癒しのてっちゃん

温泉のてっちゃん

毎日毎日皆が忙しい村がありました

皆の心と身体を癒す温泉がありました

温泉を動かしている大将を皆は、

癒しのてっちゃん

と呼びました

今日も温泉は、大繁盛です

男も女も疲れた身体は、

温泉に浸かれば元通り

温泉から出る時、みんなは笑顔でてっちゃんにお礼を言います

てっちゃんは皆の笑顔で元気いっぱい

もっともっと元気になってもらいたくて

バラの花風呂

みかんの皮風呂

塩風呂

泡風呂

色んなお風呂を作りました

すると皆は、もっともっと元気になりました

そして皆の笑顔でてっちゃんは、もっともっと元気になりました

ある日、皆にもっと元気になってもらいたくて

次は、なんのお風呂を作ろうか考えていると

一人の男がやってきました

【てっちゃんやてっちゃんや、この液体をお風呂に一滴垂らすと

皆は、もっともっと元気になるぞ】

てっちゃんは、とてもありがたく受け取り

さっそく全てのお風呂に一滴ずつ垂らしました

すると、みるみるうちに透明だったお湯が真っ黒に変わりました

てっちゃんは、不思議な液体だなと思いましたが

皆が元気になるならと

わくわくしていました

仕事で疲れ果てたお客さんが癒されるために温泉に集まってきます

しばらくすると浴槽から悲鳴が上がりました

てっちゃんは、急いで浴槽に行くと

そこには人が倒れていました

てっちゃんは、急いで治療をしました

すると倒れていた人が目を覚まし

お風呂に入った瞬間疲れが倍になった

と言いました

そのあとも倒れる人が続出して

皆癒しのてっちゃんと呼んでいたのが

疲れのてっちゃん

になりました

温泉は、誰一人来なくなり

一滴入れただけなのに

いつまでたっても真っ黒

あの日以来、村から笑顔が消えました

皆の疲れは、溜まっていくばかり

てっちゃんは、悲しくて悲しくて

とうとう自分で真っ黒なお風呂に入ってしまいました

てっちゃんの疲れが倍になりました

でも、真っ黒だったお風呂が少しだけ薄くなった気がしました

てっちゃんは、自分の過ちを取り返すために

一人でお風呂に浸かります

少しずつ色が透明になってきました

てっちゃんの疲れは溜まる一方

そんなところを、なんでも喋ってしまうで有名のなんちゃんが見ていました

なんちゃんは、すぐさま村の皆に喋ります

村の皆は、驚きました

確かにあの癒しのてっちゃんがあんな酷いことするはずがない

村の皆は、その夜昔のように温泉に行きました

てっちゃんは、凄く疲れた顔をしていました

【癒しのてっちゃんやい、今日もとっておきのお風呂を用意してくれてるんだろうな】

てっちゃんは、首を横に振ります

【真っ黒お風呂に浸かれば色が少しずつ透明になるんだろう?

俺たちが入って色を透明にしてやるから

癒しのてっちゃんとっておきのお風呂を作ってくれ!

真っ黒お風呂に浸かって疲れた身体をてっちゃんのお風呂に入ってとるからよう!】

てっちゃんは、透明の涙を両目から一滴ずつ流した後

【ちょっと待ってろやい!今までで一番疲れが取れるとっておきのお風呂を作ってやるわい!】

涙を拭いた後急いでとっておきの癒し風呂を作りました

真っ黒お風呂はみるみるうちに透明になりました

村の皆は、真っ黒お風呂に入ってもなぜか疲れませんでした

てっちゃんのことを悪魔のてっちゃんと呼ぶ人は誰一人いなくなりました

村の皆は、元気になりました

皆は、笑顔でてっちゃんにお礼を言いました

てっちゃんも笑顔でお礼を言いました

村はとっても笑顔になりました

毎日毎日皆が忙しい村がありました

皆の心と身体を癒す温泉がありました

温泉を運営している大将を皆は、

笑顔のてっちゃん

と呼びました





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