怖いおじさん

飲み会の二次会。まったくついてな…もとい、たまたま先輩に強引に連れていかれたフィリピンパブ。ママはもちろんフィリピン出身。このコロナで実のお姉さんが病院で感染して亡くなったらしい。しかもいまだに帰国できていないとの事。もう一人の女の子は日本人。昼の仕事もやっていて音楽関係のイベントも主催運営しているらしい。書にも造詣が深いようだ。さらにお手伝いのボーイさん。スリランカ人の男の子23歳。同じく帰国できていないらしい。街でママをナンパしてその後店に2回ほど客として飲みに来た時に、「ここで働かせて下さい!」と言って、今日が初日らしかった。

千尋か。

飲んでいるとほどなくして60前後のコワモテの(どう見てもその筋の人)二人組が入ってきた。ママとの話もそこそこに、カウンターに座ると松山千春の長い夜をカラオケに入れ歌い始めた。それに触発されてか、私の同僚のKさんは井上陽水と玉置浩二の「夏の終わりのハーモニー」を入れ、「御返杯」とばかりに歌い始めた。それを聴いたその筋の先輩方は、自分たちの知っている曲があったせいか、酒が進んでたまたま気をよくしたのか、なにやらまたカラオケの端末をいじりはじめた。中村雅俊をいれて歌い始めた。渋い。

このままでは昭和歌謡合戦になってしまうとひやひやしていたら、その筋のおじさんたちは、おもむろにリモコンで入れてマイクを持って立ち上がった。

あいみょんだった。

まさかのあいみょん。裸の心。想像してほしい。アウトレイジ二人組が歌うナギサさん。非常に楽しませてもらったので、こちらも昭和歌謡(正直親の世代の歌)を連発して応戦。「兄ちゃん!いい歌知ってるな!がはは!」

仲良くなった。

帰り道、「おみゃえ、むにむに・・・あにょ、でぇじょびゅら!な!」

などと意味不明の言語を発する酔っ払いのテンプレのような先輩を支えながら、帰って布団に入ったのは二時だった。

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