ちょっと横になるわ……
大好きなアーティストが活動終了した。
Maison book girlについて、私は前にもnoteで書いたことがあった。リンク先の通りである。
その時、私は心の底からMaison book girlを世に知らしめたい!もっともっと届くべき人がいるはずで、その人のところに、どうかこの音楽と彼女たちの存在が届いてほしい!と思っていた。
いや、今だってまだ思っている。
それなのに。それなのに……
公式Webサイトの崩壊
事の起こりは確か1,2か月前だった。もうあんまり正確に覚えていないけど……
ライブ用の特設サイトに、謎のカウントダウンが現れた。
カウントダウンが示すのは、5月30日の夜。その時点で少し嫌な予感は頭をよぎっていたけど、そこまで心配もしていなかった。
カウントダウンしているということは、『何か』はあるのだろう。それがいい知らせか悪い知らせかは、どうせいくら考えたって分からない。
と、思っていたのに。
メンバーの1人の顔が黒く塗りつぶされたのを皮切りに、公式Webサイトはどんどん崩壊していった。
メンバー紹介ページの写真が歪んで、もはや人間なのか何なのか分からない状態になったり。
ページを眺めていると、写真が画面から徐々に剥がれ落ちていったり。
最終的にWebサイト内のリンク先はすべて「404 Not Found」になり、文字もすべて文字化けして解読不可能な状態になってしまった。
ここまでの流れが本当に本当に不気味だった。文字面だけじゃどうしても伝えられないのでスクショ撮っておかなかったことを死ぬほど後悔しているけど、どうしようもない。
まさか数時間後に、壊れた状態のサイトすら見られなくなってしまうだなんて、予想できるわけないでしょうが?
Solitude HOTEL (404)に行ってきた
というわけで、@舞浜アンフィシアター。
会場の目の前からプロメテウス火山とホテルハイタワーが見えるぞ!!!!なんて無邪気にはしゃいでいるんじゃなかったな。
右端にプロメテウス火山、左端にホテルハイタワー。見えるかな。
Webサイトが前述のような状態になっていたにもかかわらず、実はこの時点で私は大変のんきに構えていた。
というのも、私の推しメンでありグループの核でもあるコショージは以前こんなことを言っていた。
もしもMaison book girlが終わるならこんな風に急に突然に今のこの瞬間が最期だったとわかるライブがしたい。ブクガに解散ライブは似合わない。
と、言うなら、いささか分かりやすすぎでは?と思っていたのだ。
今まで何度かライブを見てきて、そのうちSolitude HOTELと題したホールワンマンには7F, 8F, 9Fと参加して今回は4回目だった。
その4回、毎回度肝を抜かれっぱなしだった。背筋が凍るような不気味な演出、それに食われてしまわない圧倒的にエモーショナルなパフォーマンス。
だからこそ、思っていたのだ。「いくらなんでも、分かりやすすぎでは?」と……
開演してからのこと
時間になった瞬間すべての電気が前触れなく落ちて、「last scene」という曲のイントロ部分が流れ始めた。
その瞬間、「あ、やっぱりだめかもな」と思った。解散するかもしれないな、と。
曲のタイトルも『まさに』といった雰囲気だけど……last sceneで一番印象的な歌詞は以下の部分だ。
僕らの夢はいつも叶わない。
ああ、これは終わるのかもしれん。初めにそう思ってしまった。
だけど演目が進んでいくにつれ、その「解散するかも」の気持ちはどんどん小さくなっていった。
だって、歌もダンスも、全体的な演出も、レベルが高すぎるのだ!
