毎日エッセイ:リアルでネットスラング使う奴きっしょいなあ・・・
「リアルでネットスラング使う奴きっしょいなあ・・・」
そんな風に考えていた時期が僕にもありました。現実でネットスラングを使うことに忌避感を抱いている人は、まだいると思う。しかしこれは、今となってはもうだいぶ古い考え方だろう。
僕がこの考えを持っていたのは、恐らく匿名掲示板の影響だと思う。僕は"""ホンモノ"""の陰の者だったので、約10年前の中学生の頃から、2ちゃんねる(現5ch)をよく利用していた。当時はまだギリギリアングラ感が残っていて、掲示板内に謎のしきたりが存在していた。
例えば、「ワロタw」のように、「w」を一つだけつける行為は「単芝」と呼ばれ、叩かれる。wを半角で入力すると、「半芝」として叩かれる。スマホからの書き込みも叩かれていたし、Twitterの話題を出せば、なぜか袋叩きに遭っていた。新参叩きも激しかった。その他、「あれはキモい、これは痛い、それは臭い」と、とにかくひねくれ陰キャの巣窟みたいな場所だった。「現実でネットスラングを使う」という話題も、しばしば叩かれていた。
今考えると何の正当性もない叩きなのだが、当時の僕はこれに影響されていた。掲示板ではネットスラングで見知らぬ人間を煽りまくっていた癖に、リアルの会話でそれを使うのには抵抗があった。その時は存在していた友達とのチャットで使うことさえ、気が引けていた。文末に「w」をつけるのすら躊躇していた。かと言って「笑笑」をつけるのは陽キャっぽ過ぎて僕の本能が拒否していたし、凄く苦しかった。
その苦しさに耐えられなくなって、ある時、自然に好きなようにコミュニケーションをしようと思い立った。それからは、普通にネットスラングを現実でも使うようになった。最初は少し抵抗があったが、今では何も気にならない。あの自意識はなんだったんだろうと、たまに疑問に思うことがある。(ただ、まだ「笑」を使うのは抵抗がある。)
リアルでネットスラングを使うことの違和感の正体は、「『ネットの特定コミュニティでしか通用しない、内輪ノリの言葉』を、それを知らない人に対して使い、ディスコミュニケーションを発生させること」に対する懸念だったんじゃないかと考えている。別に「ネットスラングを使うこと」自体は何も悪くない。逆に言えば、意図が伝わるならどんな言葉を使ったっていいのだ。スラングで会話して盛り上がることもある。野暮かもしれないが、伝わらなかったらどういう意味なのか、スラングの説明をすればいい。
2022年現在では、大量のネットスラングが現実でも飛び交っている。現実とネットの世界の境界が昔に比べて曖昧になった影響もあるだろう。会話なんてみんなやりたいようにやればいいのだ。素直で自由なコミュニケーション、最高!