【行ってみた】AL「首都雑踏」逍遥
AL「首都雑踏」
「首都雑踏」は、歌い手・シンガーの水槽さんの、2021年のアルバム。デジタルリリースなので、まずは無限に聴こう。
このアルバムは、実在する東京の地名12ヶ所がモデルとなっており、それぞれにまつわる曲を12人のコンポーザーが提供しているというなかなか贅沢なものである。
詳しいところは聴いてもらうとして、今回はこの12ヶ所を一日で回るという無謀(?)な試みをしたという記録である。
ちなみに:実写の写真をこのブログに上げるの初めて!?かも。
#渋谷01
アイリス
まずは渋谷から。『アイリス』は今や売れっ子コンポーザーとなったくじらさんの提供であり、水槽さんの声を生かした爽やかダウナーソング。くじらさんはシンガーの声を生かすのが上手いということを前々から主張しているのだが、その良さが十全に発揮されている。
ちなみにくじらさんのプロジェクトに水槽さんが乗るというバージョンもあり、それがこの『ひぐらし』という曲。
この曲も良いので是非。夏に聴いてみると良いと思うけれども。
6:30 渋谷
『アイリス』はなんとなく早朝のイメージだったので、朝イチで渋谷に。
なお、この日(12/23)はだだ混みであったらしく、この時間に行ったのは結果的に正解だった。後で同様の目に遭うのだけれども。
この時間は人もまばらで、一方昨日から飲み明かしたんだろうな〜みたいな人々がばらばらしていて、イメージ通りの渋谷という感じである。
道玄坂抜けてみたり。
センター街抜けてみたり。
こういう雰囲気の渋谷はまあまあ好きかもしれない。
#中野02
ハレーション
ボカロPのきたろーさん提供曲。このアルバムでは珍しいジャキジャキバンドサウンドの曲。ノリがすっきりとしていて味わい深い。
きたろーさんの曲はカバーが少ない(そもそも本家動画がYouTubeに上がっていないというのもあるかもしれない)が、水槽さんが『ラブ&グルーヴ』の歌ってみたを上げている。
こちらもかっこいいので是非。
12:00 中野
ハレーション、ということで真昼間の中野へ。
中野は何気にちゃんと行ったことがなかったのだが、なかなか面白い街だった。以前知り合いに中野の「まんだらけ」を教えてもらっていたので、ついでに行ってみることに。思ったよりカオスな場所で面白かった。
残念ながらサンプラザは閉館してしまい、完全再現ということにはいかなかったわけであるが、このごちゃごちゃした雰囲気を楽しむことができてよかったと思う。ちなみに駅の反対側はもう少し整然としている。吉祥寺っぽい。
#浅草03
アディクションカラー
savastiさん提供曲。アルバム中でも屈指の「クセが強い」曲。僕はこの曲が結構好き、というより思い入れが強い曲で、このアルバムの中でも一番よく聴いているかもしれない。
savastiさん曲としては『キャンディフリッピンと君』のゲストボーカルとして参加している。これもめちゃくちゃかっこいいのでおすすめ。
20:00 浅草
ここから時系列がぐちゃぐちゃになってくる。というのも一応各曲に合った時間に行きたいな〜という意図があったからである。
浅草はまあまあよく行く。数年前はコロナのこともあって誰もいない参道が伸びていたのだが、この日は時間が遅めにもかかわらず結構賑わっていた。
ちゃんとおみくじもひいてきた。
個人的に浅草で好きな景色といえばこっち。隅田川である。
#有楽町04
She Is Dead
ジグさん曲。ギターの歪んだ感じがたまらん。有楽町の見方が変わる名曲。
ジグさんといえば『レントリリー』だ(と思う)けれども、個人的には『シンデレラ』のカバーが好き。
16:30 有楽町
日の入りの直前に行きたい、ということでこの時間。
有楽町は面白い場所で、日比谷とも言えるような、丸の内とも言えるような、銀座とも言えるような場所にあるのでなかなか定義が難しい。
実際、作中には映画を見に行く描写が出てくるけれども、そこは銀座の東映なんじゃないかと思ったり。
しかしこの雰囲気であの曲は……と思った。良い曲。
#池袋05
NIGHT OWL
Pegさんらしい!提供曲。歌詞がいい。「首都雑踏」がただ東京の街そのものだけでなく、そこにいる人間に目を向けている、という意味を示すアンカーみたいな曲であるように思う。
ちなみにボカロ版アンサーとして『ナイトオウル2』も投稿されている。
水槽さんのPegさんカバーといえばやっぱり『鬼城』が好き。
「この街は 僕のもの」がかっこいい!
