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蜘蛛の巣 からめとられた茶BU 

その幼い子は、なぜか知らないが、親からの愛情を知らずに育った。大陸の国で、どこかの家庭に預けられて、大きくなった。
育った、と書かなかったのは、内面的なものを正しく育てられなかったから。

母親が結婚した相手が戦後の闇の中、利権をうまく手にして、立ち上げた商売がうまくいった。

娘を、これと思う相手と見合いさせた。24回も失敗した。
そのころの娘は、ダンスホールに夜な夜な通う積極派だった。
今そのころの彼女の写真を見ると「zubekou」という古い言葉がなぜか脳裏をよぎる。見合い相手の肉体自慢の小説家に、見合いでの「提案」を暴露されるほどの「肉体派」だった。

25回目にやっと婚約がととのった。相手は「外務省勤務」。ゆくゆくは外交官。誰にでも自慢できる職業。
しかし、外交官夫人ともなると、お付き合いだの身の処し方だのが大変。私そんなことやってられない、と思ったかどうかは知らないが、そんな時に、あるつながりから、「やんごとなき」立場の人と知り合う。一説では、婚約者が彼女をその人に引き合わせたとも。

テニスコートでの結婚前の醜態。「やん」君は彼女を後ろから抱きしめ、まるで何かの行為を暗示するかのよう。それを笑ってみている周囲。

そして、「やん」君を篭絡した彼女は、見事、彼女が考えるトップに上り詰めた。

結婚するまでの道のりは平たんではなかった。国会議員から「いかがなものか」との意見が出た。古いしきたりを覚えようとせず、自己流をとおす彼女に当然周りの目は厳しかった。しかし、彼女は反省する様子も見せず、我流を通した。

ある時、いくつかの雑誌が相次いでそのわがままぶりを批判した直後、彼女は病気を装った。高価なドレスより何より、彼女が身にまとって安全を感じたものであろう。ほどなく、その雑誌の社長宅に銃弾が撃ち込まれ、そのあたりからメディアは彼女の批判をやめ、逆に奉るようになっていく。

それからは、周りの迷惑を省みない自己顕示欲の塊となり、火曜日と木曜日は週刊誌をチェックし、気に入らない記事があると編集長を呼び寄せて叱咤するようになっていく。

自己のイメージを「うぬぼれ鏡」に映して悦に入っていた日々だった。年齢による容姿の衰えも何のその、一人だけ突飛で奇天烈なドレスを作らせ、何度も何度も仮縫いさせ、縫い直しでボロボロになったドレスを着て新年参賀で手を振った。

そんな時、ある優秀な女性が一族に入って、自分の享受していた「栄光」がすっかり霞んでしまったものだから、白雪姫の登場人物に変身。
夫を操り、公的には夫の力をもってお嫁さんをひどく扱い、陰では自らの言動で苦しめた。

息子夫婦に待望のお子さんが出来たとたん、またもや悪だくみを発動。彼女が蜘蛛の糸から蹴り落したかに見えた元婚約者が、自分の孫娘と長男の嫁を苦しめるための駒として、学校長の座におさまり、自分の晩節を穢す行動で彼女に協力したのだった。

今も、茶BUを召使のように従えて、召集された国民の前で恍惚に浸る彼女。
今も、長男夫妻の活動を報道させないように、猛暑の中、周りの職員を疲弊させながら、待機させた報道陣にウィンドーを下げ、エアコンの効いた社内から手を振る彼女。

晩節をけがしまくった…というより、コウシツを穢し続けた、哀れな老女の物語。The End と 早く書きたい 物語。

まだまだ悪夢は続く…(溜息しか出ない)

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