人類よ、でんぱ組.incに置いてかれていいんか?
でんぱ組.incがエンディングを迎えることが発表されました。
4月20日、恵比寿LIQUIDROOMでのあの発表の瞬間の空気感、きっとずっと忘れられないと思う。
アンコールを呼ぶ時間がいつもよりもだいぶ長くて、アンコール一曲目のでんでんぱっしょんが終わってリボンを袖に片付けたあと、ひなちゃんが今にも泣き出しそうな顔で、震えた声で言った。
「でんぱ組.incから皆さんに、大切なお知らせがあります」
そこからみりんちゃんが、何度も言葉に詰まりながら絞り出した言葉。
静まり返った空気。いくつかのすすり泣きだけが聞こえてた。
ここ数年「メンバーが卒業する」というのを何回も経験した。でも、形が変わっていくことは、ずっと「でんぱ組.inc」が続いていくことだと思った。
正直エンディングなんてまだ信じたくないし、めちゃくちゃやだ。今からでも撤回してほしいと思ってるし、なんか急にTikTokでバズってたりして爆売して、辞めるに辞められない状況になんないかなって思ってる。
今のでんぱ組.incはこんなにすごくて面白いのに、終わってしまうなんて。
エンディングと聞いて蘇ってきた数多のオタク達の「6人時代が好きだった、最高だった」という『思い出』を否定するつもりは全くない。
でも今のでんぱをマトモに見ずに「オワコン」みたいなことを言うのはマジでダサいとずっと思ってる。
今のでんぱ組のパフォーマンス、あの頃と比較してもびっくりするほどクオリティ高いよ(念の為言うけど、どちらが良い悪いではない)。ほんとにかっこいいしめちゃくちゃ面白い。ライブのたびに、ものすごいものを見せてくれる。
もっとそれを発信すればよかったなと思っている。
すごいすごいって心のなかで思ったり、オフラインの友人と話したり、X(旧姓Twitter)で断片的につぶやいても、それは未来には繋がらないんだよ。「ここまで来たらずっと続くんだろうな」っていう油断があった。何やってたんだ。
というジメジメした後悔もしつつ、先日公開された最新曲のMVを見て、こう思ったんですよ。
「あ、この人たち、人類の大多数を置いてけぼりにして逃げ切る気満々だ。」
人類がでんぱ組.incに置いてかれてしまうのは、本当に可哀想なことだなと思うんです。なので以下を強く主張したい。
これからでもでんぱ組.incに追いつける!
否、追いつかんともったいないぞ!
でんぱ組.incとは
という、定型の説明は置いておいて、とにかく2009年からと非常に長く続いているグループなんですよね。だからこそ問いたい。
でんぱの今、知ってる?
「でんぱ組ってまだやってたんだ」じゃないんですよ!
でもね、あなたの認識が過去のでんぱ組で止まってることは悪いことじゃない!
とはいえ、今のことを知ってくれないと当然追いつけないので、今のでんぱ組がどんなグループなのかの話をします。
メンバーについて
まずは、2024年5月現在のメンバーについて。今はこちらの7人で活動しています。
古川未鈴(ふるかわみりん)
ニックネーム:みりんちゃん
メンバーカラー:赤
でんぱ組の絶対的センター。ガチのゲーマー。彼女がいないとでんぱ組は始まらなかった。
今や一児の母で、ママとアイドルを両方ちゃんとこなしてて本当にすごいと思うし、ライブで見る度に「こんなに可愛いママがいていいものか」と思う。
相沢梨紗(あいざわりさ)
ニックネーム:りさちー
メンバーカラー:白
リーダー。年々美しさを更新する美の女神。どう見ても五年前十年前より今の方が美しい。
歌がすごい上手い。曲によってものすごく可愛い声と太い声を使い分けたり、イカつめのこぶしを効かせたりする、でんぱの歌唱面での大黒柱。
しっかりしてそう(してる)だけど不意に抜けてるところがあり、 #りさちーしっかり というタグがTwitterにあって本人も良く使ってる。
藤咲彩音(ふじさきあやね)
ニックネーム:ピンキー!
