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【鑑賞会レポート❷】リンキングのタイミング

アートマインドコーチングAdvancedコーチ講座の最終日。
自分で模擬セッションを行う日に、ボッディチェリの『ラ・プリマヴェーラ』を選びました。

■ ボッディチェリ『ラ・プリマヴェーラ』

医薬医術で栄えたメディチ家の繁栄を祈念して作成された一作です。
丸薬に似ていることから、当家の家紋となった柑橘の実が、ふんだんに描かれています。

橘は、香道で大切にされているお花です。

香道って聞いたことありますか?
茶道・華道と並ぶ、日本の三大芸道の1つで、日本の香文化です。

香道に用いる香料は、古来から香薬と言って、医薬にも使われました。

橘、そして医薬という、お香人として見逃せない共通点が多いこの名画から、コーチを本格指導したいと思ったのが、本作を選んだ理由です。

■ パラフレーズの沼

コーチは、参加者の鑑賞を、
・抽象度の高い語彙で言い換えたり(パラフレーズ)
 ・過去の発言や他者の鑑賞と結びつける(リンキング)
ことで、対話を闊達化させます。

今回のセッションでは、「パラフレーズをすると、リンキングした気になる沼」に陥りました。

参加者の鑑賞を、語彙の抽象度を上げて言い換え続けていると、セッション中の過去の発言も網羅した気持ちになるからです。

この「過去の発言も網羅した気持ち」が、リンキングと錯覚させる原因だと思っています。

■ 明示的にリンクさせること

パラフレーズだけで、無意識にリンキングできる参加者もいると思います。

コーチとしては、参加者の潜在的なリンキングのセンスに頼るのではなく、コーチングを発揮しなければなりません。

ワードセンスの良いパラフレーズに徹するのではなく、しっかりパラフレーズした上で、明示的にリンキングすること。
更に言うと、2・3回のパラフレーズに、1回は意識的にリンキングを入れること。

リンキングの明示性と頻度が、今回のセッションで見えた課題でした。

■ 余談

本筋から逸れますが、筆者は長年、香道を学んでいます。
日本の香文化の歴史を、時代別に記事にまとめ、マガジン化しているので、よろしければ、ご一読ください。

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