角を取るのは難しい…?
サントリー美術館の内覧会に行ってきました。
『美を結ぶ。美をひらく。美の交流が生んだ6つの物語』
HPはこちら
選ばれし人(単に年会費払った会員ということですけど…)限定ということで、特別感もあったりするのですが、最近の美術館は少人数でじっくり鑑賞できるのが”定番”ですから…。
サントリー美術館の企画は、鑑賞者に興味・関心を持たせてくれる仕掛けが巧みで、毎回「なるほど確かにこう観ると面白いなぁ…」と思わせてくれることが多いです。通(つう)の方には、そこがくどくて嫌という方もいるかもしれませんが、例えば今回主役を張っている古伊万里の焼き物なんて、私なんぞ、どこをどう見ればいいの? って右往左往しちゃいますから。今回の展示で教わったのは、焼き物、特に絵皿を観る際の「角を取るのは難しい…?」です。
《染付雲雷文大皿》
こちらが本日の個人的にお気に入りのお皿です。
*どの作品も写真撮り放題! という展覧会です
「墨弾き(すみはじき)」という技巧で作っている…という話も勿論興味をひかれたのですが、ここに至るまでの展示の流れがうまい。
<円の中の絶妙なレイアウト>というセッションが最初にあり、円い絵皿の”画面”にいかにモチーフを表現するのかが腕の見せ所という点を「小さくまとまるつもりはない。でも丸く収めたい」という、まさに絶妙な一言でキャプションで紹介。俄然、興味がわいちゃいました。
あ、そういえばオールドマスターの作品でこんなのありましたね。
《聖家族(トンド・ドーニ)》
ミケランジェロ
円い(トンド)の画面に聖家族をどう収めるか…。絶妙なレイアウトってこういうことかなぁと、突然に浮かびました。まさか、絵皿を鑑賞しつつ、ミケランジェロを思い出すとは…。これが面白い。
考えてみると、キャンバスのほとんどは四角い形。そういった作品を見慣れた自分は、なかなか角が取れている「作品」の見方がわからなかったのかもしれません。
年を重ねて「角が取れ」てくると、円いレイアウトの良さが自然にわかってくるのかなぁ…。自分もそろそろその領域に、年齢だけは達して来ている自覚はあるのですが。
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