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感謝と後悔と…

9月2日、とあるローカルアイドルが現メンバー全員の卒業とグループの無期限活動休止を発表しました。
残業を終え、職場から最寄りの駅まで歩く途中でこの報せを見た僕は、あまりの衝撃に眩暈すら覚えるほどでした。もっと気持ちの整理ができてから書いたほうがいいとも思ったけれど、このぐちゃぐちゃでやり場のない気持ちを残しておきたくなって、書いています。超個人的なひとりごとです。

出会い

そのグループに出会ったのは、仕事の関係でとある地方都市に引っ越した、今から2年ほど前のこと。商店街のお祭りのポスターに2組ほどのご当地アイドルが出演するイベントの告知を見つけました。
さほど興味があったわけでもないのに、引っ越したばかりで知り合いもいなくて、時間を持て余していた僕はふらっと見に行ったんです。期待はしていなかった、どんな感じなのかちょっと覗いてみよう、くらいの気持ちだったのですが・・・。

仕事的な目線で言えば、観客はいわゆるアイドルオタク的な人はもちろん多いのだけれど、地元のイベントにふらっと来て、結構しっかり応援している人が老若男女問わず見受けられたことに少々驚きました。地元の人たちに愛されていることがすぐにわかりました。
街なかをよく見まわせば、ジャズ喫茶がいくつもあったり、古くからの芸妓文化が残っていたりと、アイドルに限らず、文化的なものを受け入れる土壌のある街なんだなと。

趣味的な目線で言えば、目の前で繰り広げられたパフォーマンスが想像のはるか上を行っていて、すごく心を揺さぶられたのです。CD音源や動画に惹かれたけどLIVEは残念だった、というのはよくある話ですが、逆もまた然り。このグループは後者、音源の第一印象は普通(ごめん!)だったけどLIVEはめっちゃいい!でした(のちにCDを買い揃え、楽曲のクオリティの高さに気付かされるわけですが)。
メンバーのひとりは、その日のパフォーマンスを「感情の押し付けだったんじゃないか」と反省していたのですが、僕は精いっぱいの表現と受け止めたし、全力のパフォーマンスに心打たれました。思えば、その瞬間、その人は僕の推しになっていたんだと思います。

活動拠点に近かったのに

ほどなく推し活にどっぷりかというと、そうはならず、商店街のイベントに出演するときに見に行くくらいだったのですが、引っ越して1年ほどのタイミングで、4人いたグループのメンバーのうち1人が卒業を迎えます。卒業するのは推しのメンバーではなかったけれど、卒業コンサートには行きました。卒業という、少し寂しさを伴うシチュエーションでしたが、コンサート自体は多幸感に溢れたもので、このグループに出会うことができてよかったと思ったのです。


その後も、どっぷり浸かるまでには至らず、本拠地で開催されていたHOME LIVEも、気にはなっていたものの行かないまま、時は過ぎました。

その街で2度目の年を越した頃、またまた仕事の都合で春から首都圏に戻ることが決まったのですが、この街の最後の思い出にと(現時点では最初で最後の)HOME LIVEに参加したのです。そこで、システムもよくわからないまま特典会に参加、推しと至近距離で話をして、沼に足を突っ込んでしまいました。当時住んでいた場所もグループの活動拠点から徒歩圏内、行こうと思えばいつでも会いに行けた距離にいたのに、街を離れることが決まったタイミングでどっぷりです。遅すぎます。
自分のマヌケっぷりに、今すごく後悔しています。

生き急ぐような快進撃

僕が首都圏に戻ってきて、新しい仕事に四苦八苦している中、インストアイベントやLIVEツアーなどで東京周辺でのイベントが多く組まれ、会いに行く機会が多くなりました。引っ越す前に行かなかった分、東京で参加できるイベントが多いのは正直嬉しい、でも少し飛ばしすぎじゃ・・・、とも思っていました。
そう、なんとなく予兆みたいなものは感じていたんです。

僕の推しは、たぶん自覚もあったと思いますが、歌っている時にピッチのコントロールができていないのかなって感じることが何度かありました。短い期間の中にイベントを詰め込んでいて、喉に負担がかかっているんじゃないかな、と思っていました。
年齢的にも20代半ばを迎えて、人生について思うところもあったでしょうし、文筆活動やデザインなどクリエイティブな仕事にもそのセンスをいかんなく発揮していたので、アイドル以外の道も見え始めてきていたのではないかと思います。

そういう転機がメンバーそれぞれに、同じようなタイミングで訪れた、ということなのかなと思います。線香花火が最後に一瞬大きく爆ぜるような、ゴール前の全力疾走感をどこかに感じていました。

どんなイベント会場も結構前から押さえておかないと借りることができません。人気の会場は2,3年先の日程が埋まっていることもあると聞きます。まして、SHIBUYA CLUB QUATTROという名の通った老舗のライブハウスを押さえるには、結構早い時期に動いていたんじゃないかと思います。
そう考えると、生き急ぐような快進撃を続けてきたのは、終わりが見えていたからなのかも知れないなぁ、と振り返ってみて思うのです。

感謝しかない、だけど・・・

自分が、アイドルグループにこんな入れ込み方をするとは正直思ってもいなくて、不思議な縁だなと思うんですが、間違いなく推しができてからは幸せな時間をもらえてたな、と思っています。感謝しかないんです。
会いに行けばいつも笑顔を向けてくれる、名前を覚えようとしてくれる。それがアイドルのお仕事なのはわかっているけれど、そういう姿に元気をもらってきたし、「尊いなぁ」っていつも思っています。

先日、「瞳が綺麗だよね」って伝えたら、じっと見つめ返してくれて。こっちがかえってドギマギしてしまうという、図らずも彼女たちの曲の歌詞にある「見つめられたら 困るのはあなたのほうでしょ?」を再現してしまったのですが、推し歴は短くても印象的なことがいくつもありました。応援してよかったなと思える推しに巡り会えたことは、とても幸せなことだと思います。本当に感謝しています。

だけど、この先3か月のイベントで、どんな顔をして会いに行ったらいいのか、今はまだわからずにいます。3か月経ったら、もう2度と会えない存在になってしまう。そういう別れがいつかは来るとわかっていたのに、どうにも整理がつかないのです、今は。
アイドルとファン、近くて遠いこの関係性は、突然終わりが来るし、違う形に発展しようがない。そういうものだとわかっているのに、何故かどうしようもなく惹かれてしまうことがあって、どうしようもなく尊く感じてしまう。

彼女たちが、おそらくたくさん悩んで、考えに考え抜いて出した結論だから、応援したい、背中を押したい。次に会える時までに、笑って見送ってあげられるようになっていたい、なれているといいなぁ、と思います。少し、気持ちを整理する時間をください。