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ブランド・マネージャーの仕事⑨〜今さら聞けない「デジタル・マーケティング」

◼️これから始める「ブランディング」

当コラムでは、大手企業に限らず「ブランド」の重要度が増す中、BtoB企業や中小企業、地方メーカー、スタートアップ、業種・規模を問わず、これからブランディングを始められる方々に向けて、実際のブランディングの流れに沿って話を進めています。

今回は第九回目になります。何かしらの取り掛かりのきっかけや、思索のヒントにしていただければ幸いです。

第0回、キックオフ篇も合わせて参照いただければ幸いです
 「いいモノ」から「いいコト」へ。時代はシフトしている

第一回 やっぱり狙いたい、ブルーオーシャン
第二回 普及の壁、キャズムの越え方を考えてみる
第三回 戦略フェーズの総仕上げ、ブランドコンセプトを作る
第四回 モテる「ブランド・パーソナリティ」を見つける
第五回 企業の「らしさ」を育むブランドストーリー
第六回 経営の武器としての「デザイン」
第七回 「言葉」が最大の武器になる、顧客との関係づくり
第八回 「コンテンツ」を届けよう
第九回 今さら聞けない「デジタル・マーケティング」 *当記事
第十回 ブランディングの進め方(まとめ)


■存在を知ってもらうには、やはり「広告」も必要

今回は、ブランディングの運用フェーズの締めくくりになります。
ブランディングの成果は、いかに顧客と有効な接点を築き、最適なメッセージを届けるかに掛かっています。

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顧客との接点について、店頭やイベントなどのリアルな接点と、インターネット上のデジタルな接点はシームレスに繋がっています。そうした意味で「デジタル・マーケティング」という風に、分けた言い方をするのはナンセンスかもしれません。

しかし、こと「デジタル」となると、検索エンジン対策やネット広告、SNSの運用など、「よくわからない」ということも多いようです。

そこで改めて、インターネット上の顧客接点、日本の広告費の中で最も活用されているインターネット広告を中心に整理していきたいと思います。

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■デジタル化した社会の「接点づくり」

デジタル化した社会では、インターネット上に顧客接点がなければ、存在しないに等しい状態です。例えば、月間100人のアクセスしかないサイトと数十万人のアクセスがあるサイト。町外れに店を構えているのと都心に店を構えているのとで、人通りが異なるのと同じです。

始めのうちはやはり「広告」を使ってでも、存在に気づいてもらう必要があります。

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インターネット上に顧客接点をつくる方法はいくつかあります。

広告手法としては、「検索」と連動して表示されるリスティング広告、TwitterやYouTube、または雑誌社など特定のチャネルに出稿する純広告。そして、説明が多少ややこしくなりますが、様々なチャネルを横断した広告枠に掲載するディスプレイ広告などがあります。

これらの広告は、各々が独立しながらも深く結びついています。できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。


■検索広告:「何ができるか」を押さえておくことが大切

私がスポーツシューズメーカーのブランド・マネージャーだとすると、ユーザーが検索したキーワードに対して、しっかり自社の商品を表示させたいわけです。その時に使う手法が検索連動型の広告になります。

・リスティング広告(検索連動型広告)
例えば「スニーカー、白、革」といった特定のキーワードで検索するユーザーはその商品の購買意欲がかなり高いユーザーでしょう。そうしたニーズに対して、その「キーワード」自体を購入し、自社商品を検索結果に表示させることができます。
実際に検索してみると「広告」と記載されている情報がそれにあたります。ただし、キーワードを独占することはできませんので、その購入単価の設定で表示される順位をコントロールすることになります。競売的な仕組みです。

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・DSA広告(動的検索広告:Dynamic Search Ads)
こちらは検索連動型広告の機能の一つで、Googleが自動的にキーワードを選定し、広告文を作成し、ジャンプ先のURLまで設定してくれます。
スニーカーでも白だけでなく、黒や赤、男性向け女性向け、様々なアイテムがあります。それらを広告主のサイトに掲載されている情報に基づいて自動的に検索キーワードを抽出してくれます。
場合によっては手動よりも効率的に広告運用できる場合も少なくありません。

・SEO対策(検索エンジン最適化:Search Engine Optimization)
検索結果ページには「広告」以外のページも多く表示されます。検索順位が高ければ高いほど、ユーザーがクリックする確率も上がります。こちらは広告ではありませんが、中長期的に意識したい対策です。

・コンテンツマーケティング
上記の検索結果の中には『有名どころから、マイナーなものまで。おすすめの“白スニーカー”ブランド10選』といった記事も挙がってきます。「白スニーカー」というテーマで顧客との接点を設けるために作られた記事で、そうした戦略的な接点づくりはコンテンツマーケティングと呼ばれています。
広告と合わせて、こうした自然流入(オーガニック検索)を増やしていくことも、接点づくりにおいて重要になります。


■純広告:ターゲットと親和性の高いメディアは?

