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非常識人 第二十四話 ほりもの

福岡の大名のアリスを抜けた通り。

角のタバコ屋を真っ直ぐ赤坂駅方面に進んだ先の路地の一角にアパレルショップ兼タトゥースタジオがあった。

ドレッドの後輩に漢字の上手い彫り師の紹介を受け、新しいタトゥーを入れに打ち合わせに向かった。

店に入る。パキパキの目をした三十代中頃の援デリの元締めのイケオジオーナーと、和彫りの色気のある同い年くらいの女性彫り師が待っていた。

店に転がる在庫品。ガンコロ。札束。
山のアイフォン。

「おーこんちは!飛ばし買ってくんない?」

段ボール箱いっぱいの飛ばしを見せられる。

この手のアウトローは分かり易い。
嘘をつかないが扱い方を間違えると喧嘩になる。

あくまで紳士的に返す。

「今間に合ってます。それよりタトゥーのデザインを見せてくれません?」

回ってきたペンを吸いながらデザインを見る。上手い。
ペンも美味い。ひと吸いでヘッドハイが来る。原液だ。

書道の免許を持っているというだけある。
値段交渉に入る。

「このしのぎこなしてくれたら針代の千円でいいよ!」

内容には触れないが店仕舞いに伴う在庫品の処分の手伝い。簡単だった。
即引き受ける。

「んじゃまた後日ね!」

店のモニュメントになっていたハニワの大きな置物をお土産にくれた。

邪魔になるのでタクシー代を渡しドレッド君が持ち帰る。

帰宅するまでに頼まれた仕事をこなしつつ、俺は帰路に着いた。

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