メンバーカラー:青
フィジカルの鬼。身体表現がめちゃくちゃ上手く、かつ、表情管理が最高に良い。
以前は「子供っぽい声=ピンキー」だったけど、今は別人みたいな大人っぽい声で歌うことも多い。
今度27時間テレビの100kmマラソンに出場することが発表されました(まさにフィジカルの鬼)。みんな応援しようね。
鹿目凛(かなめりん)
ニックネーム:ぺろりん
メンバーカラー:たまご色
「おもしれー女」を地で行くおもしれー可愛い女。アスペルガー症候群であることを公表していて、今では「ズレてる」感をキャラクター的に武器している。
ぺろりん先生として漫画やオタクあるあるイラストを描いていることでも有名。なんかここ数年でめちゃくちゃ垢抜けたと思う。
天沢璃人(あまさわりと)
ニックネーム:りとくん
メンバーカラー:ネイビー
ボーイッシュ担当と思いきや、めちゃくちゃ女の子でセクシーな部分を見せてくれたりもする強め美人。ダンスが上手い。
でも一人称が「わし」だったりして、結構照れ屋なところも良い。
実は小鳩りあを追って上京してきて、まさかの一緒のグループにいるという最強のりあぴオタク。
小鳩りあ(こばとりあ)
ニックネーム:りあぴ
メンバーカラー:パウダーピンク
金髪のおひめさま。とにかくふわふわでもちもちしてて可愛い。
儚げだけどピッチはズレない不思議な声の持ち主。しゃくりあげるような歌い方が心地良い、と思ったらすごい強い歌い方もできて変幻自在。
ライブ会場ではりあぴが話すと「可愛い」「可愛い」というオタクの鳴き声が聞こえる。かわいい。
高咲陽菜(たかさきひな)
ニックネーム:ひなちゃん
メンバーカラー:オレンジ
元々でんぱのオタクだった子がでんぱになった。グループ最年少の天才アイドル。
加入時14歳という幼さだったが、当時からコメントが誰よりもしっかりしていて、たぶん人生何周かしてるタイプ。勘が良くて間が良くて表現が良い。マジで天才。
ここ1年ほどで急激にビジュが成長している。
以上が今の「でんぱ組.inc」です。
どうでしょうか。みんな個性があって、可愛くて、キャラが立っててめちゃくちゃ良くないですか。
ちなみに、黄金期のでんぱはメンバー同士の「ビジネスパートナー、同僚」感が強めのグループだったと思うんですが(もちろんそれはそれですごく良い関係性だった)、今のでんぱはもっとファミリー感が強いと感じます。
楽曲について
次は肝心な楽曲の話をしましょう。
……あ、そうだね、皆さん6人時代の楽曲しか知らないですよね。もったいないなぁ。それ以降も面白い楽曲が山程あります。
6人時代から時系列でライブで良くやる曲と私が個人的に好きな曲(何故?)をリストアップして差しあげるので、ちゃんと見て聴いて、判断してください。
ちなみに当然ですが「ライブでよくやる」も全て「好きな曲」です!!!
◆〜2017年8月
古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音
→一般的な『でんぱ組.inc』のイメージはこの人達でしょう。黄金期とされている6人ですね。
メインどころはさすがにこの時期の曲が多くて、今もライブでほぼ必ずと言っていいほど歌われる曲も多いです。
(もがピン加入以前の曲もあるけどいったんここに入れとく)
ライブでよくやる
Future Diver:やっぱこれだよね!のFD。どんなときでも楽しくどんなときでもグッと来る。
でんぱれーどJAPAN:マジで何を歌っているかわからない歌詞で最高にアガる。
でんでんぱっしょん:新体操のリボンを使う振り付け、斬新すぎてビビらんかった?私は最初ビビったし今でもすげえなって思うよ。
キラキラチューン:曲途中でメンバー同士の喧嘩が振り付けに入ってて、初見オタクを毎回ビビらせていたキラチュン。最近は通常の振りで喧嘩はなくなったけど、特別なライブでたま〜に復活する。
ちゅるりちゅるりら:「青白紫赤緑黄色」と6人時代のカラーが歌詞に入っているけど、なんの違和感もなく今でも歌われている。
バリ3共和国:イントロから一緒にポーズ取るのがすごい楽しい。コールを入れやすくてめちゃ盛り上がる。
あした地球がこなごなになっても:浅野いにお作詞、映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』挿入歌。でんぱのすごいところは、こういう曲調の表現もものすごく上手いこと。
個人的に好き
STAR☆ットしちゃうぜ春だしね:春に限らずいつでも聞きたい。MVが超好き。
強い気持ち、強い愛:小沢健二の楽曲カバー。極端なアレンジで、完全に「でんぱ組の曲」になっている。ライブでの振りコピやコールアンドレスポンスも楽しい。
まもなく、でんぱ組.incが離陸致します:ぶりっ子な感じですごく可愛いのに、振付や歌詞が不穏でゾワゾワする感じが最高。
WWDBEST:本人たちの心情を歌ったWWDシリーズの最後の曲。聞く度に当時の感情が蘇ってきてちょっとしんどいけど大好き。
◆2017年末〜2019年初頭
古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪
