ベランダギター日記19日目

5月25日(月)
今日も朝から兄の営むとりたま屋へ。(詳しくは10日目を見てね)
先週金曜日に僕の小中高一緒の親友、石島から(向こうがどう思てるか知らんけど)
「あそこ兄ちゃんの店やってんなー!おれの会社のめちゃめちゃ近くやわ!」とLINEがきた。
どうやらこのnoteを読んでか僕が働いてる事を知ってくれ覗いてくれたらしい。
「今日はおらへんの?」
「今日休みやわ!」
「ほんまか!チラッと見たけどめちゃくちゃ流行ってんなー!」
「月曜おるわ!12時から12時半くらいまでピークでその時間だけドカッと来るわー!」
「なるほど!ほな月曜また行くわー!」
というやりとりを済ませ本日。

まぁ2日跨いでそんなことも忘れ働いていると、ピークタイム突入。
緊急事態宣言解除の影響かいつもよりもすーごいピーク。
店内15席ほどがサラリーマンに次ぐサラリーマン。お客さんが入れ代わり立ち代わり、外で待つお客さんまで現れて、おまけにテイクアウトにウーバイーツ。これがほんとのリーマンショック。本来の意味の。まじで。

それをホールの僕が1人で捌く捌く。
「いらっしゃいませ~!」
「店内でお召し上がりですか?」
「3名様、ただいまお席空いていませんのでこちらでお待ちいただけますか?」
「はいテイクアウトの鶏テキ丼ですー!」
「いらっしゃ…」
石島だ。
石島が目の前に立っている。

なぜだ!?なぜ今来た!?この時間はピークタイムだと言ったよな!?

おまえ「なるほど」的なこと言ってたよな。

久しぶりやったら普通ちょっとしゃべりたいよな!?この状態無理やん!?なに考えてんの!?


時間見てみ?12時15分や。がっっつりや。がっとぅりや。

てかお前そういやさっきから外立ってたな!忙しすぎて人影だけ確認してたけどお前気つこてそこ立っ
てたんやないか!

お前ほんで注文もテイクアウトにしてるやないか!気つこて!俺の兄ちゃんなんか18年ぶりとかやろ!ちょっと挨拶くらいしたいやろ!

見てみあれ!?カウンターの向こうで鶏テキ揚げまくってとてもそんな空気じゃないわ!俺からもよーゆわんわ!

はい!鶏テキ丼どーーぞ!!一応せっかく来てくれたしちょっとだけゆうてみたるわ!

「兄ちゃーん!石島やわー!」

「おーう石島ー!!」

「お久しぶりです!頑張ってくださーい!」

なんっやそれ!どう見てもめちゃめちゃ頑張ってる人になんやそれ!わかるけど!
そんくらいしかゆうことないけど!こんな時に来るからそんなことなんねん。

HENNAYATSU!!!!

ベランダギター19日目

18時ベランダ入り
大きな声を出す。強く胸に思いベランダへ。
昨日の最高の波に乗りたい。

一曲目 斉藤和義 歩いて帰ろう
好き。めっちゃ好き。もう帰っている人たちに向けて歌ってるから意味わからんけど。
大きい声を出す。「毎日限界値底上げ作業」順調に進行中。
もうどうでもよくなってきた!やぶれかぶれで進むしかない!

二曲目 アン・ルイス グッド・バイ・マイ・ラブ
これも好き。映画 岸和田少年愚連隊で流れ出す時何回も泣いた。
昨日の子供は出てこないかなー?などと下心を抱えつつ弾いていると、出てきた。


正面のマンション7階のオバハン(愛着を込めて)(14日目参照)だ。もはや最多出演ではないか?
1か月終わったらいきなりギャラ渡しにいったろかな!
オバハン(愛着を込めて)は、今日は洗濯物を入れに来たわけではなさそうだ。
ただ策に両肘を乗せて外を見ている…というかこっちを見ている!
無表情だ。こわい。みんなのハッピーのためにやっているのだから
「毎日あんたうるさいわー!」などと言われたら一発アウトだ。
得意の会釈をしようにもこわい。リズムにのっているフリをして軽くペコリ。
リズムに乗っているフリをしすぎて気付かれていないようだ。ずっと見てる。
なんやねん!と思う。いやええねんけど!聞き入ってんの!?キレてんの!?笑
こわいんやけど!!笑


とにかく目を合わさないようにして声は張り上げる。一生懸命さだけでも響いてくれ!
「あなたの~な~まえ~♪」
歌い終わる。見る。
おらへん。おらへんのんかい~~~~~~~~
おらへんのんかい!こわかったやんけ!どこで気済んだんや!こわかったーー!!
だがとにかく確実に僕の存在は認識している。あとはこちらの開き具合だ。

そして3曲目 ラヴ・イズ・オーヴァー
を弾きだしたそのとき、また違うオバハン(愛してやまない)が出てきた!
6階のオバハン(愛してやまない)だ!
初見オバハン(愛してやまない)だ!
しかももうすでにこっちを見ている!
専門用語で言う所の「ロックオンスタート」だ!ほんまにあるんや!「ロックオンスタート」!
バチっ!と目が合っている!
僕は長年のベランダギターの経験からその瞬間を逃さずに会釈からの笑顔、
専門用語で言う所の「ペッコリニッコリ」を畳みかけた!

(ペッコリ、ニッコリ)

(ペッコリ、ニッコリ)

返ってきた!!初めてだ!!
会釈かどうか微妙なのが返ってきたことはあったが、明確なペッコリ、そこからのニッコリ、が返ってきたのは初めてだ!
しかも笑いかけてくれたということは僕のこの行動を許容してくれたということだ。
たくさんの年季が入ったオバちゃんの顔のしわがとても優しく感じられた。
その後大きく弾くもオバちゃんは、洗濯物を入れて戻っていった。

嬉しい。これは嬉しい。
19日目にして少しずつ、本当に少しずつだけど、僕の認識が広まっていっている。
残り11日。間に合うかもしれない。
本当に先がわからないがこの波を逃さず明日も楽しんでやろう。


本日の反応 オバちゃんからの「ペッコリニッコリ」

斉藤和義 歩いて帰ろう
アン・ルイス グッド・バイ・マイ・ラブ
欧陽菲菲 ラヴ・イズ・オーヴァー

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