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ネットワークビジネスにメンバー登録・製品購入して思ったこと

ネットワークビジネス(以下MLM)といえばしつこい勧誘でしょと思いきや、そういえば勧誘されてなかった1ヵ月が個人的に結構面白かったので書きます。
インスタの投稿にコメントくる→DM→zoom→1ヵ月後メンバー登録・製品購入→クーリングオフで思ったこと。
 

<あらすじ>

自分のインスタにコメントが来たので返事してみると、次にDMで返事が来て数回やり取りをする。主に本に関する内容で「今度読書会の講師をしている人をお話しする機会があるので一緒にいかがですか?コーヒー作りができるワークショップも開いている方です」と。
(後で分かったことですが、読書会もワークショップも勧誘対象とつながるための口実で全部zoomでやるとのこと。その他に筋トレ、ジョギング、お菓子作り、心理学など顔を合わせる理由になれば何でもいいらしい)
 
これが最初の誘い文句で、上の人間につなぐ。
 
基本的に、
上の人間(アップ)=A
下の人間(連絡してきた人、ダウン)=B
勧誘対象(自分)=C

の三人グループにしてzoomで話す。
次回の予定はその場で決める(1~3日後に入れてくるのでスパンの短さに違和感あり。おそらく1ヵ月で登録させるシミュレーションなのかと)。
どこかのタイミングで一度トップ層のカリスマにzoom降臨して頂く(貧乏生活からMLMで脱却した成功話を聞かされる)。
 
はじめは雑談を中心にCの情報を聞き出す。
Aの役割はMLMのビジネスプランと扱ってる製品の良さについて説明することなので、少しづつ丁寧に働き方や日本経済の未来、市販の化粧品・日用品・食品類に使われてる毒性のある成分について不安を煽りつつ説明する。勧誘はしてこないけど不安を煽ってくる感じ。
(※「講師をしている」という設定は相手に話を聞き入れやすくする。)
 
Bの役割は基本的に連絡係、あまり喋らないでAに同調したりCに共感を求めたりする(新人はここから)。
 
(AとBはグルなわけですが、こっちからすると読書会の講師Aの話をBとCで聞いているのだと思っていたのに、AとBはどうやら自分にだけ話しかけているという違和感。)

僕の場合は最後まで「勧誘」はされませんでした(序盤から話に喰いついていたからか)が、登録も購入も手続きを自分でやらせてくれず(知らされてなかったけど販売員であるBから買ったことになってる)、3対1でその場で決めさせられました。
買わせる流れざっくりとこんな感じ↓↓↓
A「市販のものにはこんなにも毒性があります」
C「ヤバいですね!」
A「ウチはこんなに良い製品を作ってます」
C「製品欲しい!」
A「登録すれば買えます。」
C「登録します」
Aのアップ「自分で使ってみないと人に勧められないので買いましょう」
C「買います」
Aのアップ「2000ポイント分(約26万円)買えば高ランクからスタートできるので収入も多く入ってきます」(最初にお金を使わせることで使った分を取り戻そうとする、または自分を正当化するために「きっと良いものに違いない」と思い込む。)
C「わかりました」
B「すぐ消しますのでクレジットカード番号と有効期限をLINEに送ってください」
C「(お互い住所・名前知ってるし悪用はされないだろう)送る」
 
書面での説明や契約があったりもしくはWebで登録するとかがあるのかなと思いきや単なる口約束で即決。今振り返って文字にして見てみると少しくらい躊躇しろと思いますが、その日すでに3時間近く話してて早く終わりたかったのと正直やる気になってました。
MLMをよく知らなかったし平和ボケしてたなぁと思います。

即クーリングオフしました。
クーリングオフは無条件で契約解除できるので、カードゲームで言えば全体除去みたいな感じでかなり心強いです。
(直接店舗で買った又は通販の場合は使えないので注意。)
消費生活センターの人もかなり親身に解決に向けて聞いてくれて心強かったです。後々調べてみたら、登録の時点で契約書面の交付をしていないので特商法違反でした。
付き合いをやめることをLINEで送ったら、予想通り「通話しましょう」の追いLINE連打。こちら側に話すメリットがないので断りました。


