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光と影③ 影を慕いて…
「わかる/わからない」の視点で、アートに関わる話を、思いつくままつらつらと綴っています…。
光と影って表と裏みたいな関係で、どちらかが欠けても存在しえないものかなぁ、なんてことを考えておりました。自分が、光のキラキラが大好きなくらい、影もお慕い申し上げていることを思い出しました。
光と影と言えばこちらの巨匠
《エマオの晩餐》
カラバッジョ
1601年
バロック絵画の最大の巨匠と呼ばれるカラバッジョ(ミケランジェロ・メリージ Michelangelo Merisi)
イエスキリストが復活の日に二人の弟子がエマオに向かう道中、イエスだと気付かぬまま夕食を共にし、食卓でパンを分け祝福する姿からイエスであることに気付く場面(エマオの晩餐)を描いたものです。
中央のイエスが光輝いているところが目立ちますが、後ろの壁に映る影や、画面左手上方から右手下方に伸びている影にも、個人的にはついつい視線が向きます。明暗や構図を強調するためといったら、そうなのでしょうが、信仰のはかなさというか危うさというか、キリストの強い光に照らされるほど、人の浅はかさが見えてくる、そんなことを表しているのではと、つい深読みをしてしまいます。
カラバッジョは、このような敬虔な作品をドラマチックに描き枢機卿のお気に入りになる一方、性格は破天荒。殺人事件まで起こして牢獄につながれたことも。まさに人生の光と影が極端な人間だったようです。明るいところだけに注目していると、本質を見失いますよね。
「暗い面」も意識してみましょう! なんて言うとまさに根暗な感じですが、街歩きをしながら「影」を探していると、結構面白いシーンに出くわします。題して、《路上のシルエットアート》
どうです、お楽しみいただけましたか?
え、てんでこの面白さがわからない…。うーん、もしかしたら、影をお慕いするほど、人生、私ほど枯れてないってことかもしれませんね…(笑)