骨粗鬆症治療薬 注射編
骨粗鬆症治療のお薬には、飲み薬と注射とがあります。
飲み薬については、「骨粗鬆症治療薬 内服編」で解説しているので、そちらを読んで下さい。
今回は、骨粗鬆症治療薬の中の注射について解説していきます。
まずは、骨粗鬆症についてのメカニズムをおさらいしていきます。
骨は、一度作られたら終わりではなく、「古くなった骨が溶かされる過程」と「溶かされた所に新しい骨が作られる過程」を絶えず繰り返しています。
この骨の代謝回転を骨のリモデリングと言います。
骨が溶かされる過程を骨吸収と呼び、この過程を破骨細胞が行います。
骨が作られる過程を骨形成と呼び、この過程を骨芽細胞が行います。
骨粗鬆症では、この骨の代謝回転のバランスに異常が起きている状態です。
この骨吸収と骨形成に作用するのが骨粗鬆症治療薬になります。
骨吸収に作用する注射薬
ビスホスホネート製剤
抗ランクル抗体
ビスホスホネート製剤には、内服薬もありますが、内服は自分で消化吸収を行う必要がありますが、注射は直接、血液内に薬を入れるので、お薬の成分を十分に骨に届けることが可能となります。
ビスホスホネート製剤の作用機序
お薬が身体に入ると、お薬が血液に乗って骨の表面に吸着します。
破骨細胞が骨吸収を行う際に、お薬が破骨細胞に取り込まれます。
そして、破骨細胞のアポトーシス(細胞死)が起こります。
簡単にいうとこんな感じです。
ビスホスホネート製剤の注射には
静脈注射
点滴
静脈注射は、ボンビバ静注というものがあります。
月(28日)に1回注射する薬剤です。
点滴は
ボナロン点滴(月(28日)に1回点滴する薬剤)
リクラスト点滴静注(1年に1回点滴する薬剤)
があります。
月に1回の注射薬も年に1回の注射薬も作用機序は同じです。
違いは骨表面との親和性によるものです。
要は、骨表面に長くくっついていられるかの違いです。
抗ランクル抗体とは、半年に1回の皮下注射の薬剤です。
抗ランクル抗体の作用機序
骨吸収を行う破骨細胞が活性化(頑張って働く)するためには、特異的(相性の合う)なたんぱく質と結合する必要があります。
そのたんぱく質が、RANKL(RANKリガンド)というもので、サイトカインと呼ばれます。
抗ランクル抗体は、破骨細胞にRANKLが結合しないように邪魔してやろうというお薬です。
プラリア皮下注というものになります。
ワクチンと似たような感じとイメージしてもらうとわかりやすいかなと思います。
骨形成に作用する注射薬
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?