嵐を失って健康を取り戻した話④
潤之介くんが放った「どうしよう」で見事沼の淵に立ってしまった私。
そこに沼があれば、底の底まで覗きたくなってしまうのはオタクの性。
ここからはもう早かった。
YouTube、Twitter、Instagram、ありとあらゆる手段を使って、連日深夜まで玉森さんのリサーチをしまくった。
過去作品はもちろん、ラジオで語ったエピソード、SixTones目当てで聴いていたミュージックソンでの暴走。
そして出会ってしまったのだ、「宮玉」という深い深い沼に。
Jの沼で歴だけは長くちゃぷちゃぷしているので「コンビ萌え」というジャンルがあることは重々承知している。嵐にだって「にのあい」「末ズ」「じいまご」「大宮」「櫻葉」「磁石」など、ファンから愛されるコンビがたくさんある。
がしかし、嵐の誰か二人が仲良くしているところに「萌え」となる感情は、正直言ってよくわからなかった。もちろんライブに大宮SKが出てくれば沸き立つし、にのあいの「UB」も大好きだ。だが、それはどちらかというとファンが作り出したファンタジーに近いものを感じていた。普段からご本人たちがコミュニケーション密度高くやり取りできていることは大前提として、それでも「ファンが見たいもの」を追求した結果、前述のコンビでのパフォーマンスが生まれていると解釈している。言葉を選ばずに言うと、敢えてのコンビ売り、だ。そのうっすらと漂うビジネス味がなんとなく苦手で、萌えが溢れ出すモチベーションは湧いてこなかった。
「宮玉」という沼を見つけた時、どうせビジネスだろう、とそう思っていた。
この時点で、私の中の宮田さんのイメージは「アニメ好き」「プルシェンコ」「後ろの4人のうちの一人」の3点のみ。そしてキスマイと言えば、キラキラした前の3人と、バラエティ担当のちょっと冴えない後ろ4人の対比がグループ最大の武器だとさえ思っていた。
だから、センターの玉森とオタクの宮田が絡むことで対比をおもしろおかしく浮かび上がらせる、いわば装置として、「宮玉」が存在するのだろう、と、当初はそう理解していた。
折は2021年、ちょうど前年の10月にdTV(当時)で配信された、宮玉主演ドラマ「BE LOVE」をまだ観ることができた。
(このドラマは円盤化もされていないため、2023年10月1日現在、合法的に観ることは不可能になっている。もはやオタクの集団幻覚では、とも言われている幻のドラマとなってしまった)
今読んでも、よくこんなドラマ作ったよな、という感想しか湧いてこない。それがゆえに、そこはかとなく薫るビジネス臭が気にはなったが、淵に立つオタクにとって、推しの情報は最大の養分だ。YouTubeで冒頭数分が無料公開されていたこともあり、私は再生ボタンを押したのだった。
「尊い」
そんな一言では表せない、崇高な関係性がそこにはあった。
その時点では素の宮玉の関係性を私は知らなかった。むしろまだ、ビジネスだと思っていたのだ。あくまで「BE LOVE」という作品の主人公である編集者と絵本作家、としての宮玉の関係性を「尊い」と感じたのだが、今思うと、それはフィクションの向こう側に消すことのできない「素の宮玉」が透けて見えるからこその感想だったのだと思う。
そこからは早かった。
dTVに即入会。全4話を視聴。
数時間後、私は沼の底を覗いていた。
気づいたときには、頭から宮玉の沼に沈み込んでいた。
そして、とある人へ、おそるおそる連絡を取るのだった。
前職場で同僚だったAさんと私は、こことは違う沼の住人で、同僚として働いていたときに、仲良くさせてもらっていた。互いにすでに働いていた会社は退職していたのだけれど、Facebookを通じて近況を横目で見る間柄だった。
そんな彼女は宮田俊哉さんのオタクをしていたのだ。
数年ぶりのLINEでの連絡は、おそらくとても驚かせてしまったと思う。
しかも、宮玉への愛を溢れんばかりに綴った長文。私ならドン引きする。
しかしありがたいことにAさんは暑苦しい私を受け入れてくれて、宮玉のそしてキスマイのプレゼンをしてくれた。さらに、翌週には手持ちの円盤をたんまり詰め込んだ段ボールを我が家に送ってくれた。
円盤化された作品だけではなく、TVの録画を集めたBlu-rayも貸してくれたのが本当にありがたかった。
送っていただいた作品をむさぼるように見た結果、私は見事、宮玉ではなくキスマイの沼に頭からどっぷり突き刺さっていた。
Aさん曰く、私は勝手に沼に頭から転がり落ちていった、そうだが、沼の淵にいた私を頭から沈み込ませたのはAさん、あなたですよ、とは言っておきたい。(恩人です)
その結果、めでたくキスマイのFCに入るに至るのだ。
2021年1月31日の出来事。