ソール・ライターのすべて
今までの人生で、何度か「写真熱」にかかりました。
周期的に写真を撮りたい気持ちが高まり、しばらくすると冷めます。
今は、その「発熱期」です。
どんな趣味も、深みに嵌ると底無しです。
写真趣味に関して、僕は、あまり深い所に足を入れないよう自制しています。
永遠のビギナーとして、浅瀬でチャプチャプ遊ぶのが良い。それ以上は望まない。
そんな僕ですが、少しだけ勉強しようと思い、青幻舎が出版した「ソール・ライターのすべて」を買ってみました。
なるほど。
ストリート写真とはいえ、あくまで興味の中心は「人」なんですね。
それも、群衆ではなく個人。
ほとんどの写真が1人に集中しています。
多くても2人~3人。
通りを歩いている、通りに立っている、通りで何かをしている個人の、
「この人、いま何を考えているんだろう?」
という感じが、この写真家のテーマなんだなぁ、と思いました。
いわゆる「決定的瞬間」をハンティングしよう、っていう感じは全くありません。
通りを歩いている何気ない人々の中にある、他人には伺い知れない小さなドラマの、ほんの少しだけ体の外へ漏れ出ている「香り」のようなものをハンティングしているように感じます。
どんな人にも少しだけあるミステリアスさをフイルムに載せたい写真家、という印象を持ちました。
奥付を見たら第21版でした。
すごい! ベストセラーじゃないですか。
人気の写真家だと噂には聞いていましたが、これ程までとは思いませんでした。
巻末の方に彼の書いた絵が何点か掲載されています。
正直、やっぱり写真の方が良いと思いました。