USPTO GUIなど電子画像の意匠特許出願審査に関するMPEP補足の公示(2023年11月17日施行、2024年1月29日修正)
アメリカ特許商標庁 (USPTO) は、2023年11月16日付、GUIやアイコンを含むコンピュータ生成の電子画像にかかる意匠が特許法でいう法定要件(35USC171)を満たすかどうかの特許審査便覧(MPEP)の補足ガイドラインを公示し、11月17日に施行した。この補足は、現在の USPTOでの審査実務慣行を反映しており、法規則を改正するものではないが、出願実務ではよくある問題点を明確にしているため、有意義なガイドラインとなっている。
MPEPで対象となる部分は:1500章意匠特許1504.01(a) Computer-Generated Icons(意匠特許のコンピュータ生成のアイコン)のI節である。
I.GUIDELINES FOR EXAMINATION OF DESIGN PATENT APPLICATIONS FOR COMPUTER-GENERATED ICONS
アメリカの意匠特許でのアイコンやGUIなどの保護は、日本の意匠出願のように物品から分離したり、単なる表面の模様のデザインと単独にしたりすることは認められていない「a design is inseparable from the article to which it is applied and cannot exist alone merely as a scheme of surface ornamentation」とされている。つまり、GUIやアイコンなどには、製造物品(Article of Manufacture、物品性)の要件が適用されることから、このI節ではこの要件と願書の記載内容に対する審査方針が規定されている。
今回の補足は、Ex parte Strijland事件(コンピュータ生成のアイコン自体は表面の装飾にすぎないとの判断)を受けて設けられたI節に対するもので、出願したアイコンの意匠は特許を受けることのできる意匠であり、アイコンが適用された対象物である表示画面などから分離せず、単独で存在せずに操作において不可欠(integral)で機能する(active)画像データであることを製造物品としての認可条件としている。補足では、コンピュータプログラムにより表示画面に現れる意匠設計であるアイコンやGUIなどは「操作において不可欠で機能する画像データである」ことから意匠特許の付与対象であることを明確していく方針であり、その条件としては、願書に適切に装置における電子画像が表現され(presented)、権利請求(claimed)されていることおよび図面に適切な両者の関係が破線なりで表現されているを条件とするとしている。したがって、今回の補足では、意匠名称(Title)、説明(Description)とクレーム(Claim)の記載、および図面(Drawings)がそうした要件を満足するものとなるように、審査基準を明示することにあり、具体的に5つ例示で解説、補正案を示唆する内容となっている。なお、例示の2,4,5が2024年1月29日に訂正された。
USPTO:コンピュータ生成電子画像に係る意匠特許出願の審査に関する補足ガイドライン
2023年11月17日施行 [FR Doc. 2023–25473 Filed 11–16–23; 8:45 am]
https://www.federalregister.gov/documents/2023/11/17/2023-25473/supplemental-guidance-for-examination-of-design-patent-applications-related-to-computer-generated
訂正は、https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2024-01-29/pdf/2024-01717.pdf
コンピュータのアイコンや GUI ではないコンピュータで生成された電子画像で、単なる表示(つまり、表示装置(訳注:原文はDisplay Panel)に表示される、コンピュータの動作に不可欠で機能する部品ではない) は、特許法の登録要件35USC171 に基づく法定主題を構成ない。 しかし、USPTOは、表示装置、或いはその一部、に表示されるコンピュータアイコンやGUI、を単なる表示装置上の画像表示以上のものと判断している、なぜなら、コンピュータアイコンやGUIは、コンピュータアイコンやGUIを表示するコンピュータのプログラム(つまり、その中に組込まれ、および/または適用されている)の操作に不可欠で機能する部品(an integral and active component)であるからである。したがって、適切に提出およびクレームされている場合(例えば、図面が製造物品(an article of manufacture)の具体的な意匠設計を完全に開示している場合)、コンピュータアイコンやGUIは登録要件35USC171に適合する。
庁職員は、コンピュータ生成の電子画像を含む意匠クレームが製造物品の要件に適合しているかどうかを評価するとき、全体の開示を検討しなければならない。より具体的には、USPTO職員は開示内容を読み、その意匠設計として何がクレームされているか、またその意匠設計が製造物品に具現化されているかを判断しなければならない。そのため、USPTO職員は次のことを行なければならない:
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