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「面白いフォルム・面白くないフォルム」の話

フォルムの話をしてみたい。
物理的な、形のことである。
どんな物質についてでも語れると思うんだけれど、今日考えてみたいのは人間のフォルムである。

キングコングというお笑いコンビの結成時の話を聞いた(Youtubeで)。
当時別々のコンビを組んでいたという2人だったが、ボケの梶原さんがステージ上で動き、喋っている姿を見て今の相方である西野さんが「この人のフォルムは面白い。間違いない。組みたい!」と思ったというが大まかな話の筋である。
なるほど、確かに今でも動画内で動き回る梶原さんのフォルム、動き方、声、顔の造形、そういったもの全てが確かに「とても面白い」のである。
全く同じことを別人間がやっても笑えないものを、彼がやると面白いのだ。

僕が言いたいのはシンプルに「脚が長いからスタイルがいい」とか、そういう何か型にはめたあまり語るべきではない美的感覚のことではなく、「なんかわからんけど動きがコミカル」とか「なんかわからんけど話が軽く、ライトに聞こえる」とか逆に「理由はわからないけど、話が深刻に聞こえてしまう」とか「なーんかよくわかんないけど謎の説得力を感じる」とか、そういう話。
「声」というのも一つ大きな要素なんだけれど、今回はあえてそれはカットして、シンプルに造形、そして動きだけについて考えてみたい。

「無音で見ていても面白い人」って存在する。
「無音で見ていても知的な人」って存在する。
「無音で見ていても安心感を覚える人」もいれば「無音で見ていても不安になる人」もいる。

それぞれにきっと細かい理由はあるはずだ。
例えば梶原さんは無音で見ていも面白い人なわけだけれど、例えば手足の長さと体の大きさの比、が多分絶妙なんだろう。
鼻の高さと顎の出具合と口の幅なんかも絶妙なんだろう。
鼻の穴の大きさと口の大きさも絶妙なんだろう。
これらは全て「絶妙」としか言い表せないもので、決してこれが「正解」とか「『何:何』がお笑い顔の黄金比」とか、そういうことではないし、長ければいいとか小さければいいってことではない。
ただ、面白い人は「絶妙にいいバランス」で面白い造形をしていることが多い、ということである。

動きに関しても同様で、例えば梶原さんは「静止と動作の緩急」が絶妙だし、そもそもの動きのスピードとキレも絶妙。
ぐぐっとしゃがんだ時の腰の屈み具合も絶妙であれば、ガバッと腕を広げた時の広げ具合も絶妙に「面白い」のだ。

と、ここまで書いてきているがきっと「こいつはずっと何を言ってるんだ?」という人がとても多いだろう。
けどまあ、とりあえず続けることにしよう。

例えば反対にツッコミの西野さんは、決して「コミカルな造形」はしていない。
だから彼が梶原さんと全く同じことを喋って全く同じ動きをしても、同じコミカルな空気は当然出現しない。
だけれども、例えば梶原さんのボケに対するツッコミをする時の(声はあえて今回は外すけど…!)顔の向きとか、鼻の穴の大きさとか目線、手の位置なんかは、絶妙〜〜〜に面白いわけである。

例えばバンド。
SuchmosのYONCEさんの造形は間違いなくバンドのフロントマンの造形だし、Bruno Marsの造形もステージの真ん中で輝く造形なんだろうなと思う。
それは単純な腕の長さとか脚の長さとかそういうことではなく、それぞれ「絶妙なバランス」を持っているということだ。
それは装飾品やメガネ、周りの器具なんかも含めて。
例えばあのシルエットでYONCEさんがボケても、梶原さんのようなコミカルさには欠ける。
けれど間違いなくステージ上で熱く語る言葉がドカンと届き、湘南の海風とジャズ/HIP-HOPのエッセンスをふんだんに取り込んだ音楽を纏ってスタージに立つにはピッタリの造形をしていると思うのだ。
それはきっと髪型、眉の上がり具合、鼻の高さ、歩き方、とか、そういう全てのバランスがそうさせているのだと思う。

Brunoはステージ上でパーティーチューンを少し戯けながら歌い、踊り、時にやりすぎなド派手演出の中で「マジかよ」と観客の度肝を抜きながらも、なーーーんかいろんなことが「許される」雰囲気を纏って会場が盛り上がっていく、それに最適なフォルムをしているように思うのだ。

もしかしたらフォルムありきで、そのフォルムでやるに最も効果的で最適なパフォーマンスに彼らが辿り着いているだけなのかもしれない。
あるいはその外側のフォルムと内側の精神的な理想像が齟齬なく噛み合っている人だけが本当のスターダムに上がっているのかもしれない。
はたまた「そういう訓練」と繰り返しているうちにどんどん「そういうフォルム」になっていくだけなのかもしれない。
真相はわからないけれど。

僕も、自分にとって最適なフォルムになっていけるように、とりあえずはそれを繰り返していけばどんどんそうなっていくのではという前提で努力をしてみたいと思う。

というわけで、先日元プロボディビルダーの後輩に筋トレ指導をしてもらった時にトレーニング前に真っ先に質問された「先輩はどういう体になりたいんですか?理想の筋肉ってどんなのですか?」という難題への回答を考えていた文章でした。
お付き合いくださりありがとう。

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