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中国での数値限定に均等論を適用した発明特許侵害事件

発明推進協会の発明誌2025年1月号で「中国特許権侵害訴訟:数値限定に均等論を適用した事件」と題する投稿が掲載されましたので、ご紹介します。

本件は折り畳み自転車用ステム(ハンドルとフロントフォークをつなぐ部品)の留め具に係る発明の特許権者である深シン圳セン市富厚自転車部品有限公司は、当該特許権を侵害する自転車が上海永久自転車有限公司により販売されていることを発見し、広州知識産権法院に提訴した事件で、第一審は、発明特許の請求項が構成要件の一つとして数値範囲を特定しているところ、被訴侵害品の当該構成要素の数値がその数値範囲内に入らないことを理由に非侵害の判断を下した。これに不服の原告は、第二審の最高人民法院の
審理で出願書類を証拠として提出することにより当該特許権の発明のポイントは数値限定した構成要素ではないことを立証し、この主張を受け入れられるとともに、数値限定された構成要素に対する均等論の適用も認め、侵害と逆転判決を下されました。2023年度の最高人民法院知的財産権法廷裁判要旨に選出された事件の一つで、今後同種の事件においてリーディングの判決として参照されるため投稿したものです。発明誌は有料出版物のため、ご購入いただくか、以下のダウンロードをご利用ください。

【対象特許】
対象権利:発明特許登録ZL201310348393.0
登録日:2016年8月10日
発明の名称:伸縮ケーシングのロック装置
請求項1:伸縮式ケーシングのロック装置であって、上部ポートに壁の軸方向に沿ってガイド溝(12)が設けられたケーシング(7)と、ケーシング(7)内に挿入される挿入管(1)と、前記ケーシングの上部ポートの外周に設けられたバンドルリングクランプ(4)と、前記バンドルリングクランプの開口端に連結された偏心ロックハンドル(3)とを備え、前記挿入管(1)の外周壁には軸方向に沿って平面構造(8)が設けられている;前記バンドルリングクランプ(4)の内周壁には前記挿入管(1)の外周壁に設けられた平面構造(8)に相対するストッパーブロック(9)が設けられ、このストッパーブロックは、制限平面としてバンドルリングクランプの中心に向けられている;前記ストッパーブロック(9)の背面は円弧面を有し、前記ストッパーブロック(9)の背面は前記ケーシング(7)のガイド溝(12)に着座するガイド片(10)によってバンドルリングクランプ(4)の内周壁に連結され、前記ストッパーブロック(9)の背面の円弧面が前記ケーシング(7)の内周壁に固着される;前記ストッパーブロック(9)の制限平面の横幅(L)は、前記バンドルリングクランプ(4)の内径の0.5 ~ 0.8倍であることを特徴とする。

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