「#ボカロ100選」を再構築してみた話
長い闘いの記録です。
概要
#ボカロ100選とは?
#ボカロ100選 (以下、ボカロ100選)とは、その名の通り「好きなボカロ曲を100曲選ぼう」という企画である。
いも男爵さん(@vocal_oimo)さんが提唱された概念で、詳しい事項についてはご本人のnoteをご覧いただくのが一番早いだろう。
また、制度設計などについては、以下のページがより纏まっている。
以下の内容を読み進める前に、これらに目を通しておくことを強く推奨する。
あくまでも、これらが「公式」の発想であることをご理解いただきたい。
一応、公式のレギュレーションを簡潔に記載しておくと、
ニコニコ動画にMVがあること
上記wikiの反映が、ニコニコ動画またはkiite cafeのリストから行われるため。「ボカロ」曲であること
「ボカロ」については、いわゆる「合成音声」の範囲内で恣意的に運用可能。好きな楽曲であること
一番大事。
となっている。本当に「好きなボカロを100曲選ぶだけ」くらいのイメージだ。
「再構築」とは?
実は自分は、一度ボカロ100選を作成している。
その際は内容について踏み込んだ記事化はしなかったが、「データの分析」という形で一本記事を出させていただいた。
しかし、色々と考えた結果、ボカロ100選について再構築し、曲の入れ替えを行うことにした。
実際には「ブラッシュアップ」くらいの規模感かもしれないが、設計思想の変化、四分の一ほどの入れ替えなど、かなり大掛かりな手入れを行ったので、今回「再構築」として記事に取り上げることにした。
ボカロ100選とは流動的なものであり、常に更新の可能性がある、あるべきだ。
しかしとりあえずは、これを一旦の完成形として世に送り出すことにする。
背景
「ボカロを好き」であるとは?
この夏は、ボカロを通して様々な経験をした。
公的に大きかったことは「初音ミク16周年」だ。イベントも色々開催されたし、渋谷広告ジャックもあった。自分も色々見て、「すげー」と思いながら見ていた。
個人的にはやはり「マジカルミライ参戦」。自分はやはりボカロが好きだ、と再認識する機会になると共に、現地でフォロワーさんとお話しして、「自分はちゃんと、ボカロが好きであることを説明できるようになりたい」と思った。
「好きであることに理由はいらない」ということもわかるし、理由のない「好き」の形もある、ということも理解できる。しかし、自分にとって、自分がボカロを好きであるということは、言葉で説明できる必要がある、と思った。
そのために、ボカロ100選は大きな武器になるだろう。ボカロ100選そのものもそうだし、ボカロ100選を作る、という工程も、ボカロについて考え直す機会として有用である。
よってこの度、ボカロ100選を見直し、再構築するという決断をした。
「楽曲を好き」であるとは?
さて、ボカロ100選には好きなボカロ曲を100曲入れなければならない。
では、「好きなボカロ曲」とはなんだろうか。
これについては、まずは感覚で捉えるしかしょうがない。
むしろ自分がこだわったのは、本当にその「曲」「音楽」が好きなのか否か、というところである。
例えば、「思い入れの深い曲」という概念が存在する。
「思い入れの深い曲」は「好きな曲」か?と言われれば、おそらくYesであろう。好きでもない曲の思い入れが深くないはずではない。
しかし自分は、結論から言うと、こういう曲を排した。もちろん思い入れの深い曲が入っていないわけではない。ただ、思い入れが深いから選曲する、ということはできる限り避けるようにした。
もちろん、思い入れが深い曲を100選に入れても良いだろう。しかし、それは今回自分がしたいことに反する。そのため、自分のボカロ100選には、純粋に「良いと思う曲」のみを入れることにした。
繰り返すが、これは自分の思想信条であって、「ボカロ100選はこうあるべきだ」という主張ではない。自分はこのようにした、という背景説明をしただけである。
手法
私的レギュレーション
自分がボカロ100選を作るにあたって、新しくルールを追加している。分析の記事にも載せたが、ここにも再掲載しておこう。
ニコニコ動画、YouTubeの双方に公式MVがあること
自分は専らYouTubeでボカロを聴いているためである。一人のボカロPの楽曲は一つまで
ただし、コラボ曲などは複数選曲しても良い。
くどいようだが、これは僕が勝手に設定したルールであって公式のものではない。
公式レギュレーションは最上段に載せたwikiに掲載のもののみである。
また、「ボカロ」の範囲についてはかなり広くとってある。理論上は「合成音声」全体としてもらって構わない。
補助線
今回ボカロ100選を再構築するにあたって、二つの補助線を用意した。
一つ目は、一部のボカロPについて、楽曲を二曲以上選出することを許したことである。これは、上記の「思い入れの深い曲」対策である。その要素を完全に排することはできないので、特に思い入れの深いボカロPに関しては、二曲入れることで「好きな曲」を増やそう、という魂胆である。
二つ目は、ボカロ100選を10個にわけたことである。これは後置的なもので、10個の分類に対して個別に曲を選んだわけではない。あくまでも、ボカロ100選の「完成度」を高めるための作業だと思ってほしい。
結果
ここに100曲を貼ると大変な長さになってしまうため、上記した十種分類に従って10本記事を作ることにした。以下にリンクを貼っていくので、興味があるものから是非読んでほしい(各ブログはどの順に読んでも良いようになっているはずだが、相互に楽曲についての言及はある)。
ボカロ100選を更新したために記事を削除しました。ご了承ください。
なお、各種プレイリストは以下の通りである。
YouTube
niconico動画(「メモ昇順」にすると、番号通りの順序になる)
各番号については、深い意味はないが、一応それらしく並べたつもりであるので、各章については番号通りに読んだほうが良いかもしれないしその限りでないかもしれない。
議論
以下は、自分のボカロ100選についての瑣末な議論である。
手法は適切であったか
自分は今回、ボカロ100選を作るにあたって、できる限り自由度を「下げる」手法をとった。ある程度「理論的に」100選を制作するにあたって、自由度を下げるという手法は取らざるを得ないが、それは決定時の思考の固定化を招くのみならず、これを改変するときにダイナミックな変化をつけづらいという弊害もある。
今後100選を後退させる機運がある場合は、システムごと改変するという選択肢を残しておく必要がある。
新しい曲を入れるべきか否か
新しい曲は、新しいことそれ自体が100選に選出することを妨げる理由にはならない。しかし、新しい曲を「好き」と言えるのは、その曲が本当に好きなのか、現状の好みに合っているだけなのか、ということには議論の余地がある。
今回はそれもあり、新しい曲を入れることにやや慎重になった。もちろん全く入ってはいないし、当然現状の好みも自己の好みの形態であるのだから、選曲しても良い、というのも理に適った話であろう。
ボカロ100選は、当初の目論見通り、自分の好きな曲を問い直すきっかけになった。今後も、ボカロ100選の改正を含め、この問いに向き合っていかなければならない。