、やっっっっっっっと!着物を脱げます。はい!忘れていましたが、着物を着ていました(笑)

夕方に差し掛かる前!時と場合によりますが、大体15時~16時くらいに、
夕飯や、姉さん方のお手伝い、お店の用意の合間に着替えます。
仕込みさんも夜のお茶屋の営業の時間帯にはお手伝いをするので、着物を着ます。慣れると一人で着ないといけないのですが、慣れるまでは、お母さんや、姉さん方、先輩に助けてもらいなが覚えていきます。
舞妓さんのような振袖ではなく、普通の着物の形です。特徴的なのが
肩縫い上げが付いているとこです。舞妓さんのお着物も同じく、お稽古着と、白粉をしてお座敷に上がる時に着る裾引き(お引きずり)の衣装にも肩縫い上げが付いています。これは幼さを表現するためだそうです。

今風に言えば、夕方タスク多すぎ~草WWW。

やっと脱げたところですが、まだ一日は終わりそうにないので、
仕込みさんの体験3⃣として、つづきを書くことにいたします。
文章にすると、一日のタスクが多過ぎ事件です。
長々とすんまへん。
つづく。


~*~*ご拝読有難うございました*~*~

もう一つ夕方の大事な用意を書き損じていました。
書きながら色々記憶がよみがってきました。
長い一日、お付き合いくださいませ。
仕込みさんの体験3⃣へつづきます。









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