中国 改正特許法実施細則(2024年施行)の概要
2023年12月21日に公示され、2024年1月20日に施行される中国特許法実施細則の改正内容は、主に以下のようにまとめることができる。
1.電子出願対応 (第2、4、17条)
2.特許出願、特許権の失効からの回復 (第6条)
審判係属中での権利喪失を追加。なお、回復期間は、障害が取り除かれた日より2 か月以内、かつ期限満了日より2 年以内。
3.秘密保持審査(第9条)
国防或いは、重大な利益に関わる発明の場合、請求の提出日より2 か月以内に出願人に秘密保持審査通知を発行、(2 か月延長可)。請求の提出日より4 か月以内に秘密保持の審査完了(2 か月延長可)
4.出願に信義誠実の原則適用(新第11条)
5.代理人を経由せずに直接できる手続きの新設(新第18条)
(1) 優先権書類の副本の提出;
(2) 料金の納付;
(3) その他の事務。
6.部分意匠出願(第30,31条)
製品全体の視図を提出するとともに、破線と実線を組合せ或いはその他の方法で保護の必要な内容を指定し、簡単な説明に記載する。
7.意匠特許出願の国内優先権の明確化(第35条)
発明特許、実用新案特許出願の図面に基づく同一主題の意匠特許出願が可能、意匠の国内優先権主張の場合、基礎となる意匠特許出願が存続する。
8.優先権主張の回復、追加、訂正(第36、37、45、128条)
発明或いは実用新案特許出願で、正当な理由がある場合、期限満了日より2 か月以内に優先権の回復を請求できる。また、、優先権日より16 か月以内、或いは出願日より4 か月以内に、願書に優先権主張の追加或いは訂正を請求できる。
9.実用新案特許出願の進歩性審査(第50条)
実用新案特許出願の審査対象に特許法22条を追加し、職権範囲での進歩性審査を初級審査で行う。
10.審査延期手続きの明確化(56条)
特許法第35 条第2 項の規定に基づく審査に、種別に関係なく審査延期申請を可能とする。
11.特許権評価報告書(第62、63条)
請求できる対象者に被告を追加、出願人が出願時に請求した場合、登録公告日より2 か月以内に特許権評価報告を作成する。
12.特許期間補償(新第77-84条)
特許法第42 条第2、3 項に基づき特許出願での不合理な審査遅延、新薬登録審査に係る期間を請求を条件に20年に追加する。
不合理な審査遅延は、登録公告から3か月以内に請求、特許出願日から4 年を経過し、実体審査請求日から3 年が経過した日から特許権の登録公告日までの間の日数をいい、合理的な遅延日数と出願人による不合理な遅延日数を減じる。
新薬の場合は、対象特許は医薬品の数に関わらず特許権1件ベース、上場許可獲得から3 か月以内に請求、特許出願日より当該新薬が中国で上場許可獲得日までの日数から5 年を減じる。
13.特許開放許諾(新第85-88条)
LORに対応する規定であり、通常実施権を低いレートで契約に基づき提供し、特許年金の減額を受けるもので、以下の条件がある。
(1)特許権が独占或いは排他的許諾の有効期間内である場合;
(2)本細則第103 条、第104 条に規定される中止の情況に属する場合;
(3)規定に従い年金を納めていない場合;
(4)特許権が質権設定され、質権者の許可が得られていない場合;
(5)その他の特許権の有効な実施を妨げている場合。
14.職務発明(第92、93条)
インセンティブによる支給方法の導入、報奨金を発明特許4000元、実案、意匠特許で1500元に引上げている。さらに、報酬算定の基礎に「科学技術成果転化促進法」の規定を指定した。
15.特許の行政保護(第95、96条)
特許紛争の処理と調停を対応できる地方の行政部門を拡大、国家知識産権局が対応する第70 条でいう全国に重大な影響を及ぼす特許権侵害紛争を明確化した。
16.行政罰の新設(第100条)
特許出願に信義誠実の原則違反、虚偽の資料の提供、事実隠蔽などの手段により、開放許諾手続きを行った場合、10万元の罰金。
17.ハーグ国際意匠出願関係(新第136-144条)
優先権書類(3か月)、新規性喪失の例外(2か月)、分割出願(2か月)の手続き期限が公開日基準で明確化された。
詳細は、以下の条文でご確認ください。
ここから先は
¥ 500
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?