18:30 池袋
池袋の地理めっちゃ苦手。
「首都雑踏」は、MVが出ている曲はそこに、そしてアルバムのジャケットに東京各所の風景が描かれており、池袋はアルバムジャケットにここが、MVには下に示す、東口の風景が使われている。
オタク人々にとっては東口がポピュラーであるように思えるが、この曲の雰囲気はやっぱり西口かしら、と思いつつ。池袋はこの二面性?みたいなところが面白い街。
#御茶ノ水06
23時の断捨離
人間合格さんの提供曲。浅学にしてこの方の曲をあまり聴いておらず、なんとなく「BCNOさんと仲良いんだろうな〜」という印象だけを持っている。
曲はネオポップという感じですごい好き。水槽さんのラップや高音の聴かせ方がめちゃくちゃ上手い。特に後者に関してはこの曲が随一であるように感じる。
パッと聴いた感じだと『合わせ鏡』という曲がすごかった。ボカロの声の使い方がうますぎる。「溶け込み感」が最高。
23:00 御茶ノ水
本当は22:30くらいなんだけれども多めに見て欲しい。
この時間の御茶ノ水をどう切り取るか、というのは結構難しかった。人も全然いないし。というかそもそもこの曲は23時に御茶ノ水に行っているのか?という疑念がある。この時みたいに歩いていたのでしょうか……
一曲目の『首都雑踏』には「御茶ノ水要塞」という表現が登場して、おそらくそれはここに当たる。川に沿ってガンガン駅が立っていて、まさに要塞って感じ。
#上野07
きらいな街
BCNOさん。ロック!という感じがかっこいいけれど、やはり水槽さんのテーマを意識した少しダウナーな曲(というより切ない曲)に仕上がっており良い。
以前BCNOさんの『Long Good Bye』をカバーしており、それもいいので是非聴いてみよう。
19:30 上野
とりあえずアメ横に行ってみよう、と思ったらそれ以上どこにもいけなくなってしまう。
アメ横から出てしまうともう御徒町になるので結構難しい。かと言って上野公園の方はイメージではないよな……と思ってここだけにとどめておいた。
ちなみに上野はきらいな街ではない。
#秋葉原08
Luna
トラックメイカーのeyeさんが手がける楽曲。めっっちゃかっこいいので是非一度聴いて欲しい。水槽さんのラップの切れ味が鋭すぎる。
19:00 秋葉原
神田じゃなくて秋葉原なんだ!というのが正直な感想である。しかしやはり秋葉原である、というのが聴いた後の感想。
万世橋交差点へ。万世橋というのは少しマイナーな地名になっているけれど、こうやって曲に使われているのは素敵なことである。中央線が横切るのがいいよね。
ラジオ会館。秋葉原にそんなに行くわけではないけれども、おそらくランドマーク?なのだろう。猫撫で声のキャッチには会えなかった。
#原宿09
モノクロになる前に
いよわさんの提供曲。容赦がない。容赦がなさすぎる。それでいてこのガチャガチャ感が原宿にあっているものだからたまらん。ボカロPが山手線の駅に一つずつ曲をつけていく、みたいな企画があったら原宿にはいよわさんを選ぶだろう。
水槽さんはいよわさんのカバーを結構出している(この時点ですごい)のだが、『水死体にもどらないで』が特にすごいので聴いて欲しい。
これができるから容赦がなかったという説もある。
17:00 原宿
白状するが、行く時間を完全に間違えてしまった。
そして、思わぬところで首都雑踏を体験してしまった。確かにこの時期は表参道や渋谷〜原宿でイルミネーションをやっているが、なぜ竹下通りに人が集まる!?
