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新年のご挨拶と書寫山圓教寺と
あけましておめでとうございます。新年のご挨拶が遅くなってしまいました。今年もどうぞよろしくお願いします。年末年始に勤しんだ卒業論文の執筆も無事終了。あとは提出を残すのみ。大分粗削りなものになってしまったが仕方ない。学生生活の最後に、きちんと書ききれて良かった。
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卒論が忙しい忙しいと言いながら、昨日は姫路の書寫山圓教寺に足を運んでいた。「西の比叡山」と言われるだけあって、標高こそ低いものの山岳寺院の様相を呈している。
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人の手がほとんど加えられていない森林、細く起伏の激しい参道に設置された西国三十三所の各札所本尊を表した銅像。気分は修行僧だ。そして目の前に現れる摩尼殿。その規模と細かく入り組んだ木材に圧倒される。この摩尼殿は「造形の規範となっているもの」との理由から国登録有形文化財に登録されているそう。
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建築様式などは少しづつ知識が蓄積されてきてはいるものの、いざ実物を目の前にすると調べ物無しには歯が立たない。もどかしい気持ちもありつつも、調べた後の知識の繋がりはやはり楽しい。地道に行こう。
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実は摩尼殿、旧建物が火災で焼失したため1933年に再建されている。その再建に深く携わったのが武田五一という人物。彼について色々調べてみて、摩尼殿についても記されている面白い記事を見つけた。
近代の意図的な歴史主義に基づく創作活動として造られた注目されるべき寺院建築のひとつであり、現存する優れた近代和風建築の遺構である。
こんな背景まで理解した上で建築物を見れたらすごい楽しいんだろうなと思いつつ、頭でっかちになってはいけないという自戒も忘れず。新鮮な目で物事を見れるようになりたい。
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私はいま卒論の提出に向かう電車の中だ。京都駅でバスに乗り換えだが、そのバスがいつも通る道の脇に、武田五一が設計を手懸けた関西電力京都支店の建物がある。「立派な建物だな」というくらいにしか見ていなかったが、今日は意識を向けて観察してみよう。数秒くらいだけど。
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おっと忘れていた、本記事で触れた圓教寺だが、様々な映像作品のロケ地になっている。個人的に最も馴染み深いのは、やはり『ラストサムライ』だろう。大河ドラマ『軍師官兵衛』でも使われたらしいが覚えていない。
この『ラストサムライ』、見物として面白いと感じたのだが、世間の評価はイマイチ。確かに振り返ってみると映像の雰囲気や戦闘シーンの迫力に流されていたのかもしれない。いや、流されるくらい良かったということで良いでは無いか。設定なんて気にするな!ということで。デヴィッド・リンチの言葉を。
「人生そのものが意味不明なのに、物語に意味が通ることを期待する人がいるのが分からない」
この言葉、Twitterで流れてきて知ったのだが、どこか面白かった。鋭そうでそうでもない感じとか。それ言っちゃ終わりだとも感じるのだけれども。この流れで最近触れて面白かった言葉をもうひとつ投下。こちらはNHKの番組で流れてきた大杉栄のもの。
美はただ乱調にある.諧調は偽りである.
大味な言葉だが、そんなことも意識しつつ物事を見てみることが、また新しい発見に繋がるのかな。なんて思いつつ。電車もそろそろ京都に到着しそう。それでは。