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資格のキャリカレ|食系4講座 監修 平山友美先生 インタビュー『資格を生かして「食」のプロデュース業に携わるまで』前編

キャリカレの「食育総合®W資格取得講座」「上級食育アドバイザー資格取得講座」「ベジタブル&フルーツアドバイザー資格取得講座」「ベジタブル&フルーツまるごと栄養アドバイザー講座」の監修講師として携わっていただいている平山友美先生に、これまでどのような経歴を経て現在の事業を行うに至ったのかを伺ってきました。

資格を取得して知識や技術を身につけてきた時期、サロンの運営、そして企業との商品開発から販売戦略のトータルプロデュースを行うまで――。先生の歩みにはさまざまな人生の節目があり、そこをきっかけとしてステップアップする道のりをたどられています。そういった経験や気づきの中に、資格を生かしてビジネスにつなげられるヒントが込められていました。

今回の記事で参考にしてもらいこと! 役立つ情報は!?

目次

  1. 資格で知識を身につけ、実績ゼロからサロンを始める

  2. 順調に運営していたサロン。そこで感じていた苦悩とは!?

  3. 企業と仕事がしたい……そのためには資格が後押しになる!

平山友美/ひらやま・ともみ(フードプロデューサー)
慶應義塾大学卒業後、エコール辻・東京のフランス料理、イタリア料理専攻科卒業。同校で日本料理課程修了。タイやベトナム、インドなど様々なジャンルの料理を現地のシェフに習い、製菓、製パン、テーブルコーディネートなど、各々の分野で師範免状を取得。
料理教室を主宰し、料理家としての経験を積んだ後、法人化。様々なフードビジネスの現場を経験し、2012年「株式会社平山友美フードトータルプランニング」、2014年「一般社団法人ローカリズム推進楽会」を設立した。
現在は「食」を通じた「地域の企業と人との絆づくり」をコンセプトに、食の生産から流通・消費までをトータルプロデュース。地域食材を生かしたご当地メニュー、商品開発などのアドバイザーを務める。また食材や商品の特徴を俯瞰的に捉え、特徴を的確に表現する文筆業も携わっている。
そのほかYoutube「平山友美さんのお取り寄せご当地グルメ郷土料理」で定期的に生配信しており、地域産品を中心に紹介している。

資格で知識を身につけ、実績ゼロからサロンを始める

ー平山先生は大学生のころ、留学生や外国人のビジネスマンが周囲に多くいる環境にあったことから、日本語教師の仕事に興味を持ちます。
そこで、日常の会話の中で食卓にまつわる日本語や日本文化を教えることで、言葉の壁を越えた交流ができるのでは、と考えながら大学を卒業し、アメリカへホームステイに行きました。

平山先生:ホームステイ先でのパーティなどには、食べ物がある中でみんなが好きなことを語りながら楽しんでいるっていうこととかで、コミュニティのあり方が日本とは全然違うなっていうところにすごくインパクトがあったんです。

日本の文化を教えようと思っていた私がカルチャーショックを感じて、逆に刺激を受けたんですね。なので、私は日本で、日本の人に食で集まってもらって良いコミュニティを作る仕事ってできないかな、って思って帰ってきたんです。

ーただ、当時はそんな仕事をしている人がいるのか分からず、どんな職業になるのかも分かりません。そこで思いついたのは、テーブルコーディネートで食卓の演出をして、多くの人を集める。そして自分が料理を作れるようになることで、理想のコミュニティが実現できるのでは、と考えます。そうして、平山先生は調理師学校に行き、さらにはテーブルコーディネートを習いに行くなど、資格や知識を身につけようとアクションを起こしました。

平山先生:はっきりとは覚えていないんですけど、資格はたくさん取りました(笑)。それで一通り食卓を演出するとか料理をするとか、知識はある程度つけて地元の広島に戻って教室とかやろうかな、と思っていました。

当時自宅開放型の教室が流行り始めて、雑誌で「サロネーゼ」っていう言葉が生み出されていたころに、自宅で「サロン」を始めたんです。教室とはコンセプトが違う、「気軽なおもてなしサロン」っていう“サロン”と名前をつけて。

料理教室っていうと家庭科実習室みたいなところでみんなで分担して料理するっていうのが普通だったときに、自宅のテーブルをコーディネートして、テーマにしたがって構成した料理を出して振る舞う、というようなスタイルでした。

まだそんなスタイルが珍しいってこともあって、結構雑誌で取材に来てもらいました。ウケる人にはウケたっていう感じでしたね。そこからスタートしたんです。

順調に運営していたサロン。そこで感じていた苦悩とは!?

最初にサロンとして事業を始めた平山先生。そのサロンでは、すでにマーケティング戦略の視点を取り入れられたものとなっていました。

平山先生:テーブルコーディネートを習っていたときの先生が、「習い事としてのテーブルコーディネートではなくて、ちゃんとビジネスでつながる視点を持ちましょう」と教えてくれる先生だったんです。

テーブルコーディネートは、ただ豊かな生活をしている人が優雅にお茶をするためのものではなくて、例えば食器メーカーさんとタイアップして食器が魅力的にみえて販売が促進できるようなコーディネートをする、であるとか、調味料を食卓に乗せて「料理がおいしくなるからこれを使ってみよう」とか……購買の動機になるような演出も心がけましょう、っていうことも教えてくれる人だったんですね。