→最上もが脱退後、一瞬5人期があったが同年内には鹿目凛と根本凪が加入。実験的な曲が増えて、この時期と次の6人期は個人的に好きな質感の曲が多い。
ライブでよくやる
プレシャスサマー!:激烈な運動量を誇る爆速爆アゲ曲。運動量がエグくて、なんで歌えてるんだこれって毎回思う。
ギラメタスでんぱスターズ:激烈な運動量を誇る爆速爆アゲ曲その2。全く比喩ではなく、ガチでステージを走り回ってる。
個人的に好き
おやすみポラリスさよならパラレルワールド:H ZETT M作曲。ピアノ旋律が印象深い曲。ライブでの振り付けもすごく不思議で、緻密な演劇を見ているような気持ちになる。
太陽系観察中生命体:こちらもH ZETT M作曲。地球外生命体が人類を観察しているような歌詞が面白い。夢眠ねむの卒業が発表された後最初に出たMVで、泣きながら見てたら「何故泣いているの?何の意味あるの?」と問いかけてられて発狂するかと思った笑。
絢爛マイユース:夢眠ねむの卒業ライブでの光景が忘れられない。
◆2019年〜2021年2月
古川未鈴、相沢梨紗、成瀬瑛美、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪
→夢眠ねむが卒業して再び6人に。「ねもぺろ from でんぱ組.inc」の派生ユニットが出来る。(このユニットがまた良かったんです……)
ライブでよくやる(気がする)
ボン・デ・フェスタ:お盆がテーマで明るいのにすごく切なさを感じる曲。振り付けにも色んな意味が込められてて面白い。
個人的に好き
形而上学的、魔法:諭吉佳作/men作の高難易度曲。ワンカットのMVが秀逸。これを踊りながら歌いこなせるアイドル、他にいる?
子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡:清竜人節全開。最初から最後まで恐ろしく早口言葉で、よく口が回るなって思う。MVがめちゃくちゃ可愛い。
愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ!:幕張メッセでのライブで初披露されたとき、会場中を走りながら歌ってそれを2回回しするという体力に度肝を抜かれた。でんぱを追ってれば追ってるだけエモくなる歌詞だと思う。
◆2021年〜2022年4月
古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪、愛川こずえ、天沢璃人、小鳩りあ、空野青空、高咲陽菜
→グループの絶対的『陽』、成瀬瑛美が卒業したと思ったら、そのライブで5人が一気に加入して10人に。当時、「どう考えても天才か狂人の采配だ」と思った。
ライブでよくやる
プリンセスでんぱパワー!シャインオン!:10人になったことを歌う歌だけど、「幸せを待つのではなく自分で掴み取る」というストーリーが本当に良い。
千秋万歳!電波一座!:ライブは冒頭ひなちゃんのパントマイムで始まるんだけど、その部分がたまにめちゃくちゃ長くて面白い。
個人的に好き
衝動的S/K/S/D:結構珍しいロックサウンドの激しい楽曲。ただただかっこいい!
◆2022年4月〜2022年末
古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音、鹿目凛、愛川こずえ、天沢璃人、小鳩りあ、空野青空、高咲陽菜
→根本凪が卒業して9人体制。個人的にアルバム「DEMPARK!!!」は好きな曲が結構多い。
ライブでよくやる
でんぱっていこーぜ!!:歌詞と振り付けが面白くてすき。大きな声で!と言われたら大きな声で、小さな声でと言われたら小さな声でコーレスしましょう。
個人的に好き
プロタゴニスト:眉村ちあき作。切なくて苦しくて泣いちゃう曲。
MIKATAせずにはいられないっ!:すごい早口でテンションが高く、展開が楽しい曲。メンバー全員にキリングパートがある感じ。
ゆらめく空中戦:久しぶりのH ZETT M作曲。歌詞も曲もおしゃれで大好き。
◆2023年〜2024年1月
古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音、鹿目凛、天沢璃人、小鳩りあ、空野青空、高咲陽菜
→愛川こずえが卒業して8人体制。ここらへんはちょっと区切りが微妙。
ライブでよくやる
イッき♡いっぱつ:メロディーが複雑すぎて不協和音にも聞こえる、ダンスもロボっぽい動きが多かったりで面白い。ちなみの冒頭のぺろりんはわざと音をめちゃくちゃに外して歌ってます。
個人的に好き
我ら令和のかえるちゃん!:まふまふ作。振り付けがすごく複雑で見てて楽しいし可愛い。
◆2024年1月〜エンディング
古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音、鹿目凛、天沢璃人、小鳩りあ、高咲陽菜
→空野青空が卒業して7人体制。このメンバーでエンディングを迎える予定。
絶対今後のライブで毎回やる
商売繁盛!元祖電波屋!:これぞでんぱ組!をエンディング発表後に出してくるの、ずるい。やっぱ玉屋曲だよな〜〜〜!!!