正直アイドルに詳しいわけではないし、良し悪しが分かるというわけでもない。
だけど私が初めてブクガに出会った2018年からその技術は格段にアップしていて、メンバーも自信たっぷりにその姿を見せつけてくれる。
こんな、こんなステージを作り上げられるアーティストが解散するわけがない、いや、解散する世の中であってはいけない。そう思ってからは、心の霧が晴れたようにステージを楽しむことができた。
度肝を抜く演出は相変わらずで、少なくとも3回くらいは声を上げそうになってしまった。(ここに書くのは野暮なので割愛)
それに加えて、パフォーマンスの素晴らしいことと言ったら……
今日やった曲はほぼ全曲過去にライブで聴いた曲だったが(前回のライブで全曲公演を行ったためだ。話が逸れるので割愛するけど、6年活動してて全曲公演するってやばくない?)、
曲が終わるたびに「えっ?史上最高クオリティじゃん」と思っていた。
1曲だけ涙が溢れて止まらなくなってしまった曲があった。「snow irony」という曲だ。
一聴すると可愛らしい曲に聞こえるが、歌詞がなんとも後ろ向き、というか、マイナス、というか。
そんなギャップが前からずっと好きだったけど。パワーアップした4人の歌声が広いホール全体を満たして、みんな白く光り輝く円形のステージでのびのび踊っていて。眩しすぎて直視できない、と思ったけど、なんとかその目にしっかりと焼き付けた。
そして私は同時に、やっぱりこんな素晴らしいグループが解散するはずがない、という思いを強めた。
終演直前~終演してから
最後に披露された曲は、冒頭でイントロが流れた「last scene」だった。ああ、この曲が終わったらこのライブも終わりかもしれない。何かお知らせ(解散以外の)があるんだろうけど、それまでは何も考えずにこの曲を楽しもう――と思っていた矢先。
僕らの夢はいつも叶わない。きっと。
この言葉を最後に、曲が唐突に止まった。会場全体が明るくなった。規制退場を告げるアナウンスが流れ始めた。
えっ?終わり?これで?もっともっと聴いていたかったのに。
時計を見ると、カウントダウンは既にゼロになっているはずの時間だった。慌てて公式Webサイトを確認したら、コレである。
え、あ、は?
何も分からなかった。分かろうとすることができなかった。同じ会場にいた後輩と一緒に駅まで歩いたけど、ずっと「分かんないなあ……」「えっ?」「はあ……」「まあそうだよなあ……」を繰り返しているだけだったような気がする。
そして、極め付きはこのナタリーの記事である。
無理、無理無理、無理でーす!
これまでさんざんファンの度肝を抜いてきたというのに、最後だけ予想通り活動終了だなんて、無理、無理!!!!!
後輩と途中で別れて、ひとり家に帰路についた。
最寄駅から歩いている途中、はっと我に返った。そこまで足を動かしていた記憶はあるけれど、自分が歩いて家まで帰ってきたのだという事実が信じられなかった。まるでベルトコンベアーに載せられたかのように、呆然としたまま何も考えず、駅までたどり着いてしまった。
そうして、まだ現実味が帰ってこないままに、ああ、書かなきゃ。と思った。
私は手を動かすことしかできない。この事実をそのまま受け止めたらそれこそ死んでしまう。Maison book girl活動終了の衝撃が心に到達する前に何らかの形で事実を自分の身体から排出しておかないと、だめだ。
そう思っていまこれを書いている。
自分語り
昨年秋は、私にとって非常に辛い時期だった。
仕事があまりにも忙しくて、毎日良くて終電・悪くてタクシーで4時帰りの生活になり、休日は消え失せた。家に帰る目的が服を替えることと、倒れて眠ることの2つだけになっていた時期だった。通勤の時間に新しい音楽や知らない音楽を聴く元気はなかった。
そんな時、私はずっとブクガの音楽を聴いていた。
正直ブクガの音楽はハイカロリーだと思うし、疲れている身体には毒にもなりかねないと思う。
だけど、私の心の奥底にある何かとブクガの音楽はなぜかものすごく馴染む。馴染んで、混ざり合って、ボロボロだった私自身をぎりぎり保ってくれていた。
あの時期からブクガは私にとってただのアーティストではなく、心の拠り所になっていたんだと思う。
もしかしたらこれを読んだ人は大げさだと笑うかもしれないけど、これを大げさだと思えるのは本当に本当に幸せなことだよ。
本当に好きで好きで、ずっと輝いていているべき人たちが思うように活動できないこの世の中が憎いし、ただただ悲しい。
「アイドルは推せるときに推しとけ」的某氏の発言を拝見したけど本当にその通りだし、人生全部についても同じことが言えるのかもしれない。
好きでもないこととかやりたくないことに文句を言って日々を消化しているうち、好きなことややりたいことができなくなってしまったら。失った時間は2度と帰ってこない。
そんなことを駅から徒歩2分の帰り道、ようやく戻ってきた自我と一緒に考えていた。
最後に
少しでもブクガのことを気にかけていて、ライブを見てみたかった……と思っている人は、ぜひ配信チケットを買ってほしい。
6/2まではアーカイブが残るようだ。たぶん。
これを読んだあなたが「意外とこいつ元気だな笑」と思ってくれていたら本望です。
私はたぶんしばらく彼女たちの音楽を聴くことができないので、代わりに聴いてください。いっぱいいっぱい聴いてください。
それでは。