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非常識人 第四十一話 シャバムショ

見つかれば無期懲役のガンコロの塊。

1キロのマリファナ。

大量の十万の束入りのバッグ。

手渡しで渡す現金35万。分け前。

突っ込んだレクサス。

飛ばしの山。

他人名義クレカ。

抱かれにくる尻軽なモデル。

横にはヴィトンの新作のバッグ。
トラブルが面倒。無視をする。俺が行きたいところに運転だけさせてドライブをして帰る。

チーム名や兄貴の名前入りの総身彫。

皆常にクール。

ガトリングガン。
殺された妹の同級生の親父。
場所は近所の交差点。

電車事故。首が飛んだ死体。
場所は当時のアパートの目の前。

電話一本でN級偽ブランド。
命令をする。主導権を奪う。

宛先は偽名私書箱。

親に拾われるコンドーム。使用済。
三度目の逮捕から泣かなくなった。
「こいつはしょうがない」諦められている。
勝った。

最後に両親と会った時はいけないものを付き合いで行った3時間後。
「汗がすごいね」母が言う。流石鋭い。
更に冷や汗をかいた。

よく飯が食えたものだ。

目にするものが漫画。

事実は小説よりも奇なり。

だが小説に昇華することでアートに変わる。

閑話休題。

ムショ上がりは更生保護施設で過ごした。

仮釈放になるには身元引受人が必要だ。

だが家族と疎遠だった場合や、そもそも家族がいない、又は75才以上の高齢者が身元引受人になる場合、まず認められない。
亡くなる可能性があることが大きな理由だ。

俗に反社と呼ばれる人間との交友もNGだ。
手紙が届けば破棄することが通例。

よって更生保護施設は一番の近道だった。

金線の隣。簡単な面談。
通常は二回。俺は短期刑のため一回で終了。

確実に身元引受人として認められる。
その為に不人気の土地かつ友達が多い佐賀を選んだ。

更に仮釈放の間に通常は監視役のような人間が付くのだが、施設にいることで甘くなる。
俺は一度の面談もなかった。


メリットしかない。

さながら3食付きの無料の寮。

ようは娑婆の刑務所だ。

下手なアルバイトの一人暮らしよりも楽。

何より寂しくなくプライベートがある。

天国に感じた。

数人と仲良くなった。

若い人で28歳。一番年上の先輩が61歳。

皆敬語で話す。
お互い形は違えど同じ痛みを味わった仲だ。

絆ができる。

俺は楽しかった。

ご飯は不味かった。

だが刑務所よりマシだ。

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