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とあるバンギャの備忘録⑤PIERROTとの再会とHUMAN GATE

前回までのあらすじ:Raphael 華月さんの夭折、そして活動休止 傷心の私が手に取ったのは、PIERROTの「セルロイド」でした。

「優しい君の声が背中を押した」

その時のことはよく覚えています。

多分PIERROTを手に取ったのは偶然だったし、セルロイドを手に取ったのも偶然でした。

なんとなく歌詞カードを捲ると、歌詞の他に解説(といえばいいのかな?)が掲載されていました。おそらく当時の私は歌詞のページしか読んでおらず(解説のページは文字が多過ぎて小学生には厳しかった…のかと。知らんけど)「こんなページあったんだ?」と思いながらその解説を読みました。

「人間は何か辛いことがあったからって、すぐに死を選んでしまうほど弱くはない」

「僕は人間の強さを信じたい」

(正確ではないと思います。すみません)

驚きました。

今までRaphaelからのメッセージとして受け取っていた「君は弱くてもいいんだよ」とは真逆と言っていいほどの言葉。その強いメッセージに動揺しながら何度も何度も読み返し、セルロイドをCDデッキに入れて流し始めました。

久しぶりに聴く、懐かしい曲たち。強く心に刺さる歌詞。

セルロイド、Adolf、脳内モルヒネ、Twelve、鬼と桜、そしてHUMAN GATE。私は声を出して泣いていました。

HUMAN GATEには現在に至るまで節目節目に助けられていたのですが、これが初めて助けられた瞬間でした。

「それでも生きていかなければ」


HUMAN GATEの歌詞って、すごく「リアル」だと思うんですよね。

救いを求める声は響くだけで届かないし、作り笑いの裏涙を流すし、人形のように操られ踊らされるし、白馬の騎士は現れないし。曇り空に飛び立つ青い鳥を見上げてるだけ。

キリトさんは無責任に「誰かが助けてくれる」とは絶対に言わない。「人間は強いはず」と信じてくれている。この歌詞はキリトさんじゃないと書けないよなぁ。

けどだからこそ「それでも生きていかなければ」という歌詞が心に沁みる。

そっか、それでも生きていかないといけないんだ。不思議なほど腑に落ちました。

「君はそれほど弱くはない」

そうか。私はRaphaelを失っても今こうして生きてる。もしかして私は自分が思っているほど弱くないのかもしれない。そう思うと同時に、「もっと強くなりたい」と思うようになりました。

大人になってから改めてこの歌詞を読むと、キリトさんって最高に優しいなぁと思うんですよね。無責任なことは言わないけど、進むべき道は示してくれる。こっちに行けばいいかもよ、と手を取って導いてくれる。泣けてくるほど優しい人です。

白馬の騎士は現れない、と言うけど。わたしにはこの時のキリトさんが白馬の騎士のように思えました。そして、キリトさんみたいに強くなりたい、現実に立ち向かって、勝てるようになりたい。そう思うようになりました。

この時は本当に本当に、助けられたなぁ…。今でも覚えてるって、相当ですよね。私の中の大事な記憶の一つです。PIERROTの音楽とキリトさんの言葉に救われました。

気付くと私の人生って、必要な時に必要な音楽が寄り添ってくれてる。マジでNo music No life。

「それでも生きていかなければ」は今も私の心を支えてくれています。

そんなわけで、数年の歳月を経て、本当の意味でPIERROTと出会うことができたのです。

Anniversary

当時のPIERROTは「DRAMATIC NEO ANNIVERSARY」の発売を控えていました。

Break out以来PIERROTのライブへは足を運んでいませんでした。情報を調べてみると、横浜ARENAでのライブが決まっているとのこと。

当時の私は中学2年生。勿論自分の意思だけで県外へライブに行くことはできません。

でも行きたいなぁ、と思っていた所…

横浜アリーナ 9/23「ANNIVERSARY」

………ん?!

これ、、、


私の誕生日なんですけど?!?!?!


当時も運命だと思ってましたけど、今思い返しても確実に運命ですわ(笑)しかも「ANNIVERSARY」て!!アンタ!!

何もかもとんとん拍子すぎてびっくりします。

そして私は初めて自分の意思でライブへ行きたいと言い、チケットを確保しました。

それからはあっという間でした。すぐに全部のCDを購入することは出来なかったので、レンタルで過去のCDを借りて聴きあさり、ピエロを通じて仲良くなった(これまた文通がメイン)お友達に色々なことを教えてもらい…

PIERROTのライブ=振り付けが難しいというイメージがずっとあったので、聞きまくっていた気がする。その度に「大丈夫!キリトに従えばいいから!」という宗教感強めのお返事をいただいていました(笑)

お年玉を貯めて買ったロリータのワンピースを着て手作りのヘッドドレスをつけて準備万端。憧れのロリータファッションで参戦です。

当日、私たちの席がなぜか潰されていて予定より前の席で見ることができるというサプライズもあり、実に3年ぶりにPIERROTとの再会を果たしました。

これ書きながら思うんですけど、3年しか経ってなかったんだなぁ…当時は10年ぶりくらいな気持ちだったけれど…。この三年間のうちにPIERROTはたくさんCDを出していたし、キリトは十字メイクをしなくなっていたし。変わったこともあったけど、変わらないこともありました。

それは、とにかくPIERROTは格好良い!ということ。これが全て。

一瞬で会場をPIERROTの世界にしてしまう力も、全てを飲み込んでしまうようなパワーもあの時のまま、いやそれ以上に感じました。

あと、キリトに抱いた「なんか面白いお兄さんだな」という第一印象は、あながち間違っていなかったということ(笑)

「叛旗を高らかに翻して 新しいステージへと」

今考えるとこの時期ってPIERROTにとっても次のステージへの移行段階だったんですよね。プラエネが終わり、HEAVENに向けての。

あぁ、PIERROTが好きだ。

ライブの最中からずっとそういった自分の思いを噛み締めながらも、ふと不安が過りました。

「これが最後になってしまったらどうしよう」

そう思ったらライブは楽しいはずなのに泣けてきてしまい、最後の方は涙涙でした。

当時は、私って何でこんなメンタル弱いんだろう?と不思議だったんですけど、これはRaphaelでの経験があったからかもしれないですね。

なんの前触れもなく、華月さんはいなくなってしまったから。「癒し箱」ツアーが最後になるだなんて、微塵も思っていなかったから。

自分で思っていたよりも私は華月さんの死にショックを受けていたんだなぁと、今ならわかってあげられます。

そうして私はPIERROTが大好きな気持ちと「でもキリトまで死んでしまったらどうしよう」という気持ちの狭間でしばらく苦しむことになります。




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