愛してやまないもの

時間が過ぎていく。こうして今日も夜が来て、永遠に来ない今日に笑顔で手を振る人もいれば、目を瞑る人もいる。終わりたくない離れたくないと涙を流す人も、飛ぶように勇気を出す人も、見えないだけで、きっといる。
朝日が私たちを照らす頃、猫たちはこたつで眠る、老人は外へ散歩に行く、お仕事が終わって家に着く人もいる、そんな世界の中で私は、夢の中から目を覚ます。

同じような言葉と同じような考え方で、私の日々に同じような色がついていく。つまらないように聞こえるけれど、これが自分を大切にするきっかけになると私は信じている。

大事なものを手放し瞬きをしたその時、体内に潜む悲しみの液体が瞳の奥からボロボロと溢れてきて、まるで柄杓の水が溢れるように私の感情は外へいく。同じものを同じだけ救うことはできないから、歩き出すしかないことを知る。
寂しいという感情に虚しさや悲しみを感じるのはもう充分というところに、何度くれば繰り返さなくなるのか。
感情というものは生きる上で必要不可欠と何かの本で読んだ。けれど、それを経験した時は息苦しい暗闇に自分がいることを明確に察知する。それを繰り返して私たちは生きている。だからえらい。すごい。今日目を覚ましたことがもう既に素晴らしいということを感じて息をしている。

去年の夏、一昨年の夏、気持ちが悪くなるくらいに鮮明だ。悲しいくらいに忘れられない思い出と化した出来事、彼らは私のことを覚えているのだろうか。
数年前のことを全ては思い出せないが、青く、綺麗だった夏の日のこと、電車を間違えて行き先を変えそうになったこと、二人で見た夕陽、横顔、死ぬまで忘れないと思う。

今の私は、来年の私を悲しませてはいないだろうか、来年の私を幸せにする時間を送れているのだろうか。
 
私に優しくない人を、私は無視する
これだけで生きていけたらいい
君に優しくない人を、君は無視する
これが大正解だと思うのに
世界って虫みたいに小さく感じる時もあれば、宇宙みたいに大きく感じる時もあるけど、いつだってその中心は君であり、私であり、他人である。
それだけで春がきたらいいのに

そんな単純な世界じゃないこと、君はもう知ってしまっているのでしょうか

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