何気にこの日行った都市の中で一番混んでいたという説がある。
時間も時間だし、スーツを着ていた(クリスマス時期は意味もなくスーツを着ていることがままある)ので、完全に「モノクロになってしまった」状態だった。
#東京10
TOKYO DIVER
現在は引退されたしゃべる帽子さんの楽曲。Shaboさん!!!好き!!!楽曲提供本当に感謝です。しゃべる帽子さんの、そして水槽さんの良さがバチバチに出ていて、「東京」の雰囲気にもバッチリなおしゃれシティーポップ。出た当時から今までずっと大好きな曲。
水槽さんはしゃべる帽子さんの『フルムーンサイド』をカバーしており、こちらもバチエモなので聴いて欲しい。ちなみに「バチエモ」という表現は水槽さんがこのカバーを投稿したときにTwitterにあげていた文言から知りました。
何気にいよわさん絡みでもある。人間合格さんーBCNOさんライン然り、恣意的に配列しているのだろうか。
21:30 東京
「東京」というのもまた不思議な地名で、特に関西の人間にとっては「東京駅周辺」を指す地名が存在しないのが不思議に感じる(「大阪」と「大阪駅周辺=梅田」みたいな感覚)。「丸ノ内」とか「八重洲」がそれに当たるのでしょうが……
やはりこの曲は丸ノ内、という感じがする。あんまこの角度から撮ることないよね。
やはりこの角度かな、という駅舎。かっこいいね。そして曲がよく合うこと。
銀座までは実際歩いて10分くらいで行けると思う。なんか地下から行く道もあるらしいけれど、自分は大失敗した。寒いときにはお勧めできる。
#日本橋11
ニッケルオデオン
NARUMI HELVETICAさん!しゃべる帽子さんと並んでいるのが個人的にアツい。シティーポップ系ボカロPの並びが壮観。
NARUMIさんのカバーも出ないだろうか。『週末のメトロポリス』とか。
21:00 日本橋
旅の初めは日本橋、という割には結構遅めのタイミングで来てしまった。
『ニッケルオデオン』は不思議な世界観の曲で、それが日本橋の「古きと新しきの交差」みたいな感じがして良い。
どうしたら歌詞感が出るかな、と思って月が覗き込める角度で撮ってみた。照明の加減が難しい。
#新宿12
shower
johnさん提供にして、提供曲の最後を飾る名曲。新宿らしいギラギラとしたかっこよさがある。めちゃくちゃ良い。
今気づいたけれどjohnさんのアルバム「PINK MOON」にボカロ版が収録されている!?こういうの好き。
カバーとしては『宴』が出ている。これも名曲やんね。
18:00 新宿
副都心線がエグ混みで大変だった。
どの曲もそうだけれどこの曲のギラギラ感もまた新宿にあっていて良い。
「水槽」という歌詞が提供の最初(『アイリス』)にも使われていたり、エンディングっぽい曲の雰囲気だったり、どこまで計算なんだろう。本当によくできたアルバム。
感想
楽しかったけどとてもしんどかった。東京はなかなかコンパクトな都会なので、これだけの街が1日で回れてしまうというのがすごい。(そしてメトロ24時間券は偉大。)
ただ曲の原体験を得られるというのはとても素晴らしい機会だった。つくづくいいアルバムだと思いました。魅力の再発見、という意味でもいい旅になったと思います。
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