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心安らぐ狂気の世界へ、ようこそ - OMORIの話


コンテンツへ恋に落ちる、という感覚がある。

そういった感覚を元にして他人と話す(俗に言う“布教”でしょうか)ことはあれど、この感覚そのものについて他人と話したことは一度もない。
だからこれがどの程度一般的なものなのか分からない、けど、私にとってはもはや慣れたものだ。
(慣れたからといってうまく扱えるわけじゃないけどね)

恋に落ちるどころか沼にはまり込み、息ができない……なんて状態に陥ったのは久々なので、今日はその感覚の元となった『OMORI』というゲームの話をしよう。

(全部のエンディングを見られていない状態でレビューを書くなんて己のポリシーに反しているけど、書きたいものは書きたいときに書かないと気が済まない……という己のポリシーが勝った結果です。ゆるして)



1. OMORIって? ー概要


個性豊かな友達、そしてエネミーでいっぱいの奇妙な世界を探検しましょう。忘れ去られた過去を明らかにすべく、色とりどりの世界を、そして色あせた世界を進みましょう。やがて、あなたが選んだその道が、あなたの運命を決定づけるでしょう。おそらく……他の誰かの運命も。
Steam公式説明より

『OMORI』は2020年12月にOMOCATからリリースされた、“ホラーRPG”ゲーム。
昨年末にSteamで日本語版がリリースされて、少し話題になった。らしい。
春にはSwitch版がリリースされるとか!

このゲームを立ち上げると、まず以下のような注意書きが出てくる。

初めに挙げたファンシーな雰囲気の説明文と、注意書きの内容がそぐわないのでは? と思った人がいたら、その感覚は正しい。

疑問符を頭に浮かべたまま、まずは以下の公式動画を見てみよう。
(怖い音とかは出ないので、なるたけ音ありで見た方がいい)

ファンシーとホラーが同居するこの雰囲気、おわかりいただけただろうか?

既存のレビューなんかを見ているとMOTHER・Undertale・ゆめにっき等と関連付けて評価されることが多いっぽい。

前2つは残念ながら触れたことがないけれど、ゆめにっきは実況で何度か見たことがある。
実況で見たというのをあまり表明したくないけど……自分でプレイできる気が全くしなかったのだ。
単純にマップが広くて攻略が大変……というのもあるけど、それ以上にあの“説明がない”世界を探索し続けられる自信がなかった。

あえて比較してみるなら、OMORIは目的がはっきりしているゲーム……だと思う。



2. OMORIって? ーもうちょっと詳しく


可愛らしい色合いをした不思議な世界、たった一人白と黒だけで描かれた主人公の「オモリ」は、とある目的のためお友達のオーブリー・ケル・ヒロと冒険を始める。

お友達が、ほんとうにいい子なんだ……
ずっと一緒に冒険していたいという気持ちになるのも当然のこと、と思える。

冒険、というからにはエネミー=敵も当然現れる!
オーブリーはぬいぐるみ、ケルはゴムボール、ヒロはフライ返し、そしてオモリはナイフと、各々の個性に合った武器を装備してエネミーをぶちのめしていく。

この戦闘システムが結構面白い! ターン制バトルなのはポケモンと同じだけど、もう少しそれを単純にしつつ多彩な戦い方ができるようにした感じ。
キャラごとに決まった属性はないけど、各々の“感情”がバトルに大きな影響を及ぼす。

感情は三すくみの関係になっている。
この画像だとオーブリーはむかむかしているので、
「しょんぼり」しているエネミーに強い一方「にこにこ」しているエネミーには弱い。

戦闘以外の要素もすごく充実していて、やり込み要素も多い。
これを読んでいる人の中に、とにかくすべてのオブジェクトを調べてみないと気が済まない族はいるでしょうか? 私がまさにそのタイプ。

調べても何も起こらなかったりするとがっかりするけど、このゲームはそういうことが本当に少ない。
本筋にまったく影響しない小ネタが無数に仕込まれていて、それらを回収するだけでも楽しい。
もちろんやり込み要素なんかいらん! ストーリーだけ知りたい! という人もプレイできる、その辺の塩梅が絶妙だ。

意味もなくカカシに石を投げ続けていたら急に自分語りを始めた。
この自分語り、本当に長かった。

そして、絶対にネタバレしたくないので多くは語らないけど……オモリたちの冒険が進むにつれて、彼らが冒険している世界の正体、そしてその世界が生まれた理由が明らかになっていく。

軽い気持ちでやり始めても、途中から続きが気になって眠れなくなる人が多くいることでしょう……私はその第一人者です。

残酷な真実が明らかになったとき、主人公がどんな行動を取るのか……その選択は、プレイヤーに委ねられている。



3. 気になるけどホラー要素が怖いよ! という人へ


私もホラー、特にびっくり系がてんでダメです。
ゆめにっきで言うと、ウボァが本当に苦手で……(伝わるか、この例え?)

確かにホラー要素はあるし、びっくりさせられることも少なくない……けど、あえてヤバそうな場所を調べなければ避けられる部分も結構あります。

それに、ホラー要素というよりは「本当にこの操作を選択しなければ先に進めないのか……?」みたいなじわじわとした嫌さが込み上げてくることの方が多い。

胸糞悪い系のコンテンツの魅力が分からなくて、なおかつホラーも苦手だとキツいかもしれない。どちらかだけなら大丈夫。たぶん。
どうしても無理なら、かつての私のように誰かが実況しているのを見るのがいいかもしれない……

ただ! ホラー要素が含まれているということだけを理由にしてプレイしないのはあまりにもったいない! ということは表明しておきます。
愉快なパートもありますし、ね……

免責事項ザウルスって何? 笑いを通り越して困惑した



4. 話は戻る ーコンテンツへの恋について


コンテンツへ恋に落ちる感覚について言語化するのはだいぶ前にあきらめているのだけど、強いて言うなら「作者は、お金のためとか何かを伝えるためとかじゃなくただ純粋にコレが作りたくて作ったんだろうな」と思ったとき。
日本語が意味を為していないね。

お金は必要だ。足りなければコンテンツを作ることができない。
伝えたい想いも重要だ。それがあって初めて主題が生まれ、より豊かな体験を受け手に与えられる。

でも、それらって副次的なものであるべきだと思うのだ。これはあくまで私の意見であり、なおかつ私がマジョリティでないことは理解しているけど、あえて表明したい。

お金を儲けること、何かを伝えることに先行して、「俺はコレが作りたいんだ!!!!」という情熱を感じる。そんな作品が、この世にはたくさんある。
私はそう感じられる作品に出会えたとき心の底から感動し、恋に落ち、対象をイマジナリー祭壇に祀る。

OMORIはまさに・そういうゲームだ!
このゲームを作らなくては息をしていられない、というくらいの、ある種の“強さ”を感じた。

最近何にも真剣になれない、スマホを見る時間が長くなった、眠りもしないのに布団でゴロゴロしている……そんな人は、ぜひプレイしてほしい。
新しい世界に出会えることを、私が約束する。



(オマケ)


主題歌の『My Time』が本当に、本当に良いのでぜひプレイ前に聴いてみてほしい。
(いかにも私が好きそうな曲……って感じですが、リアルで付き合いがある皆様どうなのでしょう)

何のコンテンツでも最終的に音楽の話をしたくなってしまうオタクなのですが……
BGMが、今までプレイしたゲームの中でも指折りの素晴らしさだった。
サントラ3枚もあるけど最近毎日聴いている。

音楽がいいゲームは内容もいい、という自説がまた証明されてしまった。ハハハ!

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