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2021年9月29日「RESONATE」スターダンサーズバレエ団

約1年振りの観劇記録。
コロナ禍で外国人振付師を招聘しての公演が難しくなったことやリハーサル環境を整えるのが厳しいからか、最近はどこのバレエ団も古典やよく公演しているレパートリーからの公演が多かった。
その中で、カンパニーダンサーが振付する作品のみで公演をするのは中々挑戦的な試みだったのではないだろうか。
その勇気に心の中で大拍手しつつ、もう2度と同じダンサー・作品で公演は行われないだろうから、自身の記録用として、簡単に感想を残しておきたい。
※ダンサーについては敬称略で表記していることをご了承いただきたい

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Message

Message
振付:友杉洋之
音楽:Alexander Vatagin, Arca, 2562, Hiroyuki Tomosugi
CAST
石山沙央理 榎本文 角屋みづき 塩谷綾菜 杉山桃子 西原友衣菜 野口熙子 渡辺恭子
愛澤佑樹 池田武志 小澤倖造 川島治 佐野朋太郎 林田翔平 宮司知英
金子紗也 鈴木優 鈴木就子 谷川実奈美 玉村都 冨岡玲美 東真帆 前田望友紀 森田理紗 山内優奈
※当日配布のパンフレットより

やわらかい音楽の中、対になっては離れ、対になっては離れが様々なところで行われるのが友杉氏らしい作品。途中激しい音楽でややアップテンポな振りから急な静寂へと繋がる部分は、遠藤康行氏の「love love ROBOT 幸せのジャンキー」を彷彿とさせるものがあった。

ダンサーについては、川島&石山ペアが友杉氏作品にマッチした踊りに感じた。やわらかさを身にまといつつも、呼吸を意識した踊りはさすがだった。大役を務めた杉山の踊りは初見だったが、堂々たるもの。スタイルの良さも相まって、音楽を味方につけつつ素晴らしい踊りだった。鈴木稔氏の作品だと少々弱さを感じるかもしれないが、友杉氏の作風にはとてもマッチしていた。

あまり大人数の作品は創ってきていないとのことで、全体の構成は試行錯誤があったかもしれないが、スターダンサーズバレエ団にかかわる様々な振付家のエッセンスが盛り込まれた作品に仕上がったのではないだろうか。

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@Holic

振付:関口啓
音楽:馬場宏樹(Qings)
CAST
榎本文 海老原詩織 小澤倖造 柏知里 加地暢文 喜入依里 橋本まゆり 若宮嘉紀
※当日配布のパンフレットより

短い劇を見ているような、わちゃわちゃした感じが関口氏らしさを感じた。喜入がまさかの踊らずだったが、あの声と若宮のポチの掛け合いで舞台の中に引き込まれていったことは間違いない。

ダンサーは鈴木版くるみ割り人形でも注目している橋本の踊りに目がいった。音楽をうまく汲みとり、上体を大きく動かす踊りはコンテ作品によく合う。友杉氏のMessageでも踊りが気になった小澤の仮面の人も良かった。コミカルな演技もうまかったので、作品全体のストーリー性をうまく誘導していた。

作品制作経験があるということもあって、一定のセオリーは感じつつも、アクロバットな動きが得意な関口氏らしさを感じた作品。暗めの作品が多い講演だったので、まぶしい黄色がアクセントになった作品だった。

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What about...

振付・音楽:仲田直樹
CAST
秋山和沙
井後麻友美 岩崎醇花 飛永嘉尉 若宮嘉紀 和田瞬 渡辺大地
※当日配布のパンフレットより

振付の仲田氏をほとんど知らないので、どういったものが出てくるのかドキドキしながら幕が上がるのを待った。存在と他。わかりやすいテーマに構図もわかりやすいものだったので、ちょっと暗めの作品が苦手な人にも伝わりやすかったのではないだろうか

秋山の存在感に良くも悪くも左右された作品に感じたが、踊り手それぞれが曲や動きをよく理解しているのが伝わってきた。特に井後・岩崎の女性ペアはシンメがうまくできていたように感じた。

少々動きが単調なのと、一音に一動きにとどまっているのが、作品全体の重たさにつながってしまっていたように思う。あとで気が付いたが、音楽も仲田氏自身。多才ぶりが伺えるので、まだまだこれから精査された作品が生み出されることに期待したい。

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SEASON’s sky

振付:佐藤万里絵
音楽:Anoice(本作品のための書下ろし曲含む)
渡辺恭子 西原友衣菜 喜入依里 柏知里 フルフォード佳林 野口煕子
林田翔平 池田武志 渡辺大地 久野直哉 佐野朋太郎 天上遼太郎
冨岡玲美 橋本まゆり 塩谷綾菜 鈴木就子 鈴木優 谷川実奈美 山内優奈 岡田夏希 南亜紗子 荒蒔礼子 田中絵美 早乙女愛毬
※当日配布のパンフレットより

佐藤女史の作品は10年来のファンなので、今回の公演もトリで楽しみにしていた。
佐藤女史の創り上げる作品のイメージは「アクロバットなリフト」「旋律を感じさせる動き」「緩やかにストーリー性を感じさせるテーマ進行」なのだが、今回も随所に感じさせる作品だった。

始まりは全員板付きから徐々に夜明けの如く動き、全体へと動きが派生していった。舞台面いっぱいのダンサーが床で寝そべっている者もいればリフトで持ち上げられるものもいて、高低差が全体の立体感を出していた

クラシックでも使えそうな衣装は女性ダンサーのやわらかさを引き出しており、動きもクラシックに近い部分を感じ、のびのびと踊っているように見えた。

全体の構成として一貫性のある音楽ながらもいくつかの楽章に分かれ、全体からグループ、また合わさって分かれて、途中ソロやペアを交えながら最後に総踊りという、ベーシックながらも飽きさせない構成だった。
友杉氏は歩きで見せる部分が多いが、佐藤女史は常に踊っている印象。今回の作品では全体に風が起きているような錯覚を覚えた。

ダンサーで特筆したいのは冨岡。冨岡を中心にした(といって良いだろう)楽章では、のびのびと音楽に乗って動いており、華奢な体の黄色い衣装が非常に映えた踊りだった。ウェスタンシンフォニーの三楽プリンシパルをされていた時の姿が頭をよぎった。

佐藤女史の作品は、コンテに馴染みのないバレエ鑑賞者でもとっつきやすい印象だが、今回は特にそれを感じた。メリハリのある作品構成で爽快な気分になるものだった。

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少々偉ぶった文章になってしまいましたが、、、
バレエに限らず、こうした創作活動が日本で盛んになることを願い、結びに代えさせていただきます。

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