生き方の前提
最近やっと、人生の歩き方が分かってきた。
もう27年も生きているというのに、人生の歩き方を知らなかったし、勘違いしていたなと思う。
どうして学校でも家庭でも、人生の歩き方を教えてくれなかったんだろう。
国語で作者の気持ちを考えるより、
算数でお兄さんに追いつく方法を学ぶより、
よっぽど大切なことだと思うんだけど。
誰か教えてくれても良かったのになあ、と思う。
生まれてから今まで、関わってきた大人たちは誰も、「それ」を教えてはくれなかった。
それはどうしてなのか。
それは、共に生きてきた彼らも同じように、人生の生き方を知らなかったから？
▶なぜ生き方を知らないのか
▷今日を生きた人はいない
大人は子どもの頃の経験をしてきているのだから、親は私たち子どもへ「大人になる方法」を教えてくれても良かったのでは？と思うのだけれど、親は親で、親であることが初体験で、
『大人になる方法』は知っていても、それをどう子どもに伝えればいいのか、知らないのかもしれない。ならば親が子にそれを教えられなくても当たり前か。
以前『明日も出勤する娘へ』という本を読んでそう思った。
『今日という日に慣れている人はいない』
何歳になろうが、今日という日は初めて生きる日なのだから、ぎこちないのもミスするのも当然だ。
(中略)
五十五年間生きてきたとはいえ、「五十五歳の自分」を生きるのは初めてだ。
初めて開く本や初めて行く場所のように、馴染みがなくてよくわからない。
子供のころ、親はすべて知っているのだと思っていたけれど、親は見本ではないし、親だって間違える。
私が生きていく中で、初めてのことばかりなのと同じように、親だって初めての経験ばかりの毎日を過ごしているのだと、最近になって初めて知ったのだ。
大人になり、今まで親に頼りっきりだったはずの私が、初めての経験を前に心細くなっている親を励まし安心させていることに、自分でも驚いた。
いつの間に私は、親の手を取って親の先を歩き始めていたのだろう。
▷正義は選べる
最近気付いたことがある。
それは、遺伝はたいした影響を与えていないということ。
父と母の血を引いているはずなのに、子供の頃の私の心配事には、父も母も理解に苦しんだと思う。
両親に育てられたはずなのに、生きたい生き方も興味を持つものも、正義感もなにひとつ似ていない。
大人になるにつれて、外部からの影響が大きくなり、私はだんだんと生まれ育った家庭での教えから離れていく。
そうしてはじめて、生きてきた環境や慣れ親しんだ思考が、皆にとって当たり前ではないと気づき、正義とは人の数だけあるのだと知った。
そして、正義も生き方も、自分で選べるのだという人生のルールに気づいた。
だけれども、選べるということは同時に、自分で自分の人生に責任を持つということでもある。
人は自分の進んだ道と正義に沿った生き方しか知らないから、私たちは自分で、自分の正義を選ぶ代わりに、その道の生き方を自分で開拓していくしかないのだ。
▶生きるうえでの大前提
▷自分で決める
だから、私達は自分ですべてのことを決めて進まなければいけないのだけれど、そんな当たり前のことに私は最近になってやっと気付いたのだ。
今までは、何を決めるにも、誰かの承認が欲しかった。
『普通と思われること』や『大多数』から逸れた決断をするときは不安でたまらない。
自分の感覚や願望が『普通』からかけ離れていると、自分の感覚を信じることなどできなかった。
だから、誰かに「それでもその道を進んでも大丈夫だ」と背中を押して欲しかった。だけど、それでは自分の生きたい人生を生きていくことはできないと気づいた。
自分のことは自分の感覚と自分の直感で自分が決めなければならない。
自分の思うように生きたいと願うならば、自分の背中は自分で押すしかないのだ。
▷答えなどない
そして私は、ほとんどのことには最適解があるのだと思っていた。
悩んだときにはネットで調べたりしていたんだけれど、調べたところで自分が選ぶべき答えがそこにはないのだと初めて分かった。
眼の前の人間との関わり方で悩んだとき、インターネットでどんなに模範解答を見つけようが、自分と自分の目の前の人間にとって、それが当てはまるかどうかは分からない。
結局答えは、自分がその人間をよく見てよく聞いて、自分がどうしたいのか自分の感情をできるだけ正確に読み取るしか、方法はない。
私はどうして今までそんなことにすら、気づかなかったのだろう。
今まで何度もネットや本など外の世界に答えを探していた。その答えは他人がたどり着いた答えでしかないというのに。
もちろんそれらも十分参考にはなる。しかし、最後に道を決めるのはやはりその対象である自分と目の前の人間、そのリアル・現在・そのものの中にしかないのだ。
そんなことに気がついている人物がいることにわたしは驚いた。
書籍『幸福人フー』という本に出てくるフーさん。
彼女は、問題や悩みを抱えたとき、どこかに答えを探そうとするのではなく、目の前の問題にただ向き合って自分なりの答えを探している。
「他人は他人、自分は自分。」
そうやって、自分の頭で考え自分で答えを出しているんです。
彼女は、自分の人生を生きていた。
それが幸福の鍵？
▶誰か教えて欲しかった
だから、小学校に入る時にでも、こんな授業が欲しかった。
「ではまずは、人生の歩き方から学びましょうか。ええ、この世には正解などありません。同じように生き方にも正解はないのです。先生もあなたを助けることはできても、あなたの人生を選ぶことはできません。あなたの人生は、あなたが自分で考えて、選ぶのです。」
まあ、小学一年生の時にそんなことを言われたら、混乱しますかね。
今書いてて気づきましたが、日本の教育は本当に真逆ですね。答えがあるものばかりに向き合い、先生や親の言うとおりにするのが、いいとされていますからね。
▶︎揺らぐものであれ
悩みがあるということを、否定的に捉える人が多いように思います。
だけど、悩むときがあって当たり前だと思う。
なぜなら、人生には決まった道などどこにもないから。
自分の思った通りに生きたいのであれば、なおさら、分からないことだらけの道をすすまなければならないのだから、悩んで当たり。
それなのに、多くの人は悩むことを嫌う。
それは時間の無駄なのだと言う。
そんなわけがない。
歩んだこともない、周りの誰も知らない自分の人生を歩むのは、難しく、悩んで当たり前なのだ。
「これ以上は悩むことができない。」
そう思うところまでとことん悩めば、
どんな道になったとしても、後悔しないと思う。
だから、いっぱい悩もう。