こちらの曲達は私の方でApple Musicのプレイリストを作っておきましたので、Apple Musicユーザーは全員聞いてください。
今のでんぱの凄いところ
パフォーマンスの凄さ
さて、前述の曲リストを見て、彼女たちの凄さが伝わったでしょうか?
まずは、メンバーの数の変遷を考えてみてください。
6→7→6→10→9→8→7
そして、最初期からずっと歌われている曲がたくさんある、ということは、ダンスと歌割りが前述のスパンで何回も変わっているんです。6人での歌割りやダンスを10人分にして、更に人数を変更していくというのを、全く違和感なく成立させている。
加えて、新しい曲も毎回めちゃくちゃハードな振り付けが付く。
考えるクルー達も、それを表現するメンバー達も、マジでものすごいと思う。頭おかしくなるよ。
例えば、2017年末からの7人時代の曲、プレシャスサマー!の動画を見比べてみると。
この運動量が本当に驚異なのに、人数が変わってパートやフォーメーションの立ち位置が変わるだけじゃなく、同じ曲でも振り付け自体が結構変わっているというのがやばくないですか。やばいですよね。
こんなに複雑なフォーメーションのダンスで、全員の動きを揃えるというだけじゃなく、それぞれの動きが有機的につながっているような振り付けも多くて。
めちゃくちゃ覚えるの大変だと思うし、特に過去のバージョンをたくさん経験しているメンバーは本当に難しいと思います。
ちなみに、ここ数年で私が一番すごいと思ったのは「我ら令和のかえるちゃん!」のフォーメーションの複雑さです。これはメンバーも「でんぱ組史上最も難しいダンス」と言っていたような記憶がある。
そして、彼女達のものすごさは、上記のような「異様な運動量の楽曲」をライブで、生歌でやるんです。
被せもほぼないので、歌が抜けると普通にその部分はバックの音だけになります。
直前のツアーはエンディングを発表するということもあり、パフォーマンスに鬼気迫るような迫力があり、「命を削ってる」感がものすごかったです。こんなアイドルのライブは他にないと思う。
楽曲の多様性
そして、前述の驚異的なパフォーマンスと共に、バラエティに富んだ楽曲にも注目してほしいんですよ。
代名詞である「テンポが早くて何歌ってるかわかんない電波ソング」だけではなく、ミュージカル調だったり、切ないバラードだったり、実験的なアイドルらしからぬ曲だったり、激しいロックサウンドの楽曲だったり、本当に幅広いんです。
「色んな曲がある」を短い時間でわかりやすいのはこのアルバムDEMPARK!!!のトレーラー動画かなぁ……と思っていますが、それとは別に例えば下記の二曲が同じライブで披露されるというのを想像できるでしょうか。
どう考えても温度差えぐすぎるでしょ……。
こんなことが普通に起こる、そして両方を高いレベルで表現できるのが今のでんぱ組.incなんです。
でんぱ組.inc、最高のエンディングに向けて
人類。でんぱ組.incに置いていかれないで。
終わってほしくない気持ちはずっとあるけど、発表されてしまったエンディング。
最高のエンディングを迎えるためには、今のでんぱ組.incのライブを本当に色んな人に見てほしい。見て、今のでんぱ組のすごさを、多くの人に知ってほしい。せっかく「でんぱ組.incが存在している時間」で生きているのにこれを見ないなんて勿体無い。
全人類にこの言葉を送ります。
今後のでんぱ組.inc
長々と彼女達のことを述べてきましたが、でんぱ組.incは、今年の10月から全国ツアーを回り、2025年頭にラストライブを実施することだけが現時点では発表されています。
どうか人類は、でんぱ組.incに置いていかれないように。
そして是非今から追いつきましょうよ。
ぜひ、10月からのツアーで今のでんぱ組.incの凄さを体感してほしい。その前にもイベント等色々追加されると思うし、どこかでライブを見てほしい。
直近だと6/14にツアーの追加公演がSpotify O-EASTで開催されます。
でんぱ組.incを体感しに来ませんか?
体感して、これまで追ってこなかったことを、オワコン扱いしてしまっていたことを、全員後悔すれば良いんだよ(急に拗ねるな)。