<規制が厳しいネットワークビジネス>

ネットワークビジネスは、マルチ商法またはMLM(マルチレベルマーケティング)とも呼ばれています。
長いのでここではMLMと呼びます。
MLMは、メーカーの製品を会員となったメンバーだけが購入することができ、会員が販売代理店となって製品を広告し販売することにより、会員が会員を増やして組織を拡大し収益を得るビジネスモデルです。
日本ではアムウェイが有名ですね。

勧誘員の対応がところどころ雑で説明不足だったのが不信感につながったわけですが、後日会社のホームページや自宅に送られてきたガイドブックを見てみると、会社自体はしっかり規則を決めているようでした。MLMが社会的にイメージが悪いのは、ルールが厳しすぎて勧誘が捗らないために結局勧誘員が強引なことするからでしょう。
MLM自体は合法だし会社もきちんと規則を設けていたので別に批判する気はないし、世の中消費者に金を払わせるためにあの手この手を使っているサービス提供者はたくさんいるので勧誘員を否定する気もないのですが、無理だと思った一番の理由は自分がされたのと同じことを他人にする気にはなりませんでした。

<勧誘員の特徴>

  • 「成功者」「すごい人」の話が出てくる。

  • 組織のトップ層をカリスマ視している。

  • 挫折からMLMで這い上がったカリスマの成功話を自分たちにもできると夢見ている。

  • 上の人間(アップ)に会わせたがる。

  • 本拠地(サロンと言っていた)又はセミナーに来させたがる。

  • 仲間作りのためにかかる時間(毎回2時間以上)や諸経費などこちらの負担や都合は無視。

  • ところどころ説明不足(おそらくマニュアル通りに進めることが優先でこちらの気持ちに配慮できない)

  • MLMのデメリットやネガティブな情報については触れない。

  • 勧誘が真の目的なのでぶっちゃけ製品には興味ない(MLMの会社は基本どこも化粧品や日用品を扱っているので差別化しづらい)。

<催眠のかけ方>

  • キーワードは「誰でもできる」「製品が体に良い」「権利収入で時間とお金を同時にゲット」「初期投資なしリスクなく始められる」「いろんな会社見たけどウチが一番良い」

  • 将来について考えさせ、お金と健康の必要性を意識させる。

  • 夢リスト100個書かせて妄想させる。

  • 連絡先知ってる人とりあえず全員書き出して人脈リストを作る。
    →友達が少なくても一人大量に売ってくれる人を見つければいい。
    →会って話聞いて必要そうな人だけに紹介するだけだから友達失うこともない(実際はこれができずに焦って強引に行く販売員が多いのと、そうでもしないと永遠に収入が増えない)。

  • 常にグループで活動して周りと同調させる。

  • 決断の際は考える時間を与えないようにその場で決めさせる。

  • 紹介よりも勉強会を勧めてくる(頻繁にミーティング参加で仲間意識を刷り込む)。

  • セミナーに集まって多くの仲間がいることを認識させる(カリスマレジェンドに生で会えるし、会員のオーバーリアクションで熱量が上がる)。

<人の行動に影響を与える6つの法則>

アメリカの社会心理学者ロバート・チャルディーニは、消費者の購買意欲を高めるために行われる店員や広告による情報伝達を「説得」と定義し、6つの心理的要因を挙げています。

  • 返報性
    人に優しくされたり気遣いをされた場合に、自分も同じような行為を他者に与えなければならないと考える傾向。この効果は押しつけがましくても、嫌いな相手だったとしても関係なく発動し、ワンチャン与えた分以上のものが返ってくることも期待できる。

  • コミットメントと一貫性
    コミットメントは「約束」や「責任」という意味。人は一旦他者に対して表明した意見を変えようとしない、また同じような行動を一貫してとろうとする傾向がある。

  • 社会的証明
    ある物事について他者がどのように考えているかによって自分の態度を決める。製品の使用経験者のクチコミに影響を受けたり、周りの人が良いと言っていると自分もそれに流される傾向。