またテーブルの演出には必ずテーマがあって、それにしたがってすべてのものが構成される、っていうことを教えくれました。料理もそうだし、食器もそう。テーマがあってそれに合うお客さんを想定しているので、この食器は高価すぎるとか、逆にカジュアルすぎる、とかがあります。

例えば100均でコーディネートしました、とか、かわいいコーディネートにしました、とかをテーマにしていることがありますが、テーマというのはそういったことが先ではなくて、誰をもてなすかをターゲットにしているのか、その人が喜ぶためのコーディネートを考える、っていうことが先なんです。

これはまさに今、商品開発に生かされているんです。

「来られるゲストが主役」っていう考え方は、商品を作るときもそう、売り場を作るときもそうで、お客さんがどういう人であるのか、っていうことを一番先に考える。それが、結果的に「マーケティングの視点を持っているね」と言われたんです。

「なるほど、マーケティングって言うんだ」って、後付けで知ることになるんですけどね(笑)。

そうやって習い事でいろいろ習ったものと思っていたけど、実は知らないことばかりだったから、「なるほど!」と気づきになり、吸収していきました。教わったことすべてをちゃんと忠実に実行したことが、今の仕事につながっていることって多いんです。

そうやってサロンを続けて生徒さんは増えていき、理想のコミュニティを実現させていっていました。ですが、同時に運営する上での限界も感じていました。

平山先生:サロンでは喜んでもらえていました。ですが、メニューは自分なりにテーマに合うようにアレンジして毎回レシピを変えて作っていたんですが、ネタが尽きて限界がきちゃうっていうか(苦笑)。

あと食器のテーブルコーディネートも、“毎回新たに買うんですか”っていう話になる。テーマに合わせて食器を揃えて、お花もアレンジしたりすると、結構お金がかかります。それらはずっと使い回せるわけじゃないから、それを毎月毎月変えなければいけません。

さらには、必ず手作りのものを入れるっていう教えがあったので、ランチョンマットを作ってみたりとかオブジェを製作してみたりとかしていたんですけど、毎月製作が入り……。

「料理教室ってなんて儲からないんだろう」って思いましたよね(笑)。

ライブコマース配信中の1シーン。平山先生はプロデュース業のほかにも、積極的に動画配信やSNSでの情報発信も行われています

企業と仕事がしたい……そのためには資格が後押しになる!

ーサロンを運営する上でさまざまな課題が出てくることで、新たな仕事を手掛ける必要性を感じていました。すると、たまたまあるコンサルタントが企画したアメリカでの流通業の視察研修に誘われ、参加します。それが平山先生にとっての転機となりました。

平山先生:アメリカのスーパーにいくと、売り場とか商品を通じてお客に伝えることができるんだな、って気づかされたことがたくさんありました。

例えばオーガニック商品は、日本だと普通のスーパーではオーガニックのコーナーがあって売られています。アメリカはそうではなくて、99.9%オーガニックのものだけ販売しているスーパーとかがあって。

ほかにも、食品用ラップなども使わず「環境に負荷がかかるような商品は置きません」みたいなコンセプトを徹底して貫いている。それに圧倒されましたよね。

私はずっとテーマ(=コンセプト)にしたがって食卓をしつらえることを実行してきましたから、それが大きな面積の売り場になっただけの話であったので、アメリカのスーパーがやっていることは結構納得できました。

コンセプトっていうものがあると「それで構成するのは当たり前のことじゃない」って私は思ったんです。やろうと思ったらこういう店舗全体でもコンセプトを貫くことができるんだな、っていう気づきがあって、「売り場とか商品に関わる仕事をやっていきたいな」って思うようになりました。

かといって、実績がないから急にそういった仕事ができたわけじゃありません。

それでも、研修で一緒に参加していた人たちに、スーパー専門のコンサルタントの先生とかスーパーの社長さんとかがいらっしゃいました。その方たちに「平山さんはすでに食育を実践している人です」って紹介していただいたのです。

そんな縁で「じゃあスーパーで講師やって」という話になり、「私でいいんですか?」みたいな感じで乗っかっちゃったんです。何ができるか分かっていないけれど、「教室で話しているようなことを言ってくれたらいいから」っていうから、そうなのかなと思って。

後日、教室でやっているようなことをスーパーの店長さんとかを前にして話したんですが……さすがにこれは相手が求めているものとは違うと思いましたね(苦笑)。

ーサロンで培ってきた知識やノウハウはあっても、企業と関わるような売り場や商品に関する知識や経験が不足していることを痛感し、次のステップへ進むためにもさらなるアクションを起こす必要がありました。
そこで平山先生は、再び資格の取得に向かいます。

平山先生
いくらなんでも「商品のことを知らな過ぎる」と思ったから、売り場の勉強とかはどういう勉強をしたら知識がつくのかなとか思って、販路コーディネータなどいろんな資格の話を聞いては、「いいかも」と思ったものは挑戦して資格を取っていくんですよ(笑)

スーパーや流通の人とかと接点ができても、結局自分の実績が何もないから、「あなたは何ができる人?」みたいなことになっちゃうんですね。そんなときに唯一私の武器になったのは、資格をいっぱい持っていること。「私こんな資格あるんです」「私この勉強したんです」とか言って。

勉強した証だから、当時やったことがない商品開発の相談を受けたときにも、「私こんな資格持っているんです」って言うと「あぁ、じゃあそれなりに知識あるのかな」と思って呼んでくれる。そんなように、資格を持っていることが唯一私の後押しになったんです。

(プロデュース業に至った経緯や、資格の生かし方についてのアドバイスなど、後編に続く)

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