【今日のsora】かっこよすぎるボスのこと
今日はわたしのボスについて話します。
ボスとは、わたしの勤めているレストランの社員で、現場責任者のUさん。推定年齢30代前半。女性。
Uさんとは面接時に初めて会った。もともと調理補助の仕事を希望していたが、既に別の人の採用が決まっているという。ならば仕方ない。諦めて帰ろうとしたわたしに、「よかったら、ホールの仕事をしてみませんか」と誘ってくれたのだった。
年齢不問とはいえ、この年だ(どの年だ?笑)。ウェイトレスは未経験ですが大丈夫でしょうか。不安がるわたしに「今、こうしてお話している印象ですが、きっとsoraさんは、接客の仕事にむいていると思う」と言ってくれた。
以前、ある展覧会の仕事に携わった際、接客の面白さを味わったので、興味はある。そして、新しい世界に飛びこめることにもワクワクした。
こうしてわたしは、このレストランで働かせてもらうことになった。
Uさんは、小柄で細身なのに、黒スーツを着こなし、颯爽と歩くと、とても大きく見える。サバサバしていて、大阪の人らしくお笑いのノリも忘れない。へんに愛想が良すぎないところもいい。
もともと有名レストランで勤務していただけあって、接客はスマート、かつ温かみがある。身だしなみには人一倍厳しい。仕事に入る前は、必ず全身を鏡に映し、チェックするらしい。
「メイク変えた?あんま、似合ってないで」「制服のその着方はダサいよ」など、歯に衣着せぬ物言いで、大学生にズバズバ指摘している。「soraさん!名札、曲がってますよ!」昨日も注意されたばかりだ。
わたしはもともと3ヶ月の短期雇用契約で採用された。観光客で賑わう夏季限定雇用だった。人間関係は良好だし、レストランの雰囲気、コンセプトも気に入ってる。何よりも仕事そのものが面白くて仕方ない。
Uさんに、「9月以降も働きたい」旨を伝えると「ほんまですか?めっちゃうれしいです。同じ働いてもらうなら、うちの従業員のこと、うちのレストランのことをすきでいてくれる人に働いてほしいんです」と素直に喜びを表してくれた。
ただでさえ忙しいUさん。本社にわたしのことを掛け合ったり、契約手続きのやり直しなどで手を煩わせることを詫びると、「何、水くさいこと言ってはるんですか。わたしとしたら、こんなラッキー、逃してたまるか!ぐらいの気持ちですよ。ほんま、ありがとうございます」と逆に感謝されてしまった。
かっこよすぎません? 惚れてまうやん。こんなにストレートに気持ちを表現してもらえたら、きっと誰もがすきになる。この人についていきたい。この人についていけば、もっと素敵な世界が見られそう。
すこし大げさだけど、「わたしを見つけてくれた彼女のためにも精一杯働こう」。そんな気持ちになった。
彼らは時々、ホール業務をゲームかスポーツのように表現する。
「さあ、soraさん、今日はA卓エリアを守ってくださいね」。
あらためてチームワークに携わっていることを自覚する。ずっとフリーランスで孤独に事務作業をやってきたわたしにとって、この言葉はとても新鮮に響く。
チームでいることの安心感に包まれながら、わたしは今日もホールに立っている。
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