  • 好意
    自分が好意を持つ人物や、魅力度や好感度が高い人物の意見は正しいと信じてそれに従う傾向。人間は本能的に快感情に惹かれて近づきたくなる。MLMではダウンラインの人に対して模範的な態度や羽振りの良さを見せることで魅力度・好感度を高める。

  • 権威
    専門家や科学者、政治家など、権威のある人物からの意見に影響されやすい。MLMでは成績によってランク分けされており、上に行くほど派手なネーミングで権威性が示される。また、著名な研究者が発見したという成分を使用した製品も紹介されました。

  • 希少性
    希少で入手困難な事物に対しては価値を感じ、また「これを逃したら二度と手に入らないかもしれない」と思うことで心理的な反発が起こり、入手の欲求が高まる。「期間限定」「数量限定」「今だけ~」「先着〇〇名様限定」「〇〇キャンペーン」「のこりわずか!」などなど。

<一般的な4つの説得テクニック>

店頭販売員が消費者に対して使う説得のテクニックとして一般的に有効とされるものには以下の4つがある。

  • フットインザドア・テクニック
    はじめに簡単な依頼をして応じさせた後に本命の依頼をするとより依頼に応じやすくなる。(一貫性)

  • ドアインザフェイス・テクニック
    はじめにハードルが高い依頼をして、一旦断らせた後に本命の依頼をする。「相手が譲ってくれたのだからこちらも譲るべき」という気持ちから依頼に応じやすくなる。(返報性)

  • ローボール・テクニック
    良い条件ばかり提示して契約を決めさせてから悪い条件を伝えるまたは良い条件を取り下げる。消費者は一旦決めたことを取り消さないことが多い。(一貫性)

  • ザッツノットオール・テクニック
    買うかどうか迷ってる消費者に「値引きしますよ」や「おまけしますよ」など特典を付加させるようなことを言って買う気にさせる。初めに見た値段を基準に判断するので安く感じる。(返報性・好意・希少性)


僕にはフットインザドアテクニックとローボールテクニックがクリティカルヒットしました。良いことしか言われないので素直に聞いてるとそのまま話が進んでしまうので、自分で調べるか的確な質問すると意外と簡単にボロが出ると思います。ただMLMのことをよく知ってないと質問するのも難しいです。
会社について知りたいと言ってみたらプレゼン資料を使って説明してもらえましたが、これが雑過ぎて笑えました。
ティエンズという中国の巨大グループ会社の傘下らしく、その説明の中でさらっと出てきた自分たちの会社概要↓↓↓

<会社説明>

  • アメリカNY本社

  • 会社名 株式会社AP(Apex Power)

  • 社長 ヨーロッパの方

  • 副社長 日本の方

  • 業界初アプリ開発
    →4000成分の安全度チェック
    →ポイント制度(ポイ活)導入

いや社長と副社長w 
一応アプリ開発とSNS×MLMが押しみたいだけど説明してる本人もよく分かってなくてなんの話だかよく分からなかった。

<登録後、満を持して見せられたカリスマリーダーの動画>

イタい金持ちアピール

  • 有名人、著名人とご近所です(グーグルアースの画像使用)

  • 海外行きまくってます(ネットの画像使用)

  • 高級車持ってます(置いてある車と一緒に自撮り)

  • 海外の高級ブランド大量に買い込みます(両腕に紙袋いっぱいぶら下げた画像)←自分で持つんかい

  • 他にも語ってたけど聞いてられなかった。

 世の中には豪華な私生活を見せびらかしておきながら実際には貧乏な生活を送っているという人がいるのを何かで見たことがあるけど、感動しました。この業界で大衆を自分について来させるためには金持ちアピールする以外にアピールできるポイントがないではないか!
点と点が線になった!
MLMのリーダーで月収100万円あるけど借金100万円してるとかよくあるみたいです。

<MLMがハマる人>

この人達は金と社会的地位が何よりの価値なんだろうかという印象。
しかし、次のような人にはMLMがぶっ刺さると思います。

・毎日孤独で話し相手が欲しいと思っている人
「人脈がない人の方が意外とうまくいく」というのは勧誘員がよく使う言葉ですが本当だと思います。友達を失う怖さがない、グループの人達が気にかけてくれるというのは、都会に出てきたばかりで寂しい若者や孤独な生活を送っている中高年にとっては良い居場所となる。

