心霊豆スポット
肝試しをする行為自体は阿呆だと思う
まだ、チキンレースのように
海に落ちる手前でブレーキを踏む
そういうことは解るのだけど
肝試しって何?
いわゆるお化け的な話だよね
俺はお化けは信じない
何故か?それは怖いからであーる!
これは大学3年の時の話です。
彼女はいない
女気の無い同学年3人と
部活の後輩1人、4人で麻雀をしていたが
一息ついたときに
仲間の1人が言いだした
心霊スポットいかない?
何それ?
行くわけないじゃないか
行ってどうするというのだ?
禍々しい場所は嫌いだ
何故なら怖いからだ
唐突に何を言い出したんだ?
拳骨したいくらいだ。
周りも否定すると思っていたが
否定したのは俺と後輩だ
この後輩はよく知らないが
意見が一致したので少し可愛く思えた
車を1時間近く走らせたところに
廃病院があり
心霊スポットとしては有名な場所がある
2対2だが後輩の発言権が弱く
結果としてイケイケ2人に押された
後輩が嫌がるのには理由があった
「僕、霊感強いんです
やめた方が良いですよ」
ええ!!!
「視えるの?」と聞いたら
「感じるんです」という答え
感じるってなんだ?
ビジュアライズじゃないのぉー!?
気づけば着いてしまっていた
後輩はぷるぷる震えている
そしておもむろに指を指した
「4Fのあそこマジでヤバいです。」
もう俺は小便をちびっていた
怖さしか感じない
同学年の阿呆2人は浮かれている
後輩は車から出れないという
誰が行くか仲間が聞いてきた
「いや、お前ら2人でいけよ」
なぜ、反対している俺を誘うのか
もしかしたら既に俺は
憑りつかれているのかもしれない
なぜならば、この二人に強い殺意を覚えていた
だがジャンケンになった
どういう説得のされ方をされて
ジャンケンを受け入れたのかは
まるで覚えていない
それを思えばやはり俺は
憑かれていたのかもしれない
結果ジャンケンに負けた
グーだったと思う
そのことも正確には覚えていない
ただ適当に書いただけのことだ。
俺ともう一人で危険だという
その4Fを目指すことになった。
感情とは不思議なもので
同級生の2人よりも、4Fが危険だと言い出した
後輩に対して苛立ちがあった
こいつが余計なことを言わなければ
この馬鹿2人はそこを目指そうなんて
言うわけもない。
懐中電灯はコンビニで売っているような
粗雑なもので心細いにも程がある
照らした先には何かいると思えば
光を追う事ができず
何かにぶつかる度に
きゃらを’s絶叫がこだまする
ぎゃーーーーーーーー
仲間が言いだした
「何か寒くないか?」
季節は6月で湿気でむんむんしていた
そんな時期に寒いわけがない
「寒いわ。男4人で肝試しに来て寒い」
「そういう事じゃない」
そういう事じゃないのは解るが
実際、寒さは感じなかった
俺はゼロ感だ、何も感じない。
今まで霊体験らしきものは一度もない。
段々腹がたってきたので
俺も仕掛ける事にした
「たしかここ、3年前に自殺者もいるんだよな」
「えっ?????」
「知らなかったのか?」
きゃらをの反撃は始まった
もちろんそんな話は嘘だ
怖がればいい。
なんで俺はこんな目にあっている。
だが話しているうちに
俺の精神も削られた
「確か、そうだ俺も聞いた事があった。」
そうだった、こいつはちょっと
虚言壁がある。
だから麻雀でこいつに何度
役満をテンパりそうになったのに
勝負を降りさせられたか解らない。
勝負を諦めた後で確認すると
ただのリーチのみとか・・ありえない
彼が50のMPを消費したとき
俺も50のMPを消費している
無駄に削り合うのは負の場所だからか
それとも俺達が阿呆だからだろうか
恐らくは後者であろう
気がつけばこいつは震えている
頭が痛いとか言い出した。
だから言わんこっちゃない
俺も鳥肌立ちまくりだ。
恐怖が全身を占めているが
なんとか、目的地の後輩が指をさした
場所にたどり着いて驚愕した
スプレー缶でか書かれている
赤いスプレーだ
「ここはマジヤバい」
ひゃーーーーーーーーーーーーーー!!
ドンピシャじゃねーか!後輩恐るべし!!
てか、こと霊の世界においては先輩じゃないか?
思考回路がズレかけたが恐怖で飛ばなかった
「もう行こう」
そう言う俺に彼は答えた。
「だけど写真を撮らないといけない」
この期に及んで律儀馬鹿ですかー!?
確かに、写真を撮って来いと
ジャンケンを負けた俺たちに課せられた義務だ
だけど「ここはマジヤバい」と書かれている
陰陽師が200人くらいいても
俺は恐れおののくと思う
「200陰陽師だ」
そのまま伝えた
「200陰陽師って何?」
そのまま聞き返された
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
こういうときの間は独特だ
面白いと感じる余裕もない
ただ阿呆2人
マジヤバいと書かれているのに
律儀に進入する2人
何か不意に物音がした気がする
窓が割れているから
風が入ってくる音がする
ひゅおおおおおおーーーと言う音が
女性の声に聞こえた瞬間俺は叫んだ
「まめぇーーーーー!!!!」
それは豆だった。
もう逃げた。豆を叫びながら走った。
こういう時は意味不明な大きな音を出して
明るく振舞うことが大事だという
嘘っぽい霊媒師をテレビで見たことがある
「まめぇーーーーー!!
お前も叫べー!!!」
「まめぇーーーーーー!!」
「まめぇーーーーーー!!」
俺たちはひたすら豆を連呼して
階段を駆け下がっていった
車に無事辿り着いたら
車に待機してた仲間が聞いてきた
「豆ってなんだ?」
「豆?」
何のことか俺はわからなかった。
撮った写真に怪しいものはなく
普通に荒れた病室が映っていた
霊は映っていなかったし
豆も映っていなかった
豆って何だって話になったが
仲間がいった
「鬼は外とか節分と関係あるのかな?」
無理矢理な理解をしようとする3人
豆を言い出した当の本人である俺は
腑に落ちない
「枝豆じゃないか?」
乗っからない事にした。
3人は豆鉄砲を食らった顔をしている
とても阿呆顔に見えたんだ
写真を撮って遊ぶ
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