こちらは、雑誌広告や新聞広告などのように、ターゲットとの親和性の高いメディアを選んで出稿する広告です。

・「ソーシャルメディア」に広告掲載する
InstagramやTwitter、LINEなどのソーシャルメディアは、公式チャンネルを運用しながら顧客との関係を深めていくことができます。また、販売促進やキャンペーン告知などを行いたい場合は、フォロー状態に関係なく広告としてユーザーに情報発信することもできます。
ターゲットとの親和性の高いプラットフォームを選び、ユーザーの関心とマッチすれば「シェア」が生まれるのもソーシャルメディアの特徴です。

・「映像メディア」に広告掲載する
現在、ブランドの認知経路は実に様々です。ナショナルブランドであればTV-CMで知る機会が多いかもしれません。しかし最近は、先に口コミやSNSで知る機会も増えました。その中でも特に映像コンテンツによる認知促進は重要度を増しています。
YouTubeであれば、一覧ページに表示される「ディスカバリー広告」の他、本編中に流れる「バンパー/インストリーム広告」があります。映像メディアでありソーシャルメディアでもあるTikTokでは「起動画面広告」、「インフィード広告」などが用意されています。
またキーワード検索対策として、映像コンテンツをYouTube上に用意しておくことも大切です。

・「ウェブマガジン」に広告掲載する
こちらは、まさに雑誌広告のインターネット版です。各雑誌または新聞のウェブ版には必ず「広告枠」があると思います。そちらに純広告として掲載することもできますが、後ほど述べるディスプレイ広告として掲載することも可能です。
通常の雑誌広告のように「記事広告」を掲載することもできます。ウェブ版ではインターネット上に記事が残りますので、自社サイトで案内する、ネット広告と組み合わせるなどの二次活用も可能です。


■ディスプレイ広告:ネット上のビルボードや屋外看板

雑誌サイトやニュースサイト、Yahooや個人のブログにいたるまで、様々な場所にネット広告が掲載されています。街に例えるなら、歩いている端々で見るビルボード広告や屋外看板と同じです。

リアルの広告は「場所」に掲載されています。ディスプレイ広告は「属性」に掲載されます。つまり、私が見るバナー広告とあなたが見るバナー広告は、「場所」が同じでも「属性」が異なれば違う広告が表示されます。
それを実現しているのがアドネットワークというサービスやDMP(Data Management Platform)というツールで、ユーザーの行動履歴や年齢・性別などの属性情報に基づいて広告を配信できます。

例えば「スニーカー、白、革」を検索して、色々なサイトで商品を比較検討した後、まったくチェックしていなかったメーカーの「白い革製のスニーカー」の広告が、Facebookのタイムラインに表示されるかもしれません。これはそうした技術が使われています。

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参考)アドテク関連キーワード

アドネットワーク
Webサイト、ソーシャルメディア、ブログなどの広告ネットワーク
DSP(Demand Side Platform)
広告側が複数のアドネットワークへの広告配信を一元管理するツール
SSP(Supply Side Platform)
ホームページやアプリなど媒体側が広告枠を発行するツール
DMP(Data Management Platform)
ユーザーの興味関心や行動履歴などを元にしたセグメント情報


■最後に

今回はテクノロジー寄りの内容になりましたが、大切なことは、「誰に」「何を」届けたいのか?そのゴールは?目的が明確であれば手段は自ずと決まってきます

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最近ではネット販売に直結した広告も進化をしています。以前から「商品リスト広告」というものはありましたが、Googleの検索結果の上部に陳列される「Googleショッピング広告」や、Amazonの外部サイトからAmazon内の商品ページに誘導するAmazon DSP、Facebookもショップ機能の充実に積極的です。またInstagramでは、最大4名でライブ配信できる新機能「ライブルーム」が導入されましたが、今後もインフルエンサーを中心にしたマーケティングがさらに活発化していくかもしれません。

こうした技術は日進月歩で、各社のサービスもテスト段階のものから定着したものまで、全てをキャッチアップするのは大変です。逆に、その後定着した技術は「使える」技術でもあります。常に「何ができるのか」を把握しておく必要はあるでしょう。

まずは、ブランドとユーザーとの接点になりうる「キーワード」は何か。その可能性を広げることが認知を広める第一歩ではないでしょうか。


(*)電通 日本の広告費ダッシュボード(2020年 広告費内訳)
(*)電通 日本の広告費インターネット広告媒体費(2020年 詳細分析


ブランド・マネージャーの仕事⑨
今さら聞けない「デジタル・マーケティング」

(TCD Corporationサイト)


[筆者プロフィール]
川内 祥克 Yoshikatsu Kawauchi
株式会社TCD https://tcd.jp クリエイティブ・ディレクター
企業ブランド、事業ブランドやサービス・ブランドの立ち上げ、プロモーション企画、UX, UIデザイン業務に従事。『ブランドのウェブ活用』などのセミナーも開催。

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Katz
日々の業務の中から、ちょっとした気づきをお届けしていければと思います。