・燃え尽きて無力感や絶望感に打ちひしがれている人
自分の無力さに絶望している人にとっても、誰にでも出来て、夢をみさせてくれて、目的を与えてくれて、同じ仲間がたくさんいるという場所は刺さると思います。

・自己成長の意識が高く好奇心旺盛でパワーを持て余してる人
MLMは耳障りの良い文言で自己啓発を促し、熱量高くみんなを引っ張っていくリーダーシップを良しとするため、意識高い系の好奇心がバッチリハマる。


ネットワークビジネス自体は合法だけど規制が厳しい。

勧誘が目的ならまず会う前に「〇〇会社の〇〇という者です。あなたをネットワークビジネスに勧誘したいので会っていただけますか?」と自己紹介しなければならない。
そんなことやってたら新規登録者は増えないので、今回のように勧誘はせずに「登録したい」と言わせることが目標になっているのかもしれない。
とはいえ対象者がMLMについて知れば知るほど、記憶を遡って「最初のメッセージも勧誘が目的だったのね」と思われてしまうことは避けられないし、これだけ情報が溢れてる時代にMLMの悪いイメージを払拭するような説得は難しい。イメージが悪いので胸張ってMLMやりませんかとも言えず結局嘘をつかざるを得ない(始めるのにお金かからない、リスクなく始められると言われたのに実際初めに買わされる)。
会社は法律に則ってしっかりやっているのに、無知な販売員が焦って登録させようとして法律違反をしてしまうのがよくあるパターンみたい。
今回の場合は契約するのに書面をこちらに渡していなかったのが違法。
 
最後に僕の独断と偏見とネットで適当に拾ってきた情報からMLMのメリット・デメリットを挙げて終わりたいと思います。


<MLMのメリット>

  • 初期投資が少なく、リスクが低い

  • 仲間が増える(代わりに友達は減るが個人の価値観次第でメリットにもデメリットにもなる)

  • 特別なスキルや能力がいらない

  • 自力だけでなく他力でも収入アップになる

  • 気持ちが前向きになる(現実を見てないだけかも)


<MLMのデメリット>

  • 会社が5年以内に倒産する確率99%

  • MLMを初めた99.4%の人が無収入

  • 誰にでもできるということは、結果が出ないと自分の頑張りが足りないことになる。

  • グループがある程度の規模になるまでは活動に時間もお金も捧げなくてはならないし、「ある程度」がいつ頃達成できるのか予測がつかない。

  • まず自分が使ってみないと人に勧められないということで最初に大量に買うことになる。

  • グループからの圧力がある。

  • グループ内の似たような価値観ばかりに触れることで極端な思考や視野狭窄に陥る。

  • グループの人間は仲間、同業他社は敵、それ以外の人間は勧誘対象として見るようになる。

  • 特にこれといったスキルが身につくわけではないので金持ち自慢ぐらいしかすることがない。

ネットには「時間とお金の両方が手に入る」とか「収入に上限がない」「人生が変えられる」などがメリットとして書かれていますが、それは成功してからの話だし、成功できる人はなんと400人に1人とか言われている世界です。成功のラインがどこからなのか自分にはよく分からないが、収入が安定するまでがすごく大変で挫折する人が多い。その苦しい部分については一切語られず、成功者(?)が「諦めずに続けた者だけが成功する」とか「やってよかった」とか「やった方がいい」とか言って夢を見させるわけです。

うまく出来てるなぁと思いつつ心理操作、大衆扇動、集団心理、その他法律や制度、MLMの世界、ハリボテの会社説明、金持ちアピールについてなどなど今回の件で勉強になったし結果無傷だったから面白かった。
なにげに本拠地の大阪まで行こうとしてたけど、また金取られそうな気がして(というかもう付き合うのが限界で)キャンセルしました。
互いに助け合う手厚いサポートなのか、それともお互いに監視された自由のない世界なのか、自分とは次元の違う世界が一瞬見えました。
付き合いが長引くほど心理的に辞めにくくなるのは間違いないと思います。

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