中国 2021年度中国特許無効宣言分析
中国の知財専門誌の「中国知識産権」(www.chinaipmagazine.com)のSNS版に2月10日に掲載された2021年度特許無効宣言事件の分析報告を当方の視点から整理し以下の通りご紹介する。国家知識産権局の審決データベースに公示された無効宣告審決を統計分析した結果である。
1.2021年特許無効宣言事件の特徴
・実用新案特許の事件が最も多く2,294件(43.8%)、次いで意匠特許、発明特許の順である。
・対象特許の存続年数は、2年目(1142件、21.8%)、3年目(915件、17.5%)が中心である。
・技術分野の上位は、医学、通信、電気であり、意匠は包装容器、ランプである。
・審理期間の中心は6~7か月(47%)である。
・審決結果すべて無効の事件は48.7%、発明特許31.6%、実用新案特許48.9%、意匠特許58.4%である。
・発明特許と実用新案特許ですべて無効とされた理由は主に進歩性であり、意匠特許では新規性と創作性である。
2.無効対象特許種別事件構成比
国家知識産権局専利復審と無効審理部は、2021年に復審無効データベースに特許無効宣告請求の審決5,240件を掲載している。この内、実用新案特許は2,294件(43.8%)、意匠特許は1,867件(35.6%)、発明特許は1,079件(20.6%)と、実用新案特許が最も多い結果である。
参考までに、2020年と2019年の件数は以下の通り:
2020年 発明特許1604 実案特許2987 意匠特許2553
2019年 発明特許1406 実案特許2234 意匠特許1687
3.無効審理結果
無効対象は発明特許1,079 件、実用新案特許 2,294 件、意匠特許 1 867 件で無効率はそれぞれ 31.6% 、 48.9% 、 58.4%を占め る。 意匠特許の 一部無効はないが 無効率 は比較的 高い と言える 。 発明特許の有効は 44.8% と適切な審査が行われているのか、比較的厳しい進歩性判断にも対応しているように思われる。
4.無効宣告審理期間
審理期間は国家知識産権局の無効請求受理日から無効審決発送日までの期間とした。審理
期間が最も短いのは2-3 か月で35 件あるが、7 か月27%、6 か月が20%と多く、概ね現在は、
無効取消審理期間を6~7 か月(47%)と言える。審査期間が15 か月以上と長い事件があるが、20 か月以上の理由は事件の一括処理、関連事件、請求項が多い事件、特許権譲渡事件、保全や行政訴訟のからむ事件、あるいは行政訴訟再審事件に関連する事件であることが理由となっている。
無効理由の分析などより詳しくは、以下のレポートをご覧ください。
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