子供用の靴と妻のやさしさ
たまに道端に子供の靴や帽子が落ちていたりする時はないだろうか。
そんなとき、僕は
「なんで靴を落として気付かないんだよw」
とちょっと面白くなってしまう人間だ。
今日、妻の体調が芳しくなかったので、息子と二人で車で買い物に出かけた。
買う予定の物は小さいゴミ箱やらAmazonの返送用の封筒やら枕やらなので百均とニトリに行くことにした。
第一目的地である百均ではチャチャッと細々したものと息子のおやつを買い、おやつタイムを済ませ、パパッと次の目的地であるニトリに向かった。
僕はニトリは結構好きで、ついつい余計なものも買ってしまう。
今日も枕とゴム手袋を買うだけの予定だったのに、ふらふらしているうちにいろいろなものが目に留まり、結局息子のおもちゃ入れとファイルケースも買ってしまった。
息子と買ったものを両手に抱えほくほく顔で車に戻り、息子をチャイルドシートに載せて、さあ帰ろう!というタイミングで恐ろしいことに気付いた。
「靴が片方ない…!!!」
かなり焦ったが、こういう時は落ち着くことが肝心だ。
落ち着いて車内や車の周りを見てみる。
が、ない。
誰かが落とした靴を見たときは笑えるが、この時は一切笑えなかった。
それもそのはず。
その靴は妻が最近買ってきてくれたばかりのおニューの靴なのだ。
妻がその靴を買ってきたとき、ニコニコで「これかわいいでしょー!いいの見つけた!」と言っていたのを思い出して、冷や汗が出た。
「これはまずい…」
急いで息子を抱え、ニトリ店内に戻った。
子供用カートになんて見向きもせず、自分が通ったであろう経路を探しまくった。
ただ、見つからない。
10分くらい探して、自力での捜索はあきらめ、店員さんに聞くことにした。
一生懸命働いている店員さんの手を煩わせるのはあまり好きじゃないので、普段はあまり店員さんに話しかけないのだが、今回は緊急事態だ。
「すみません。子供用の小さい黒い靴、落ちてませんでした?」
と、普段なら絶対話しかけないであろう忙しそうな店員さんに話しかけた。
その店員さんは笑顔で「少々お待ちください。」と言ってくれた。
その店員さんがいろいろインカムでやり取りしてくれているのを横目に、数分待っていたところでその店員さんが、
「すいません。サービスセンターには落ちてないみたいで…」
といった。
愕然とした。
僕の完全敗北だ。
その言葉を聞いて、しょぼくれた顔で車に戻って、帰路についた。
帰り道、僕は妻にどう償うか、その方法を考えるので精いっぱいだった。
家に到着し、妻に買った商品のプレゼンを終え、ついに報告するときが来た。
僕が精一杯考えた最高の提案の「なんでも好きな靴ポチって良い」という案はあっけなく拒否され、
「西松屋で買うからいいよ!」
と笑って言ってくれた。
妻が優しくてよかった、と心底思ったのと同時に、
これからは靴が落ちていても絶対笑うまい。と心に決めたのだった。
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