中国 国務院は「十四五国家知識産権保護と運用計画」を発布(10月28日)
国務院は、10月9日付作成した「十四五国家知識産権保護と運用計画(“十四五”国家知识产权保护和运用规划)」(以下、計画という)を10月28日付公布し、地方政府、国務院各部門及び各直属機関に対して実行を指示した。十四五とは2021年から始まる政府の第14次5か年計画であり、つまり計画は今後5年間の知的財産権業務展開の指導思想、基本原則、主要目標、重点任務及び保障措置を明確に示してます。
計画は、「中華人民共和国国民経済と社会発展第14次か年計画と2035年長期目標要綱」と「知的財産強国建設要綱(2021~2035年)」に基づき制定されており、特に、知的財産権保護の全面的強化を主軸とし、知的財産権強国の建設を目指し、知的財産権の創造、運用、保護、管理、サービスレベルの全面的向上、国際協力推進への取組み、現代的経済メカニズムの建設を促進するとともにイノベーション活力の刺激、経済社会の質の高い発展を力強く支援する内容となっています。
2025年までに知的財産権強国建設段階の目標と任務を期限通りに完成し、知的財産権保護が新たな段階に進み、知的財産権の運用が新たな成果を収め、知的財産権サービスが新たな水準に達し、知的財産権国際協力が新たな突破をもたらように主要な目標を掲げていますが、いつも注目されるのは目標達成のための指標で、以下のようになっています。
以下は、ご参考まで、計画の目次概要を掲載します。
1.計画背景
「第13次5か年」では一連の改革、政策により、国家知識産権局の改組設立、法律法規体系の充実、司法改革の推進し、知的財産権分野の治理能力と治理水準が向上した。経済はすでに高速成長段階から高品質発展段階に移行したが、イノベーションは発展を牽引する第一の動力であり、今後も保護と発展、知的財産権保護の重要性は変わらない。現在、次のような課題が叫ばれている:核心技術分野の高品質知的財産権の創造不足、行政法執行と司法の連携が不十分、侵害容易性と多発に対する権利保護対策の難点の持続、知的財産権の移転・転化の効果の向上、知的財産権サービスの拡充、海外知的財産権紛争対応能力不足など。従って、知的財産権制度が経済社会の高品質の発展促進に対する役割を発揮する必要がさらにある。
2.全体的要求
(1)思想指導
新たな発展段階に立脚し、完全で、正確で、新発展の理念を全面的に貫き、新発展の枠組みを構築し、高品質の発展を推進することをテーマに、知的財産権の保護を全面的に強化することを主軸とし、知的財産権強国の建設を目指し、革新を根本的な動力とし、知的財産権保護活動体制の改革を深化させ、知的財産権の創造、運用、保護、管理、サービス水準を全面的に向上させる。知的財産権の国際協力をさらに推進し、現代的経済メカニズムの建設を促進し、全社会のイノベーションの活力を刺激し、経済・社会の質の高い発展を力強く支援する。
(2)基本原則
品質優先、保護強化、開放的協力、共同推進システムの統治を堅持。
(3)主要目標
知的財産権保護の新段階、運用の新たな効果、知的財産権サービスの新水準、国際協力の新たな突破。
3.知的財産権保護の全面的強化、全社会のイノベーション活力の刺激
(4)知的財産権法律政策メカニズムの改善
法律法規の整備、営業秘密保護プロジェクト(コラム1)、保護政策の改善、デジタル知的財産権保護プロジェクト(コラム2)国家安全保障のための政策の充実。
(5)知的財産権の司法保護強化
司法保護メカニズムを改善、司法保護能力の向上。
(6)知的財産権の行政保護強化
行政保護機構の整備、知的財産権保護機構構築プロジェクト(コラム3)、行政保護の効果の向上、植物新品種保護メカニズム構築プロジェクト(コラム4)、地理的表示保護プロジェクト(コラム5)。
(7)知的財産権の共同保護強化
紛争の多元的解決メカニズムの改善、信義誠実メカニズムの構築強化。
(8)知的財産権の来源の保護強化
高品質の知識産権の創造の促進、審査の質と審査効率の向上、トップレベルの特許商標審査機構の構築プロジェクト(コラム6)、登録出願の品質監督管理の強化。
4.知的財産権の移転効果の向上による実体経済でのイノベーション発展支援
(9)知的財産権移転転換体制の整備
国有知的財産権分配の改革推進、運営サービスメカニズムの最適化、知的財産権金融の積極的かつ安定的発展、産業知的財産権の共同運用の促進、特許ナビゲーションプロジェクト(コラム7)。
(10)知的財産権の移転転化効果の向上
イノベーション主体の知的財産権管理効果の向上、中小企業知的財産権戦略プロジェクト(コラム8)、知的財産権の産業イノベーション転換の推進、商標ブランド構築プロジェクト(コラム9)、著作権イノベーション発展プロジェクト(コラム10)地域経済の協調発展の支援、知的財産権地方活性化プロジェクト(コラム11)。
5.イノベーション成果の恩恵利用促進に利便性の高い知的財産権サービスメカニズムの構築、
(11)知的財産権公共サービス能力の向上
新形態基礎施設の建設加速、公共サービスインテリジェント化(コラム12)、公共サービスメカニズムの整備、公共サービス提供レベルの向上。
(12)知的財産権サービス業の健全な発展を促進
サービス事業者の育成発展、地域産業との融合発展の促進、監督・管理の強化。
6.知的財産権の国際協力の推進とサービス開放型経済発展
(13)知的財産権の全世界的統治に積極参画
国際的ルールのメカニズム整備に積極参加、経済と貿易に関する多国間知的財産権交渉の積極的推進。
(14)知的財産権の国際協力水準の向上
国際的協力関係国との連携強化、一帯一路での知的財産権協力プロジェクト(コラム13)、国際協力環境の最適化。
(15)知的財産権保護の国際協力の強化
海外での知的財産権取得促進、海外での知的財産権権利維持の支援強化、外国貿易知的財産権保護プロジェクト(コラム14)。
7.知的財産権人材と文化建設の推進と事業発展の基盤強化
(16)知的財産権強化のための人材チームの構築
知的財産権の人材開発環境の最適化、人材能力の向上。
(17)知的財産権文化構築の強化
知的財産権の宣伝活動パターンの構築、教育での普及(コラム15)、文化理念の育成。
8.実施保障
(18)組織指導の強化
(19)探索とイノベーションの奨励
(20)投入力強化
(21)業務実施の徹底
参照サイト:http://www.gov.cn/zhengce/content/2021-10/28/content_5647274.htm
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